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女性騎士

短いです

8/14 誤字を訂正しました。

確率→確立

 マリウスさんの部屋に作ってもらった寝床に丸まる。

 寝床って言っても、例の籠をマリウスさんのベッドの脇に置いてもらっただけだけど。


 はぁ……。


 なんだか大変面倒くさい事になりそうな予感。


 マルチャン副神官長が肩を怒らせて帰った後、私は狼型になってマリウスさんの部屋に匿われた。

 拾った子犬が実は神獣だったって言う噂が寮内を駆け巡り、大騒ぎになってしまったから。

 一日経った今も、まだ私はマリウスさんの部屋から出られないでいる。



『そんな事気にしないで下さい。それに、ラルちゃんのせいではありませんよ』



 優しいマリウスさんはそう言ってくれたけど……。

 明らかに私のせいだよね、これ。


 だって、青騎士の皆が私を連れ帰ってくれなかったら、こんな事態にはなってないし。


 何でこんな事に……。

 私がお肉を食べたかったばっかりに……。

 ううん、そもそもデミさんがちゃんとご神託してくれてたら……。

 神殿の人がご神託を正しく理解してくれてたら……。

 マルチャン副神官長がバラさないでいてくれれば……。


 はぁ。

 でも人のせいにしちゃダメだ。

 たられば言ってたって何も状況は変わらない。


 だけど、私に出来る事は、今は何もない。


 何かしたいのに、何も出来ないこの状況が辛い。


 はぁ。


 と、何度目か分からないタメ息をついた時、控え目なノックの音がした。

 続いてカチャ、と鍵が開く音。


「失礼致します」


 その声と共に、お盆を持った女の人が部屋に入ってきた。

 誰?

 何で鍵開けられたの?

 

「神獣様、お食事をお持ちしました」

「くぅん」


 お食事? もうそんな時間なんだ。

 でも、こんな状況で食欲なんて……。



 ぐぅ


 ……あります。




 女の人が持って来てくれた食事を平らげると、改めて彼女を観察する。

 青騎士の人たちの軍服と似たような格好だけど、女性用なのか少し形が違う。


 彼女も騎士らしい。女性騎士もいるんだ。

 マリウスさんよりも濃いめの金色の長い髪を一つに束ねている。

 膝をついてうっすら笑みを浮かべるその顔は慈愛に満ちていて、なんだかホッとする。

 一見すると大人しそうな感じで、騎士服よりもシックなドレスが似合いそうな優しげな顔立ちだった。


 パタパタ尻尾を揺らして彼女の膝に両手(前足)をかける。

 彼女は私の期待通り、恐る恐るといった様子ではあるけど、顔の脇を撫でてくれた。


 細くて優しい指が耳の後ろをかく。

 ああ、そこそこ。もっと強くてもいいよ。


「ふふ、本当に可愛らしい」


 そ、そう? ふへへ

 あなたもとっても綺麗ですよ。お名前教えて下さいな。


『まぁ、ありがとうございます。私は青騎士団第五部隊隊長のアナベル・オルティスと申します。以後お見知りおきくださいね。マリウスもカルロス隊長も手が離せなくて、神獣様のお食事を運ぶように頼まれましたの』


 あら。アナベルさん隊長さんでしたか。

 女性ながらに隊長とは、お強いんですね。


『ふふ、第五部隊は女性のみで構成されてるんですよ』


 へぇ。グラナードって先鋭的な国なのかな。


『そうですね、この国は女性の立場が他国よりも確立されています。先の国王様が、能力があるのに性別だけで可能性を潰すのは愚か者のする事だと』


 素晴らしい!


『ええ、おかげで私も、女だてらに騎士団に所属する事が出来ております。ただ、女性騎士が認められたのは、つい最近の事ではありますが』


 そうなの?


『始めは書記官や事務官などの登用から始まりました。暴漢と対峙する騎士などは、やはり女性の登用は体力的に無理があると……』


 まぁねぇ……。基礎体力が違うもんね。


『貴族の子女は身を守る為に、ある程度の剣の嗜みはあるものですが、そこに魔力が加わると下手な男には負けませんよ。騎士団に入るような女は、剣の腕だけでも負けませんけどね』


 頼もしい限りですね。

 何にせよ、女性の活躍する場が多いのはいい事です。


『ええ、本当に』


 うんうん。……うん?


 あれ? 会話してる。


『念話ですよ』


 ああそうか。って、ええ!?

 人間と念話したの初めてだ!


『そうなのですか? 確かにあまり使える者はいませんね』


 そうなの?


「人には言葉がありますからね。あまり必要ないのですよ」


 今度は声に出して言う。


「ラル様のお声が聴こえましたので念話させてもらいました。でもごめんなさい、ちょっと魔力が……」


 あ、そうか。こちらこそ気付かなくてごめんなさい。

 でも気を付けないと。

 私の思考がダダ漏れになっちゃう。


「大丈夫ですよ。念話が使える者にしか聴こえませんから。でも気になるようでしたらラル様、魔力をコントロールする訓練を受けられますか?」


 そんな事出来るんですか?


「ええ。マリウスに言って講師をつけましょう。恐れながらラル様は、まだ魔力のコントロールが覚束無い様子ですし」


 そうなのかなぁ? そうなのかも。

 魔力があるって知ったの最近だし。

 どこに念話使える人がいるか分からないもんね。

 

 でも逆に聴く事も出来る?

 いやいや、そんな人はしっかり訓練してるだろうからダダ漏れにはならいか。

 それに盗み聞きみたいな事になったら気まずいもんね。


「……今もダダ漏れですよ」


 はぅっ!

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