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フレイヴがクラッシャーたちに刃を向けた。ということは、交渉決裂になる。彼は名なしを殺すという選択肢を取らなかった。なるほど、今回はこちらに殺されるという残念な結果となるのですね。次に期待致しましょうか。
「だったら、今ここで死ねばいいっ!」
――こちらの意を解さないならば。永遠と続く世界を望むのならば、その通りにしてあげようではないか! 何も知らないただのガキが五億九千九十回目のめそめそと泣く未来が視えているんだよ!
二人のクラッシャーは真っ黒な剣を手にしてこちらに攻撃を仕掛けてきた。
――この攻撃、受けない方がいい。避けるが吉。避けるならば、どこへ避ける? 後ろに一歩だけ避けてごらん。
フレイヴが一歩だけ後ろに下がった途端――一人のクラッシャーの剣が、彼がいた場所へと当たった。
――そしたら、前に踏み込んで突くんだ。
どこからともなく聞こえる優しい声にフレイヴは従った。言われた通り、前方に踏み込んで、過去の歯車の刃先を突き出す。その先にいたのは――こちらに対して攻撃を仕掛けようとしていたもう一人のクラッシャー。刃は彼の肩へと突き刺さった。彼らにとって予想外なことだったが、まだまだここで終わりではないぞ。なんて怪我を負ったクラッシャーが過去の歯車の剣身を掴み取った。このまま、彼らの方へと引き寄せて刺すつもりだろう。
――それぐらいはお見通しだ。手を放せ。
されるがまま、言われるがまま。フレイヴは言葉通りに実行する。
――想像力が皆無ではないだろ?
――もちろんっ!
直後、奪われたかのように取られてしまった過去の歯車は爆発を起こすようにして、二人のクラッシャーに棘を出した。彼らの体中至るところにその棘は刺さる。
「ぐぅっ……!」
会心の一撃だ。だが、一人のクラッシャーはそれを狙っていたかのようにして、血だらけでもお構いなし。フレイヴに向かって、攻撃を仕向けてくるではないか。今の彼は丸腰状態。はっきり言って、太刀打ちなんて。
――できるとも!
右手には何もないはず。それなのに、手に握っているのは――過去の歯車の棘? フレイヴはそこから剣を展開するようにして、クラッシャーの攻撃を防いだ。そこで終わりではないのがこの剣の特徴。まだまだ肥大化できるぜ!
膨張するようにして、過去の歯車はクラッシャーたちに向けて第二の棘を解き放った。一番近くにいた者は当然刺さるのだが――残念なことにその飛び攻撃を軽々しく回避する者もいる。そいつは勝機が見えたとでも言うようにして、フレイヴの目の前に真っ黒な剣を持ってきた。
避けるにしても、防御をするにしても、どちらもできっこないこの状況。確実な死。それが脳裏に浮かんだときだった。真っ黒な剣を弾くようにして、こちらも真っ黒な剣が現れた。だが、クラッシャーが持つ得物と違って、こちらは過去の歯車のように美しい光を帯びているではないか。それを見て、まさかと飛んできた方向を見た。そちらには――。
「ちょおっと、ラッキーな現場に遭遇って感じぃ?」
そう言う人物の使命はクラッシャーを倒すこと。フレイヴと目的は一致している。そう、その人物は名なしだった。




