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第26話:揺らぐ影

1/4

深夜、サヤとミカの投稿は数千件にまで拡散していた。

《#第7病棟》はトレンド入りし、まとめサイトや動画配信者が次々に取り上げる。

——だが、その中に異質な書き込みが混じっていた。

《港の倉庫から黒塗りの車列が出た。冷却コンテナを積んでいて、中には白衣の影》

サヤは震える指でスクリーンショットを保存し、光へ転送する。

《解析開始》

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光のアイコンが淡く揺らぎ、スケールアイシステムが起動した。

闇の虚空に地図が浮かび上がり、赤い光点が港を照らす。

そこから糸のようなルートが編み込まれ、倉庫を経由して東雲記念病院へ直結する“配送ライン”が現れた。

公式記録には存在しない経路。——裏の動脈。

「……これが物流設計か」

真鍋が低く唸る。

朝比奈はモニター越しに吐き捨てるように言った。

「子どもたちの情報網に、私たちが追いつけてないってのか」

蓮司は胸の奥がざらつくのを感じ、拳を握った。

(……これ以上、背負わせるわけにはいかない)

3/4

その時、高層ビルの最上階の暗号通信を傍受した。端末に表示された暗号通信の断片が再生される。

《……配送ラインを……痕跡は消せ……》

声は加工され、ノイズが混じっている。

誰のものかは一聴しただけではわからない。

セーフハウスの光が淡々と報告する。

《匿名通信の発信ログを取得。声紋は加工されていますが、言語パターンが多く特徴的です》

画面には過去の議事録や記者会見の文字起こしが並び、比較解析のグラフが表示された。

《「痕跡」「配送」という用語の組み合わせ、文末の抑揚——笹本信一の過去の発言と一致率98.7%》

朝比奈が短く息を吐いた。

「……やっぱり奴か」

蓮司は画面を睨みつけ、低く呟く。

「声を隠しても、言葉の癖までは消せねぇ……」

4/4

セーフハウスの光が告げる。

《SNS投稿、配送記録、笹本の指示——全てが繋がりました》

地図上に赤い点と線が連鎖し、蜘蛛の巣のような物流網が浮かび上がる。

港から倉庫、そして病院地下へ。一本の鎖のように光る“抜け道”。

「……鎖を断ち切る時が来た」

蓮司が低く呟く。

朝比奈が煙を吐き、鋭い笑みを浮かべた。

「覚悟しろよ、笹本」

——こうして、“物流設計”という笹本の仕組みが初めて姿を現した。


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