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パン職人の弟子の弟子。スローライフの旅へ出発  作者: 櫛田こころ


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第49話 次に鍛冶部門に依頼したいのは

 ガイウスにチーズカレーパンを出してきてから、少しして。


 ルチャルは騎士寮には戻らずに、鍛冶部門の区域に足を運んでいた。


 以前頼んだボウルの使い勝手もいいのだが、そろそろ別の調理器具も頼みたいと思ったからである。



「ほーぅ? 鉄鍋??」



 彼用にも持ってきたカレーパンを食べてもらっている間に、簡単に欲しい調理器具を伝えた。今日は大丈夫だったが、そろそろほかの揚げパンを作るのにかなり大きな『中華鍋』あたりが欲しいとルチャルは調理器具の少なさから悩んでいたのである。


 寸胴鍋はあるのだが、油料理がそこまでレシピとしては復活してないので、この国にはフレンチフライのポテトすらおやつにも存在していなかった。



「四角とかじゃなくて、鉄板を少し湾曲にしたものでもいいんですが」

「……面白い鍋だな? セルディアスにはあんのか?」

「祖が広めてくださったので、普通にありますね? ホムラ皇国では普通の調理器具だったみたいで」

「よしきた! もうちょい詳細を教えてくれ。今から作ってみる!!」

「はい!!」



 鉄の厚み。


 油を馴染ませるための手入れ方法。


 それらが完了してから、せっかくなので試作ついでにと、収納棚に入れておいた発酵させてからバッドに並べたカレーパンを揚げていく。


 じゅわ、っと調理する音と光景を目にしたことのない人間にとっては、摩訶不思議な光景かもしれない。フィンドは感心しているかのように、顎に手を添えながら観察していた。



「こんな感じに火が通るのか?」

「一度に五個以上揚げれるのは、こちらの手間も楽になります。……揚げたて、食べます?」

「いいのか!?」



 紙で巻いて、やけどだけは注意するようにと告げたが。あちち、と言いながらも、フィンドは出来立ての美味しさに感動したのか、『うめぇ!!』と声を上げてくれた。



「ものによっては違いますが、揚げパンは揚げたてが美味しいですからね?」

「マジで、鍋ひとつでこんなにもうまいもん作れるのか!?」

「この鍋は、油料理だけでなく。持ち手をしっかり持つことで豪快なお米の料理も作れたりします。チャーハン、という料理ですね」

「……嬢ちゃんは出来んのか?」

「身体強化して、なんとか程度です。味は普通ですねぇ?」

「そこは大人の腕力が必要になんのか。……ますます、面白いな?」

「フィンドさんに作っていただいた、ボウルやザルはお陰様で料理長たちの訓練にすごく役に立っています」

「騎士寮の方は、か。……うちんとこも、無理か?」

「考えているんですが。副団長のシュートさんが、適度に休めと言うので」

「わかる! 役に立ちたいが、働きづめになると……休むの忘れるよな!」

「ですよねぇ~」

『褒めたことじゃないさねー』



 とりあえず、鉄鍋は完成できたので収納棚に入れていき。


 食堂に戻ってから、さっそくマルシスたちにも使ってもらうことにした。



「そーっと、生地を滑らすように入れて」

「やぶれ……て、ないですね。このまま、しばらく?」

「側面がきつね色になったら、トングでひっくり返してください」



 さっそく、作っていたカレーパンを揚げていく練習を始めた。包餡の練習はまずまずだが、初心者にしては筋がいい。日夜、料理を作り続けている分、その成果が体に沁み込んでいるのだろう。


 ルチャルの指導も、出来るだけ優しく教えてはいるが。慣れてきたら、少し上級向きにも切り替えたりしている。そのことに、シャルルも含めて気づいているかどうかはわからない。


 とりあえず、作ってもらった鉄鍋でカレーパンを揚げていけば、綺麗なきつね色で穴も開いていないパンが出来上がったのだった。



「これを! 私が?」

「はい。問題ありませんよ~。あとは、内側が生焼けになっていないかの確認です」



 包丁で半分にわったが、どの部分にもしっかりと火が通っていたのでそのまま試食することにした。



「ん! 外はともかく、中がふんわりしています!!」

「カレーとチーズにもきちんと火が通っていますよ? マルシスさん、合格です」

「……私も、作るんですよね?」

「シャルルさんもですけど、ここにいる料理人さんたち全員出来るようになった方がいいですよ~?」

「「「「「「「えぇえええ!?」」」」」」」



 少しスパルタな発言をしたかもしれないが、そこは事実だ。


 鍛冶部門の寮でも、そろそろ来てほしいような雰囲気はあったから、ここは一旦マルシスとシャルルに預けてもいいくらいには指導できたと思う。


 なので、そこはガイウスに許可をもらってから、行くことになったのだった。

次回は火曜日〜

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