表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
5/15

NPC村長、逃げた理由が正しすぎる

第5話です。廃村には廃村の理由があります。

 村長は森の小屋に隠れていた。


 白いひげのNPCは、湊を見るなり毛布をかぶった。


「わしはもう村長ではない。あの村は無理じゃ」


「無理だった理由を聞きに来ました」


 湊が帳簿を出すと、村長は毛布から目だけを出した。


「勇者祭りじゃ」


「祭り」


「毎月やっておった。人を呼ぶために花火を上げ、屋台を出し、記念像を建てた。だが客は来ん。借金だけが残った」


 請求書の花火代はそれだった。湊は納得した。売上のない広告費は、ただの穴だ。


「戻ってください。祭りはやめます」


「では何をする」


「朝市です。毎朝、小さく売る。毎日、現金を作る」


 村長は黙った。派手な祭りより地味な朝市。それは村長の夢とは違ったのだろう。


「村の名前は残せます」


 湊は言った。


「ただし、黒字で」


 村長は長い沈黙のあと、古い鍵束を渡した。


「役場の金庫じゃ。中身はないが、書類はある」


「書類があれば十分です」


 帰り道、妖精が小声で言った。


「村長さん、戻ってくれますか」


「戻るよ。逃げた人は、戻る理由が欲しいだけだから」


 翌朝の朝市に、村長は一番古いエプロンをつけて立っていた。

ここまで毎日更新分です。次週は朝市編から継続し、別連載への橋も作れます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ