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レオン覇道戦記  作者: 慈架太子


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第11章:絆の深化と新たな命の予感

バルクとバルトもまた、自らの魂を揺さぶる「技」と「志」を持つ相手に出会ったことで、まるで初恋を知った少年のように純粋な熱情を滾らせていました。一方、アランとブライトも、少女たちの祈りを受け取ったことで、もはや「おっさん」などとは呼べない、守護の誓いに燃える瑞々しい青年の顔へと戻っていました。


レオンは、眼前に広がる光景に静かな衝撃を受けていました。


「……バルク、バルト。お前たちまでか」


バルクは、ドワーフの女性が抱える重い鉄床かなしきをひょいと肩に担ぎ上げると、顔を真っ赤にしながらも、少年のように屈託のない笑みを彼女に向けました。


「がっはっは! 悪いなレオン、俺、決めたぜ! この嬢ちゃんが最高の武器を打てるように、世界一頑丈で熱い工房を俺が造ってやる。……おい、嬢ちゃん。俺から離れるんじゃねえぞ!」


ドワーフの女性が「……あんた、いい腕してるわね」と赤面して呟くと、バルクは鼻の下を伸ばし、土魔法で足元を固める足取りもどこか浮ついています。


一方、バルトもまた、ハイエルフの女性を護るようにその肩を抱き寄せ、空間の歪みを丁寧に整えていました。


「……空間の理を、君と共に深めたい。……俺の横にいろ。……一ミリも、傷つかせはしない」


かつては無機質な岩のようだったバルトの瞳には、知的な探求心と、それを上回るほどの情愛が宿り、まさに恋に落ちた青年のそれでした。ハイエルフの女性も、その静かな熱量に身を委ねるように頷きました。


そんな二人を見て笑っていたアランとブライトも、先ほどの少女たちとの約束を経て、その顔つきから「枯れ」や「諦め」が完全に消え失せていました。


「おっさん呼ばわりはもうさせねえぜ、レオン! あの石をくれたお嬢ちゃんに、最高に格好いいところを見せてやらなきゃなんねえからな!」

アランは漲る筋力を爆発させ、青年のような瞬発力で先陣を切りました。


「……効率を超えた、誓いのために。……俺の剣は、かつてないほどに鋭い」

ブライトもまた、組紐を大切に確かめると、まるで若き騎士のような瑞々しくも苛烈な殺気を放ち、影へと消えていきました。


レオンは、五人の恋する乙女、そして恋する少年・青年へと進化した四人の男たちを背に、力強く拳を握りました。


「……よし。全員、想いのままに暴れてこい。……救出作戦、開始だ!」



アランとブライトは、少女たちから託された想いを胸に、かつての老成した雰囲気など微塵も感じさせない、若々しくも凄まじい覇気を纏っていました。


「がっはっは! 見てろよレオン、俺の力は今が全盛期だ! 鎖ごと絶望を叩き潰してやるぜ!」

アランが若き英雄のような瞬発力で収容所の正門を粉砕し、その背後ではブライトが、洗練された剣技で音もなく守備兵を無力化していきます。


「……遅い。……一瞬で終わらせる。……約束を果たすために」


二人の青年の活躍によって道が開かれると、レオンは収容所の中心、数千の亜人たちが繋がれている広大な地下広場へと到達しました。そこには、種族ごとに分けられ、重い魔導の鎖に繋がれた人々の絶望が渦巻いていました。


「……ミレイユ、今だ。彼らをこの地獄から一気に引き抜くぞ」


『了解しましたわ、レオンさん! 論理的に見て、一人ずつ運ぶなど時間の無駄ですもの。私の演算と、皆さんの魔力を繋いで……最大級の転送路を構築しますわ!』


ミレイユが空中に複雑な魔導式を展開すると、彼女の恋心が演算リソースを限界まで引き上げ、眩い光の粒子が広場全体を包み込みました。


「ミレイユ、ゲートを開け! 接続先は開拓地の『新市街』だ!」


『「空間転送門ゲート」、最大出力で起動! ……さあ、皆さん! 絶望の時間は終わりですわ! 光の中へ飛び込みなさいな!』


ミレイユの叫びと共に、地下広場の空間が大きく歪み、開拓地へと直通する巨大な光の門が出現しました。


「セレス、シオン! ゲートを抜ける瞬間に、彼らの鎖をすべて解除し、精神の浄化を行え!」


「了解。……魔導の鎖、一斉解錠。……一筋の束縛も残さない」

セレスが指を鳴らすと、数千の亜人たちを縛っていた鎖が、まるで魔法が解けたかのように一斉に弾け飛びました。


「光よ、彼らの傷と恐怖を癒やしなさい……。新しい家が、あなたたちを待っていますわ!」

シオンの放つ柔らかな浄化の光が、戸惑う亜人たちの背中を優しく押し、彼らは雪崩を打つようにゲートの向こう側へと吸い込まれていきました。


バルクとバルトは、先ほど出会ったドワーフとハイエルフの女性を両脇から守りながら、一番最後にゲートをくぐります。


「お嬢ちゃん、驚くなよ! ゲートを抜けた先には、俺が造る最高の工房が待ってるぜ!」

「……行こう。……君の知恵を活かせる、自由な世界へ」


数千の亜人が一瞬にして地獄から消え、静まり返った収容所の跡地で、レオンはゲートを閉じました。




宴もたけなわ、酒と熱気に当てられた広場から少し離れた場所では、新しい命への希望がさらに直接的な形で燃え上がっていました。


バルクは、先ほど意気投合したドワーフの女性を、その丸太のような腕でひょいと担ぎ上げました。


「がっはっは! 嬢ちゃん、俺の『設計図』には、最高の工房の隣に、賑やかな家族が住む家も書き込んであるんだ! さっそく、そのための『基礎工事』を始めようじゃねえか!」


ドワーフの女性は、バルクの逞しい胸板に顔を埋め、真っ赤になりながらも力強く彼の背中を叩きました。

「……気が早いんだから! でも、あんたみたいな熱い男なら……いいわよ。最高の後継者、一緒に仕込んでやろうじゃない!」


二人は少年のように、しかし雄々しい足取りで、バルクが用意していた土魔法製の頑丈な住居へと消えていきました。


一方で、バルトとハイエルフの女性の周りには、静謐でいて濃密な魔力が漂っていました。バルトは彼女の細い指先を優しく握り、自身の空間魔法で周囲の喧騒を完全に遮断した、二人だけの「絶対領域」を作り出しました。


「……空間の深淵を覗くには、魂の結合が必要だ。……俺のすべてを、君に捧げる。……君との間に、新しい魔導の血を繋ぎたい」


ハイエルフの女性は、バルトの静かな情熱を宿した瞳を見つめ返し、そっと彼に寄り添いました。

「……あなたの描く空間は、とても温かい。……その中で、私たちの未来を育みましょう。……愛しています、バルト」


二人は幻想的な光の粒子に包まれながら、静かに、しかし確かな愛の誓いと共に、夜の闇へと溶け込んでいきました。


レオンは、離れていく彼らの背中に少し驚きつつも、どこか誇らしげに頷きました。


「……みんな、本当に自分の想いに正直だな。……でも、それがこの国の『生命力』になるんだ」


そんなレオンを、ミレイユ、セレス、ヴァレリア、エルザ、そしてシオンの五人が、獲物を狙うかのような(しかし潤んだ)瞳で囲い込みます。


『……レオンさん。バルクさんたちの「基礎工事」、とても論理的で素晴らしいと思いますわ。……私たちも、遅れをとるわけには参りませんわよね?』


五人の乙女たちの「バースト」は、もはやとどまるところを知りません。


バルクとバルトが「戦士」から「一人の男」として愛の結実へと真っ向から突き進んでいく背中を見送りながら、残された五人の乙女たち――ミレイユ、セレス、ヴァレリア、エルザ、シオン――の間に、かつてないほどの焦燥感が走りました。


「……バルクさん、あんなに決断が早いですなんて……。論理的プロセスをいくつも飛び越えて、一気に『実地検証』に入ってしまいましたわ……!」


ミレイユが眼鏡を曇らせながら、指先で高速に空中の数式を書き換えますが、その指は激しく震えています。彼女たち五人は、レオンへの溢れんばかりの恋心を抱え、「恋する乙女バースト」状態でありながら、その実、レオンのあまりに高潔で天然な優しさを前に、最後の一線を踏み出せないまま「後れ」を取っていたのです。


「……私の、負け? ……いえ、まだ負けていない。……けど、あの二人のスピード感……あれこそが、真の魔導の瞬発力……」

セレスが顔を真っ赤にして、ありもしない杖を探すように指を彷徨わせます。


「商会のオーナーとして、商機を逃すなんて……! 私としたことが、レオンとの『独占契約』をのんびり詰めすぎたわ!」

ヴァレリアが高級な酒杯を握りしめ、自分たちの慎重すぎたアプローチに地団駄を踏みます。


「騎士として……先行を許すなど……! 7歳も年下だなんて、もう気にしてる場合じゃないわ!」

エルザが剣の柄を握り、覚悟を決めたような、しかし羞恥心に悶えるような複雑な表情でレオンを凝視します。


「レオン様……。……私、死霊魔術師の属性なんて気にしている間に、一番大切な『生』の営みで後れを取ってしまいました……。……ああ、神様……いいえ、レオン様……!」

シオンが祈るように胸の前で手を組み、憔悴しながらもその瞳にはかつてない執念の炎を宿しました。


レオンは、急激に静まり返り、かつてないほどの重圧を放ち始めた五人の美女たちに囲まれ、頬を掻きながら冷や汗を流しました。


「あ、あはは……。みんな、どうかしたのか? 急に黙り込んで……」


アランとブライトが、それぞれの「約束の少女」を優しくエスコートしながら、遠くでニヤニヤとこちらを見ています。

「がっはっは! レオン、あんたの最強部隊が、恋のレースで周回遅れになってるぜ! 早く先頭集団に追いつかねえとな!」


「……非効率な躊躇だ。……レオン、……覚悟を決めろ」

ブライトの短い、しかし核心を突く一言が、五人の乙女たちの背中を強烈に押し出しました。


『レオンさん(レオン、レオン様)!!』


五人の声が重なり、執務室から続く夜の庭園に、かつてない「愛の嵐」が吹き荒れようとしていました。



広場の熱気は、単なる救出の喜びを超え、新しい命と絆を紡ぐ「生」のエネルギーへと完全に変貌しました。


バルクとバルトが迷いなく愛の結実へと突き進んだのを見て、アランとブライトもまた、自らの胸に宿った熱い想いに蓋をすることをやめました。この世界において15歳は立派な成人。守るべき対象として出会った彼女たちは、今や一人の「女」として、彼らの魂を激しく揺さぶっていたのです。


「がっはっは! こうなったら、俺も『おっさん』なんて顔してられねえ! 嬢ちゃん、俺のこの命も、これからの人生も……全部あんたに預けるぜ!」


アランは、あのお守りをくれた少女をその逞しい腕で抱き寄せました。少女は赤くなりながらも、青年のように瑞々しい輝きを取り戻したアランの胸に、幸せそうに顔を埋めます。二人はそのまま、豪快かつ情熱的に、自分たちの未来を刻むための夜へと踏み出していきました。


「……効率を度外視した、生涯の契約だ。……君を、誰にも渡さない」


ブライトもまた、組紐をくれた少女の腰を力強く引き寄せ、耳元で静かに、しかし熱く囁きました。少女が潤んだ瞳で頷くと、ブライトは彼女を抱え上げ、影のように静かに、しかし確かな愛の炎を燃やしながら、二人だけの場所へと姿を消しました。


残されたレオンと、五人の乙女たち。


アランやブライト、さらにはバルクたちまでもが、後れを取っていたはずの「男」としての本能を爆発させ、一気に幸せを掴み取っていく光景。それは、ミレイユ、セレス、ヴァレリア、エルザ、シオンにとって、もはや理性を維持できる限界を超えた衝撃でした。


「……ありえませんわ。……論理的に見て、私たちが一番近かったはずですのに、全員に『周回遅れ』にされるなんて……!」

ミレイユの眼鏡の奥の瞳が、恋の情念で怪しく光ります。


「……もう、待てない。……魔法の詠唱なんて必要ない。……レオン、今すぐ私を……」

セレスがレオンの服を掴み、吐息が届く距離まで顔を近づけます。


ヴァレリアは酒を煽り、エルザは剣を置き、シオンは祈りの手をほどきました。五人の乙女たちは、もはや「後れ」を嘆く段階を過ぎ、猛烈な勢いでレオンという名の「幸福」を奪い取りにかかりました。


「みんな……わかった。……僕も、覚悟を決めるよ」


レオンは、自分を求める五人の熱い視線を真っ向から受け止めました。この国の王として、そして一人の男として。自分を信じ、愛し、支えてくれた彼女たちのすべてを抱きとめる決意を固めたのです。


夜の帳が下りる中、新しい国の開拓地には、数多の愛の営みが灯火のように広がり、未来へと続く生命の鼓動が激しく、そして温かく響き渡るのでした。



アランもブライトも、その落ち着き払った態度から年嵩に見られがちでしたが、実のところアランは25歳、ブライトは23歳という、血気盛んな正真正銘の青年でした。


少女たちから託された想いは、彼らの中に眠っていた「若き英雄」としての情熱を完全に呼び覚ましました。15歳で成人を迎えるこの世界において、彼女たちとの出会いは、単なる保護者としての義務ではなく、一人の男としての運命的な邂逅となったのです。


「がっはっは! 25年生きてきて、今が一番体が軽いぜ! 嬢ちゃん、俺のこの力も未来も、全部あんたに捧げるって決めたんだ!」

アランは25歳らしい瑞々しい覇気を全身から放ち、少女を軽々と抱き上げました。少女が「アラン様……!」と歓喜の声を上げると、彼は獣のような俊敏さで、自分たちの愛を確かめ合うための夜へと駆け出しました。


「……23年、無駄な計算ばかりしてきた。……だが、君との未来に計算は必要ない。……ただ、愛している」

ブライトもまた、23歳の青年らしい一途で苛烈な情念を瞳に宿し、組紐の少女の唇を指でそっとなぞりました。彼は合理性を捨て、ただ一人の男として、彼女を抱き寄せて静寂の闇へと消えていきました。


バルクとバルト、そしてアランとブライト。

四人の男たちが、若さゆえの爆発力で次々と「後れ」を跳ね返し、愛の結実へと突き進む姿。それを見送る五人の乙女たち――ミレイユ、セレス、ヴァレリア、エルザ、シオン――の焦りは、もはや頂点に達していました。


「……アランさんたちが20代半ばの若さであの決断力……。論理的に考えて、私たちの方が人生の経験値(年齢)を重ねている分、もっと大胆にならなければ整合性が取れませんわ……!」

ミレイユが赤面しながらも、論理の鎧を脱ぎ捨ててレオンに詰め寄ります。


「……23歳のブライトに先を越されるなんて、魔導の大家の名が廃る。……レオン、もう、言葉はいらない……」

セレスがレオンの胸板に手を当て、その鼓動を直接確かめるように身を寄せました。


8歳、あるいは9歳も年下のレオンに対し、これまでどこかでブレーキをかけていた彼女たち。しかし、年上の男たちが次々と「若さ」を武器に幸せを掴み取る姿を見て、ついにそのリミッターが完全に吹き飛びました。


「みんな……。……僕も、君たちの想いから逃げたりはしない」


レオンは五人の乙女たちの熱い身体を、その両腕ですべて受け止めました。

広場から聞こえる獣人やエルフたちの祝祭の歌声、そして仲間たちが紡ぐ愛の吐息。それらすべてが、新国家の産声となって夜の空に溶けていきました。



アランもブライトも、その落ち着き払った態度から年嵩に見られがちでしたが、実のところアランは25歳、ブライトは23歳という、血気盛んな正真正銘の青年でした。


少女たちから託された想いは、彼らの中に眠っていた「若き英雄」としての情熱を完全に呼び覚ましました。15歳で成人を迎えるこの世界において、彼女たちとの出会いは、一人の男としての運命的な邂逅となったのです。


「がっはっは! 25年生きてきて、今が一番体が軽いぜ! 嬢ちゃん、俺のこの力も未来も、全部あんたに捧げるって決めたんだ!」

アランは25歳らしい瑞々しい覇気を全身から放ち、少女を軽々と抱き上げました。少女が「アラン様……!」と歓喜の声を上げると、彼は獣のような俊敏さで、自分たちの愛を確かめ合うための夜へと駆け出しました。


「……計算など、もういらない。……ただ、君が欲しい」

ブライトもまた、23歳の青年らしい一途で苛烈な情念を瞳に宿し、組紐の少女を無言で引き寄せました。彼はこれまでの合理的な思考をすべて投げ捨て、ただ一人の男として、本能のままに彼女を抱きしめて静寂の闇へと消えていきました。


バルクとバルト、そしてアランとブライト。

四人の男たちが、若さゆえの爆発力で次々と「後れ」を跳ね返し、愛の結実へと突き進む姿。それを見送る五人の乙女たち――ミレイユ、セレス、ヴァレリア、エルザ、シオン――の焦りは、もはや頂点に達していました。


「……アランさんたちが20代半ばの若さであの決断力……。論理的に考えて、私たちの方が人生の経験を重ねている分、もっと大胆にならなければ整合性が取れませんわ……!」

ミレイユが赤面しながらも、論理の鎧を脱ぎ捨ててレオンに詰め寄ります。


「……23歳のブライトに先を越されるなんて。……レオン、もう、言葉はいらない……」

セレスがレオンの胸板に手を当て、その鼓動を直接確かめるように身を寄せました。


7歳、あるいは8歳も年下のレオンに対し、これまでどこかでブレーキをかけていた彼女たち。しかし、年上の男たちが次々と「若さ」を武器に幸せを掴み取る姿を見て、ついにそのリミッターが完全に吹き飛びました。


「みんな……。……僕も、君たちの想いから逃げたりはしない」


レオンは五人の乙女たちの熱い身体を、その両腕ですべて受け止めました。

広場から聞こえる獣人やエルフたちの祝祭の歌声、そして仲間たちが紡ぐ愛の吐息。それらすべてが、新国家の産声となって夜の空に溶けていきました。


アランやブライトが、迷いなく「一人の男」として突き進む姿を目の当たりにし、五人の乙女たちの熱気が限界を突破しました。


「レオンさん……。計算も論理も、もう不要だということが証明されましたわ。……次は、私たちの番ですわね?」

ミレイユが眼鏡を外し、潤んだ瞳で一歩、また一歩と距離を詰めてきます。


「……逃がさない。……空間魔法で、逃げ場はすべて塞いだわ」

セレスが顔を真っ赤にしながらも、魔力を昂ぶらせて退路を遮断します。


「レオン……。商人として、これ以上の『機会損失』は許されないの。……覚悟を決めなさい?」

ヴァレリアが吐息がかかる距離まで詰め寄り、エルザとシオンもまた、逃がすまいと左右を固めます。


「ひっ……! み、みんな……!? ちょっと待って、落ち着いて……!」


さっきまで堂々と建国や救出を語っていたレオンでしたが、五人の美女から放たれる、物理的な殺気すら上回る「愛の重圧」に、ついに腰が引けました。


「がっはっは! レオン、あんなに強かったあんたが、女五人に囲まれて震えてやがるぜ!」

25歳の若き覇気に溢れるアランが、少女を肩に担ぎながら爆笑して通り過ぎます。


「……無様だな、レオン。……剣を振るうより、難しい戦場だ」

23歳の衝動に従い、組紐の少女を抱き寄せたブライトも、一瞬だけ足を止めて、引きつった笑いを浮かべるレオンを憐れむように見つめました。


「ちょ、ブライト! アラン! 助けてくれよ! ……うわああっ! ヴァレリア、そこは引っ張っちゃダメだって! ミレイユ、服が、服が破れる……!」


最強の英雄であり、数千の亜人を救った救世主レオン。しかし、今や「恋する乙女バースト」を起こした五人の最強ヒロインたちの前では、ただの「ビビりまくる18歳の少年」に成り下がっていました。


「……もう、問答無用ですわ!」

「レオン、あきらめなさい……!」


乙女たちの猛攻に、レオンの悲鳴が夜の広場に空しく(?)響き渡ります。最強の軍団が愛に狂い、レオンが最大の危機(幸福)を迎えたことで、この国の「結束」は、ある意味で完成を迎えたのでした。



「ひっ、ひいいっ……! みんな、待って、本当に待ってくれ!」


五人の美女たちに四方を囲まれ、服のあちこちを掴まれたレオンは、魔王軍と対峙した時ですら見せなかったほどの動揺で、ガタガタと膝を震わせました。


「レオンさん、何をそんなに怯えていらっしゃるの? 論理的に見て、今の状況は喜ぶべき局面のはずですわ!」

ミレイユが鼻息も荒く、眼鏡の奥の瞳を怪しく光らせて詰め寄ります。


「……あ、あのさ……正直に言うよ! 僕は、その……経験が一度もないんだ! いわゆる『童貞』なんだよ!」


レオンの決死の告白に、一瞬だけ周囲が静まり返りました。しかし、それは彼女たちの熱気を冷ますどころか、火に油を注ぐ結果にしかなりませんでした。


「……童貞。……最高。……私が、全部教えてあげる」

セレスが顔を真っ赤にしながら、逃がさないと言わんばかりにレオンの手首をがっしりと掴みます。


「な、なあ! 頼むから、優しくしてくれ! 痛いのは嫌なんだ! 本当に嫌なんだからな!」


最強の英雄が、涙目になりながら放った情けない叫び。それを聞いたヴァレリアが、ニヤリと肉食獣のような笑みを浮かべました。


「ふふ、可愛いこと言うじゃない。大丈夫よ、レオン。商売と同じで、最初は丁寧に、じっくり『検品』してあげるから……」


「騎士として、主君の『初めて』を汚すような真似はさせないわ。私が、一番安全に導いてあげる!」

エルザまでが、普段の凛々しさはどこへやら、独占欲を全開にしてレオンの肩を抱き寄せます。


「レオン様……怖がらなくていいのですよ。聖女である私が、あなたの痛みも不安も、すべて蕩けるような快楽に浄化して差し上げますわ……」

シオンがうっとりと手を合わせ、慈愛という名の執着を瞳に宿してレオンを追い詰めます。


「ああっ! ブ、ブライト! アラン! 本当に助けてくれ! 怖いんだ! 五人は多いって!」


遠くで少女を連れたアランが「がっはっは! 頑張れよ英雄様! 痛みなんて一瞬だぜ!」と野次を飛ばし、ブライトは「……無運を祈る」と短く告げて、憐れみの視線を向けるだけでした。


「うわああああっ! やめて、そこは弱いんだってば! 誰か、誰か助けてーーーっ!!」


レオンの必死の抵抗も虚しく、彼は最強のヒロインたちによって、夜の帳が下りた豪華な天蓋付きのベッドルームへと、ずるずると引きずられていくのでした。



やめてくれーっ こんな事をすると俺はみんなを嫌いになる


「……っ!」


レオンのその悲痛な叫びと、本気で怯えた瞳に、ミレイユたちの動きがピタリと止まりました。


「嫌いになる」


その一言は、熱狂の渦にいた彼女たちの脳頭に、冷水を浴びせかけられたような衝撃を与えました。レオンの顔は、照れや冗談ではなく、一人の人間として「尊厳」を脅かされていることへの恐怖と、深い拒絶の色に染まっていました。


「……レ、レオンさん……?」


ミレイユがハッとして、掴んでいたレオンの袖を離しました。セレスも、ヴァレリアも、自分が力任せにレオンを追い詰めていたことに気づき、顔から血の気が引いていくのがわかりました。


「……ごめん。……やりすぎた。……怖かったわね、レオン」


セレスが消え入りそうな声で謝り、一歩後ろに下がりました。エルザとシオンも、自分たちの「愛」という名のエゴが、どれほど彼を傷つけようとしていたかを悟り、深く俯きました。


レオンは壁に背を預けたまま、乱れた息を整えます。その肩はまだ微かに震えていました。


「……みんなが僕を好きなのは嬉しい。でも、無理やりなのは違うよ。そんなの……ただの暴力だ。僕は、みんなと『心』で繋がっていたいんだ。こんな風に怖がらせられるなら、僕は……みんなと一緒にいられなくなる」


静まり返った室内。

アランとブライトも、遠くからその様子を見て、冗談を言っていた自分たちの軽率さを恥じ、静かに頭を下げました。


「……申し訳ありませんでしたわ、レオンさん。私としたことが、論理を見失い、あなたの心を置き去りにしてしまいました。二度と、このような真似はいたしませんわ」


ミレイユが代表して深々と頭を下げました。他の四人もそれに続き、涙を浮かべながら謝罪の言葉を口にしました。


レオンはようやく小さく息を吐き、少しだけ強張っていた表情を緩めました。


「……わかってくれたならいいんだ。……怖かったけど、嫌いになったわけじゃないから。でも、今日はもう……一人でゆっくり休ませてほしい」


「ええ、もちろんですわ。……皆さん、退散しましょう。レオンさんの安眠を妨げる者は、このミレイユが許しませんわ」


五人の乙女たちは、レオンへの深い愛と、それ以上に大切な「敬意」を胸に、静かに部屋を後にしました。


一人になった執務室で、レオンは月明かりを見上げました。

愛されることは幸せなはずなのに、最強の女たちに囲まれるというのは、魔王を倒すよりも遥かに命がけであることを、彼は身をもって知ったのでした。


でも俺はスケベー


「……でも、まあ……正直に言うとさ。僕だって、その……男だし。みんなのことは、ちゃんと魅力的な女性だと思ってるんだ」


レオンが頬を真っ赤にしながら、消え入りそうな声で白状しました。


「え……?」

部屋を出ようとしていた五人が、弾かれたように振り返ります。


「嫌いになるって言ったのは、無理やりなのが怖かっただけで……。その、みんなが綺麗すぎて、僕の方がビビっちゃったっていうか。本当は、僕だってスケベなところくらいあるんだよ……!」


レオンは頭を抱え、しゃがみ込んでしまいました。

最強の英雄のあまりにも正直で、それでいて人間味に溢れすぎた「スケベー」宣言。


一瞬の沈黙の後、今度は先ほどのような殺気ではなく、柔らかく、それでいてどこか「勝機」を確信したような温かい熱気が部屋を満たしました。


「……そうですの。レオンさんも、ちゃんと『男の子』だったんですのね」

ミレイユが眼鏡を指でくいっと押し上げ、不敵な、しかし慈愛に満ちた笑みを浮かべました。


「……なんだ。……ビビらせすぎちゃっただけなのね。……安心したわ」

セレスがふっと表情を緩め、今度は魔法ではなく、自分の意志でゆっくりと歩み寄ります。


「ふふ、正直でよろしい。レオンがその気なら、私たちもやり方を考え直さないといけないわね。……怖くないように、優しく、一歩ずつ……ね?」

ヴァレリアが茶目っ気たっぷりにウインクし、エルザとシオンもようやく顔を上げ、明るい笑顔を取り戻しました。


「がっはっは! なんだレオン、あんたもこっち側だったんじゃねえか!」

遠くで聞いていたアランが、25歳の青年らしい快活な声で笑い飛ばします。

「……健全だな。……男なら、それでいい」

ブライトも組紐の少女の肩を抱きながら、どこか満足げに頷きました。


レオンはまだ顔を上げられないまま、ボソボソと続けます。

「だから……その、今日は本当に一人で寝かせて。心の準備が必要なんだ。……明日から、順番に、ちゃんとデートとか……そういうところから始めていきたいから」


『……承知いたしましたわ、レオンさん!』


五人の乙女たちは、今度こそ満足げに、そして未来への希望を胸に、足取りも軽く部屋を後にしました。


一人残されたレオンは、バクバクと鳴り止まない心臓を押さえながら、ベッドに倒れ込みました。

「……言っちゃった。ああ、もう、明日からどうなるんだこれ……」


新しい国の夜は、英雄の情けない、けれど幸せな悩みと共に更けていくのでした。


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