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土壌分析スキル、誰も使っていなかった

第4話です。地味スキルの使いどころです。

 土壌分析スキルは不人気だった。


 理由は簡単だ。攻撃力が上がらない。派手なエフェクトもない。攻略掲示板には「地味」「農家ロール用」「初期化推奨」と書かれていた。


 湊にとっては宝の山だった。


 畑を歩くたび、視界に数字が浮かぶ。酸度、水分、微生物、連作疲労。現実の農業ほど精密ではないが、ゲームとしては十分すぎる。


「この区画は豆。こっちはハーブ。井戸の近くは根菜」


 妖精が首をかしげる。


「カブじゃないんですか」


「全員がカブを作る世界で、カブを作るのは勇気じゃなくて思考停止」


 湊は畑に札を立てた。作物ごとに収穫予定日と想定価格を書く。通りかかったプレイヤーが足を止めた。


「これ、攻略情報ですか」


「村民登録したら見られます」


「登録料は」


「一日百G。畑の失敗率が下がるなら安い」


 最初に登録したのは五人。彼らは湊の指示で豆とハーブを植え、空き時間に水路の泥をさらった。


 夜、掲示板に書き込みが増えた。


『セリカ廃村、土が読める管理人がいる』

『カブ地獄から抜けたい初心者は行け』


 湊は収支表に登録料五百Gを記入した。


 地味なスキルは、使う場所を間違えなければ看板になる。

次回、逃げたNPC村長を探します。

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