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パン職人の弟子の弟子。スローライフの旅へ出発  作者: 櫛田こころ


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第34話 朝の仕込みから

 自分の寝相の悪さはなかなか改善出来ないにしても、フォローしてくれる(?)シュスイとかがいるから、とりあえずは追加のパンを作ろうと決めた。


 朝ご飯をたっぷり食べる前の、軽めのパンとくれば。


 卵のフィリングを白パンやバターロールに挟むだけの、簡単オープンサンドがいいかもしれない。白パンなどの『ごく普通の小麦パン』を作る上で、味変は色々あった方がいいからだ。


 焼いたソーセージを挟むだけでもいいし、濃いめのケチャップで炒めた麺も。


 それを思い浮かべるとよだれが出そうになるので、騎士寮の廊下を早足で歩きながら厨房に向かっていく。


 マルシスたちはまだいないので、灯りの魔法を使って軽く掃除してから『仕込み』を始めることにした。計量も同時進行で済ませていたため、シュスイに変身してもらえれば生地作りもすぐにできる。



「あたし、卵のフィリング作っているから~」

『お任せ~』



 ちょっと固めのゆで卵を作り、マヨネーズと塩コショウ。ほんのちょっとの砂糖を入れて混ぜていけばフィリングは完成。乾燥予防のために、これは無限収納棚に入れておく。その間に生地が出来たら、調理台の上に乗せて専用のスケッパーで分割していく。


 ルチャルくらいの職人になれば、だいたいの目分量で一個一個のパンの重さがわかるからだ。最初はその積み重ねのために死ぬほど計量の訓練をしたことは……少しばかり、懐かしい思い出だ。


 次に、分割していびつな生地を両手で転がすように丸めて、収納棚から出した鉄板の上に均一に並べていく。出来たら、シュスイがヒト型になって手伝ってくれているので収納は任せる。終わったら調理台の上を綺麗にして、まずはココアでひと休み。


 この厨房で常備しているココアパウダーを分けてもらったので、ルチャルが丸めの作業をしている間にシュスイが淹れてくれたのだ。



「ありがと。おいし~~」

『コクがあって、いいねぇ? フォンダンショコラとかのチョコレート菓子も期待できそうだ』

「今日、公主様のおやつに作っちゃう??」

『昨日の揚げパンで気に入っていたから、いいかもしれないねぇ』

「うんうん」



 飲み終わる頃に、マルシスとシャルルらがやってきたので驚かせてしまったが。仕込みをしていた説明をしていたが『もう??』とさらに驚かせたようだ。



『ちょっとした仕込みさね』

「あたしに必要な分なので、気にしないでください。皆さんに教える方はこれからです」

「「これから??」」

「たっくさん、たっくさん。白パンを作って、しかもサンドイッチ風にしましょう!!」



 さっきの卵についてはルチャル仕様なので、もう一度作るのは苦ではない。マルシスたちにはまだサンドイッチの概念が薄いので、食パンよりも白パンなどの『丸パン』をたくさん作るところからの指導が安心できるだろう。そう考え、ルチャルは手ごねから『白パン生地』を作るために……収納棚から、自分の顔以上に大きな銀ボウルを取り出した。これが厨房にあるかマルシスに聞くと、ないと首を横に振られた。



「鍛冶部門に聞いて、作ってもらうのもありですね?」

「ですね、料理長。私もそれ同意です」

「鍛冶って、包丁以外も作ってもらえるんですか?」

「ええ。ルチャルさんのパンを差し入れに持っていけば、きっと気に入って作ってもらえるかもしれないです」

「……なるほど」



 ライオスとかみたいな堅物かどうかはわからないが。シュスイのように変身した『機材』をいきなり作れるかわからないため、まずは初歩的な道具から見てもらうのもいいかもしれない。そのためにも、今から差し入れも兼ねたパンを作るのに計量から指導を始めるのだった。

次回は火曜日〜

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