王さまに会うんだって
お久しぶりです。
間空いてしまってすみませんでした。
ブクマありがとうございます。
しばらくするとバタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
頭上で耳がぴくぴく動く。
若干狼型の時より、聞こえが悪い気がする。誤差の範囲かな。人間の時とは聞こえ方が違う気もするし。
「失礼します! 謁見の許可がおりました!
すぐに登城するようにとの事です!」
扉の向こうから、ゴンゴンゴンというノックの後に、騎士と思われる人の張り上げた声がかかる。
「わかった。準備が出来次第すぐに向かう」
カルロス隊長、カールは顔色も変えずに応えた。
「えっけん?」
「そうだよ。本当だったら、すぐにでもお目通りしなければならなかったんだけど、ちょっとバタバタしちゃったからね」
バタバタ……降臨した場所のせいかな?
それとも神官たち……主にマルチャン副神官長が騒いだせい?
どちらにしろ神獣だと分かったからには、放っておいてはくれないんだろうな。
正直気が重いけど仕方ない。サクッと行きますか。
歩いて行ける距離を、態々馬車に乗って向かう。
まだ人型は皆にお披露目してないし、騎士団が保護した神獣の外見が伝わっているのもあって狼型で行く事にした。
バスケットの中で悠々自適。
厚めのクッションを敷いてくれているから、馬車の揺れも気にならない。どころか、揺れが心地よくてついうとうとしている間に着いたみたい。
謁見ていうくらいだから、だだっ広い広間に玉座があって、ていうのを想像してたけど、通されたのは応接間みたいな部屋だった。
「よく来たな」
落ち着いたテノール。バスケットの中からチラっと覗くと、40代くらいに見える男の人。亜麻色の髪に鋭い碧の瞳。こわい。
隊長さん……カールは最敬礼、マリはバスケットを持ちつつ器用に膝をおった。
髪の色と鋭い目付きが、昨日の王子さまに似てる。この人が王さまらしい。王さまの座るソファには、王妃さまらしい綺麗な女の人がいた。隣のソファには、17、8歳に見える少年、それに彼より少し幼いくらいの少女がいる。
昨日の少年王子はいなかった。
王さまはカールに鷹揚に頷くと、私に目を向けた。
鋭い視線に射抜かれ威圧を感じる。何で?
ムッとして見つめ返すと、威圧的なオーラが増した。ていうかこれ殺気じゃないか!
何なの!? 呼び出しておいてその態度!
いくら王さまだからって失礼じゃない!?
見た目可愛い犬っころだってなめるなよ!
「グゥゥ」
牙を見せて威嚇する。王さまが何ぼのもんじゃい!
バスケットを抱えたマリが狼狽する気配を感じ、若干申し訳なく思うけど、ここで引いたら神獣としての矜恃が廃る!
絶対に許すなと本能が騒いでるんだ。
睨む目に力が入る。と、
「ふっ」
笑われた!?
と同時に威圧感も殺気も綺麗に消えていた。
「いや、悪く思うな。
どうやら神獣というのは本当らしいな」
はい?
「まぁ、陛下。お戯れが過ぎますわ」
お戯れだと?
「小さくとも立派に神獣らしい。
余の殺気をものともしないのだからな」
いや、さすがに殺気向けられたら、野性の動物なら本能で分かると思いますがね。
ふう、と頭上で息を吐く音がした。
見上げると、マリの顔色が若干青ざめてる。王さまの殺気に当てられたのかな?
むぅ。王さま、許すまじ。




