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巨大な光る石像であるカムラや魔王すらも味方につけた。フレイヴは鳥の姿をしたカムラと弱々しく飛ぶクラッシャーに目掛けて一直線。一気に畳みかける作戦だった。彼らが紡いでくれた希望を無駄にするわけにはいかない。
大声を上げるフレイヴ。もちろん、カムラだって。過去の歯車を構えた。後方にいる石像も。まるで一緒にと言わんばかりに。
「あああああああああ!!!」
瀕死状態のクラッシャーの喉へとフレイヴは過去の歯車を突いた。それでも鳥の姿をしたカムラは止まろうとしない。いかにもその先である未来へと突き進もうとするようにして。
闇は深い。真っ黒な夜のように。星のない夜のように。手を伸ばしても、掴めそうにない独りぼっち。周りを見渡しても、誰もいないから悲しい。誰かに会いたい。誰かと一緒にいたい。悲しい結末は嫌だ。どんでん返しも嫌だ。すべてはハッピーエンドになるように。それでも、光は見えない。夜は明けない。
「フレイヴ」
誰かがフレイヴの名前を呼んだ気がした。それに応じるようにして、手を伸ばす。どこまでも続く闇に手探りで。
――逢いたい人がいる。大切に思っている家族や友人よりも。誰よりも逢いたいあの子。
「気持ち、わかるよ」
誰かが自分の気持ちを汲んでくれた。いい人だな、と思う。フレイヴはもっと手を伸ばす。その先に何もないとわかっていながらも。
――もう一度逢いたいんだ。
「可哀想だな、お前」
誰かが嘲笑するようにして言った。嫌なことを言う人だな、と思っていたが、その人は「でも、その思いはいつか報われるよ」と言ってくれた。本当は優しい人なんだ。
――そう言ってくれるだけでも気持ちは嬉しい。
「それって、恋焦がれているんだよ」
誰かが微笑ましそうに言った。そうか、これは――。
「……ぼくは……カムラが好きなんだ」
友人としてではない。一人の異性として。初めての心の感覚。女の子なんて、と思っていた頃がばかばかしい。
「フレイヴ」
誰か――カムラがフレイヴの名前を呼んだ気がした。今度は近い。もっと、もっと――手を伸ばせば、彼女に逢えると思った。彼は叫ぶ「カムラ!」と。
「カムラに逢いたい! ぼくは過去のカムラとかじゃなくて、ぼくが知っているカムラに逢いたい!! 誰よりも逢いたいんだ!!」
フレイヴの手が何かに触れた。その直後、光なき闇は一瞬にして払われ――その場には美しい花畑が現れるのだった。どこかで見覚えのある美しい光景。どこで見たんだっけ? 温かい日差し、爽やかな風は様々な色とりどりの花びらを飛ばしている。何とも穏やかな午後だろうか。
ずっと、ここにいていたい夢のような場所。きっと、ここにカムラはいる。そう思ったフレイヴはこの花畑を駆けるのだった。
これまで見てきた現実とはほど遠い、美しき場所。いつまでも時が止まったような花畑でフレイヴがカムラを探していると、前方の方に一本の木が立っているのが見えた。
走ることを止めて、ゆっくりとした足取りでそちらへと近付いた。段々と近付くにつれて誰なのかがはっきりとしてくる。赤い実がある木だった。みずみずしくて、美味しそうな果物である。フレイヴがぼんやりとそれを見ていると――。
「美味しそうでしょ」
フレイヴの後ろには一番逢いたがっていた誰かさんがいた。その誰かさんの姿を見て彼は驚いたようにして目を見開くのだった。




