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念願の異世界転生、転生先はまさかの木!!  作者: 未光
前世の話をしまようか

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15/24

少しは自分の重さを理解しろ。そして、俺の腰を労われ

 次の日。朝、太陽の光が俺を目覚めさせる。


「あぁ~今日も一日が始まるのか……」


 背伸びをして窓を開ける。風が俺の髪を揺らす。まるで、今日一日を応援しているかのように。


 「今日も一日頑張るぞ!!」


 と。言いたいところだが、現実は……。

 ピピピピッピピピピッ


「うぅ……」


 布団に深く潜り、手だけを伸ばした。目覚まし時計を探し、見つけ次第消した。

 しかし、俺は俺のことをよく分かっているから、再びアラームが鳴る。

 ピピピピッピピピピッ

 今だ手以外布団に隠れている俺に他の誰でもない俺自身が話しかける。


「今日こそは朝に行くんだろ。朝日見たいだろ。テスト前に心を整えようぞ」

「今から行っても朝日は見えないだろ」

「いいから起きろ~~!! ハイ、3、2、1、はい、起きる」


 カウントダウンが始まり、俺はようやく布団から脱出した。


「おはよ~」


 頭を搔きながらリビングに向かうとブランがいた。

 ブランは俺を見るなり、散歩用具の元に行った。そしてクルクル回っては「ワンワン」と鳴いた。

 どうやら散歩に行きたいらしい。

 ブランを撫でながら、時計を確認する。


「ブランも一緒に神社行くか?」

「ワン」

「よし、支度するから、ちょいと待っとけよ」

「ワン」


 はい。可愛い。

 可愛いブランを確認してから、俺は支度をした。

 そう俺たちはたまにこうしてお互いの気が合えば、一緒に神社に行っている。

 俺らは神社に向かいながら話していた。


「ブラン。今日こそ最後までちゃんと自力で階段の上り下りするんだぞ!!」

「ワン」

「そう言って、前回クタクタになってたじゃないか。ほんと返事だけはいいんだから」

「ワンワン!!」

「あ? まぁたしかに自力で上り下りはしてたけどさ……。どんだけ頂上で休憩したと思ってるんだ?」

「クゥ~ン」

「あぁ~怒ってない怒ってない。怒ってないよ」


 明らかにションボリしたブランを見て、心が削られ必死に訂正した。


「ほら~よしよし」

「ワン」

「だけど、今日は学校。なんならテスト。早めに学校行きたいんだから休憩せずに帰るぞ」

「ワ……ワン」

「さっきまでの威勢のいい返事はどこへやら。大丈夫か? 心配だな。さすがにブラン抱えて下るのは腰に悪い」

「ワン~!!」

「しょうがないだろ。ブランは大型犬なんだから重くて当然だろ? そう気にすんなって」

「ワン……」

「拗ねんなよ」


 神社の目の前まで来て、俺とブランは長い長い階段を眺めた。

 最初はブランが先導をきってピョンピョン階段を上っていたが、だんだん俺の後ろをゆっくりとついてくるようになった。


 先に階段を登り切った俺は体を伸ばして呟いた。


「やっぱここら辺は空気が気持ちいいな……」


 何度見ても見とれるこの頂上からの景色。そして目の下で動く白いもふもふ。ブラン。


 ため息をしてから、ブランに投げかける。


「お~い、ブラン平気か? ほら頑張って」

「クゥ~ン」


 帰ってきたのは情けない声。それでもブランは自力でこの長い階段を登り切った。ブランはお座りをして俺と一緒の景色を見た。その目があまりにもキラキラしているもんだから。俺は無意識に頬が緩んだ。


 この表情がたまんないから、多少めんどうでも。また一緒に来たいって思っちまうんだよな。


「ワン!!」


 ブランは俺を見つめ返し元気よく鳴いた。俺も鏡のように笑顔で答えた。


「やっぱ最高だよな」


 ブランは俺の周りを一周してから、賽銭箱近くまで駆け寄り鳴いた。


「分かってるよ」


 俺はブランの横にいき財布を開いた。そして115円を取り、賽銭した。

 ちゃりん。


「今日も昨日に引き続きテストです。昨日、おにぃに勉強を教えてもらったんで、それに報えるようにテストに挑んできます。良ければ応援のほどお願いします。

 まぁ一番のお願い事は、異世界転生なんで。そこだけは勘違いしないようにお願いいたします。

 では、異世界転生出来ますよ~に」

「ワン」


 まるで俺の願いを一緒に願っているように、タイミングよくブランは元気よく鳴いた。


「ブラン……」


 ブランを見つめて思いっきし撫でる。


「ブランも応援してくれるか。ブランも異世界転生に興味があるのか? そうだな……。従魔として一緒に冒険に出るのもいいな。ほら、そういう漫画とかあるだろ。ブランが最強的な……」

「ワンワン」


 ブランは興味津々そうに尻尾を振って鳴いた。


「そうだよな。やっぱ異世界転生は誰にとっても夢だよな」


 撫でていた手を止め、立った。そして手を鳴らしてブランに向き直った。


「ってことでブラン。帰宅だ」


 ブランは”帰宅”という言葉を聞いた瞬間、俺から目を背け、さっきまであんなに振っていた尻尾も動きを止めた。

 

「ブラン~。今日は休憩なしで頑張るって話だったよね?」

「クゥ~ン」


 ブランは器用に上目遣いを使い、俺に媚びた。


「そんな可愛い顔で見つめられても、ダメなものはダメ。今日は、早く学校に着きたいんだから」



* * *

 ここで勘のいい君は分かったはずだ。テストとかそうゆう特別の日じゃなかったら、上目遣いにやられるのか? と。

 いい質問だ。それはもちろん……。

 屈するんだろ?

 ちょ、まだ何も言ってないんだが?

 だって前回、可愛いからってなんか許してたじゃないですか。

 あれは……。今回だけって言ったじゃん。そうゆうことなんだよ!!

 はいはい。要するに普通に上目遣いにやられるちょろい奴ってことっすね。

 だから、違うってば~~。


 一人芝居でした。パチパチパチ〜。

 あぁ~悲しいから早く、俺に話し相手をくだせぇ~。

 現世に進展をくだせぇ~。

 いつまでこんな……。

 だいたい死んだ理由とか死ぬところの回想シーンが終わってから進展があるもんだよな?

 じゃあ俺もその死んだところやれば進展があるか?


 このあとなんやかんやあって俺は死にました。


 これで進展がくるって言うんですか?

 まぁここまで来たので全然気長に待ちますけどね。

 あ〜ちなみに言うとあと二日? 一日? で木村大地の生は終了いたしますね。

 あ、ネタバレ嫌だった? でもでも、なんで死んだとかは言ってないし、曖昧に言ったし許してよ。ね。

* * *



 ブランはまた俺から目を背けた。そして舌打ちをするように鳴いた。

 

 すべて計算の内だったってわけか。


 そしてそこから動こうとしない。どうやら抵抗しているらしい。普段ならそれに張り合うが、今の俺には時間がない。

 俺はため息をついた。


 しかたがねぇ~な。


 俺はブランを抱えた。


「途中までだからな」

「ワン!!」

「……返事だけはいいんだから」


 そして俺は渋々ブランを抱えて降り始めた。


「おも……」


 思わず口に出た言葉にブランは明らかに不機嫌な顔になった。


「言われたくないなら、自力で下りるんだな」

「……」

「ってそこは下りるところだろ。まじで腰が……」


 腰に耐えながらも俺は結局ブランを抱えたまま下りる羽目になった。ブランが自力で下りたのは最後の5段だけだって言うのにブランは誇らしげにドヤ顔をしていた。

 

 マジで、こいつ……。腰を痛めながら運んでやった俺の気持ちも知らずに……。生意気な。

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