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悪役令嬢に転生した俺、腹黒王子に溺愛される   作者: mei


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第十一話 なかよし⭐︎追放ズ


マクシミリアンとエライザは、ザ・追放ズ (仮)として同盟を結んだ。といっても、子供の遊びみたいなもんだけど。

この屋敷から追い出された後の生計の立て方や、どうやって生きていくかなどを取り留めなくおしゃべりするのが主な活動内容だ。二人とも世間知らずだから話の内容はふわふわしているけれど、俺は仲間ができた気がして嬉しかった。

マクシミリアンが本当に追放されるかは微妙だが、(少なくともゲームのストーリーでは追放されてなかったし)こうしてコネを作っておくのはエライザの将来のことを考えても得だ。



ノイシュタット邸中庭の、小さな小屋の中で時間も決めずダラダラとおしゃべりしていた。

小屋は8畳くらいの小さな建物で、木で組まれている。中は簡易なテーブルと椅子、棚にごちゃごちゃと庭の管理グッズが置かれている。庭師さんが主に使う小屋だが、いない時に見計らって忍び込んでいた。

俺は小屋の中をキョロキョロと見渡す。中身はわからないがさまざまな瓶や缶が置かれており、奥の方には花や草も管理されていた。



「ここって本当不思議だよな。花と草ばっかりだし」



俺は棚の瓶を手に取りながら話しかける。マクシミリアンは簡易の椅子に座って本を読んでいた。



「ロベルトさんは薬草にも詳しいからね。そこにあるのは調合された薬草だよ」



マクシミリアンは立ち上がり、棚にある瓶を精査する。ロベルトとはこの小屋の管理人だ。庭師でもあり、薬師でもあった。

これはヨモギを調合したものだね、切り傷に効くよ。こっちはタンポポ、むくみに効く。あとこれはアロエかな、火傷に効くんだーーー、

マクシミリアンは瓶のラベルと中身から薬草の名前と効能をつらつらと言い当てた。


「え、すごくない? お前見ただけでわかんの?」

「まあ、本で読んだから。薬草とか、好きだし」


マクシミリアンはなんともない顔で瓶を棚に戻した。そのまま調合の器具もいじって、これですり潰すんだ、とか、これで混ぜるんだ、と説明をする。なんだかその説明口調と手つきから、かなり慣れてることがわかった。俺には違いが全くわからない。素直に感心してしまった。


「薬草も作れんの? すげーじゃん、マクシミリアン」

「……まあ。僕は回復魔法が使えないから……薬草に頼るしかないし」


光の魔法、苦手なんだよね、と小さくマクシミリアンはこぼした。そのまま小瓶のひとつを手に取る。


「いやいや、十分すげーよ! 花屋だけじゃなくて医者にもなれんじゃん」

「………そうかな」

「そうそう! こんなに詳しいヤツ他にいねぇんじゃねえの?」


もっと自信持てよ、と肩を叩いて、俺はにかっと笑った。マクシミリアンは少し照れたように、ふふっとはにかんだ。



◇◇◇



マクシミリアンは魔力レベルは4、平均的といったところだ。しかし、薬草の知識や花の知識が豊富で、おそらく一般的な薬師としてはもう十分にやっていけるだろう。回復の魔法を使える人は少なく、街では薬屋が重宝されている。一般人は薬草頼りの人も多い。


追放されたあとの職、ということを俺は真剣に考え始めた。今のエライザは魔力レベルは0。剣はできるが、職にするには魔法が使えないとダメだ。他の仕事をする……というのも、魔法が使えない人を雇ってくれるところは少ないだろう。

だとしたら、エライザも手に職をつけていた方がいい。俺は椅子に座っているマクシミリアンをチラリと見た。マクシミリアンは目を輝かせながら本を熟読している。立派な皮の表紙には、薬草大辞典と載っている。

俺はマクシミリアンに声をかけた。


「なあ、マクシミリアン。お……私に、薬草について教えてくんない?」

「え……エライザが?」


マクシミリアンは首を傾げる。

エライザと勉強、という言葉が繋がらないんだろう。


「そう。もし追放されたとして……やっぱ手に職持ってたくてさ」

「そっか……まあ、いいけど」


マクシミリアンはちょいちょい、と手で合図してエライザを呼んだ。俺はマクシミリアンの真正面に座る。

それから読んでいた本を広げて、ひとつひとつ解説をしてくれた。




それからと言うもの、俺たち追放ズは薬草の勉強をするようになった。小屋にあるものを使って実際に作ることもした。俺は不器用だったから混ぜるのにも一苦労で、マクシミリアンはそれを見て笑っていた。


薬草は奥深い。容量を間違えれば毒にもなるし、毒草と見た目そっくりなものもあったし、手順を間違えれば即無駄になる、ということもあった。覚えるのは大変だったが、わかってくるとだんだん面白くなってくるもので。

手慣れてくると紅茶を作ったりもできた。茶葉を乾燥させて蒸らして……と、手順は調合よりも楽だ。俺たちはサクラやローズヒップなどのオリジナルブレンドティーにも勤しんでいた。

手に職、と言う意味ではだいぶアドバンテージになったんじゃないだろうか。



これでいつ追放されても大丈夫だな!と、マクシミリアンと二人でキャッキャしていた。





「ほぉー? 追放とはなんだ? エライザ。詳しく説明してくれないか?」


ぎぃ、と、古い木製の扉が開いた。

かなーり、聞きたくない声が聞こえた。


冷や汗をダラダラ流しながら、二人して扉に目を向けた。すると、にっこりと笑いながら、でもすごい圧力をかけてくる、レオンが立っていた。

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