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朝市を開いたら、戦闘職が鍬を買った
第6話です。廃村サーバー黒字化を進めます。
朝市の最初の客は、重装鎧の戦闘職だった。
「回復薬はあるか」
「薬草茶ならあります」
「効果は」
「微回復。あと空腹度が戻ります」
戦闘職は眉をひそめたが、試飲して三本買った。次に買ったのは鍬だった。
「なぜ鍬を」
「ダンジョンの壁を掘れるか試す」
湊は止めなかった。ゲームでは、開発者の想定外の用途こそ売れることがある。
昼には「セリカ村の鍬で隠し通路が見つかった」という噂が流れた。鍬は売り切れ、鍛冶屋NPCが役場に飛び込んでくる。
「材料が足りん」
「予約販売にします。前金三割」
湊は即答した。材料費を先に受け取れば、在庫リスクが減る。鍛冶屋は首をかしげたが、前金の山を見て黙った。
朝市の売上は一万二千G。まだ小さい。だが初めて、村のNPCたちが自分の店を開けた。
夕方、村長がぽつりと言った。
「祭りより静かじゃな」
「毎日続けるには、静かな方がいいんです」
湊は売上表を閉じた。
廃村は、英雄を待つ場所ではなくなっていた。
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