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売れないカブに名前をつけるな
第3話です。愛着と値付けは別物です。
翌朝、村の入口に初心者プレイヤーが倒れていた。
「カブが売れません」
彼の荷車には、丸々太ったカブが山のように積まれている。名前はリュウ。戦闘職志望だったが、初期クエストで畑を渡され、言われるままカブを作ったらしい。
「名前までつけたのに」
「作物に愛着を持つのはいい。でも値札は市場が決める」
湊は市場板を見せた。カブは供給過多で一個一G。肥料代を考えれば赤字だ。
「じゃあ捨てるしかないんですか」
「加工する」
廃村の食堂には、壊れかけの漬物樽があった。湊はカブを薄切りにし、塩と一緒に樽へ入れる。塩代はかかるが、漬物になれば保存食として旅人に売れる。
「ただし名前は消す」
「えっ」
「商品名は『セリカ村の朝漬け』。君のカブ一号とか二号は売れない」
リュウはしょんぼりしたが、試食した旅人NPCが十袋まとめて買った瞬間、表情が変わった。
「売れた」
「売れる形に変えたからね」
湊は手数料として売上の一割を受け取った。リュウは赤字を避け、湊は食堂の再稼働実績を手に入れる。
掲示板に新しい張り紙を出した。
『余剰カブ、買い取りではなく加工委託します』
夕方までに、村にはカブを抱えた初心者が列を作った。
次回、土壌分析スキルの価値が見つかります。




