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魔王の登場により、緊迫感はより一層高まった。今のフレイヴとカムラの関係よりもピリッとしている。魔王はフレイヴの方を見て「騙されただろ?」と敵意のない歩み方をしてくる。
「俺だって、信じていれば会えるよだなんて言われたあかつきには騙され、こいつの思惑通りにここまで来た。その結果がこの姿だよ」
暗くてよく見えないが、忘れられた森の中で会っていたからよく覚えている。忘れるだなんて言語道断。ナズーに似ていて、似ていない格好だった。真っ黒な体、それは鎧とも呼べるような頑丈な代物。魔王はカムラ――名なしに騙されてこのような格好になったという。そう言い張る彼に彼女は「はあ?」と金属の檻特有の音を鳴らしながら立つ。
「自業自得でしょ。神様の日記、イタズラしてさ。結局クラッシャーと変わんないし」
「確かに俺は世界改変を行った。が、お前が人を責められるような立場だと思ったら大間違いだからな」
「それを言うならば、あんただってそう。あんたがナズーなんてものを作ったから、この世界の人たちはあんただけを憎んでいる。もちろん、フレイヴだってそう……だった、と過去形の方がいいかな? 今はこいつの味方だもんね」
「えっ、ちょっと。カムラ、ぼくは――」
「あぁ、もういい。もう何も聞きたくない。黙って一緒に行動していれば、何も知らないガキが魔王を倒してくれるって思ってたのに。ここにきてクラッシャー、あんたがバラすとか最低」
ぎろり、とフレイヴはカムラに睨まれた。初めてだった。友達にこんな目を向けられるだなんて。胸の奥がきゅっと苦しかったが、すぐにそれは治った。誰かが、心を優しくなでてくれている気分だったからだ。誰が? ああ、そうか。クラッシャー。心の中に彼がいることを忘れていた。カムラはクラッシャーに対して睨みつけていたのか。
「カムラ、ぼくは――」
それでも、とフレイヴが言いたいことを言おうとするのだが――。
「ぼくはきみが大っ嫌いだ」
誰かが勝手にそう言った。いや、誰なのかはわかる。思わずフレイヴは口を塞いだ。だが、口は止まらない。
「嘘つきのきみが嫌い、嫌い、大っ嫌い。思うよ、死ねばいいって。何度殺しても死なないならば、ぼくが殺してあげる。ぼくがこの世界を終わらせてあげる」
最悪だ。人の体を乗っ取ってまで、自分の思いとは裏腹なことを言ってのけてしまったのだから。見てみろ、カムラを。とても苛立っているのがわかる。もし、この檻が彼女の力で壊れるならば、自分はどうなるかが想像したくもない。
――こいつ、傍観しているだけだと思っていたのに!
――はっはっはっはぁ! 俺が指をくわえて事の顛末を見届けるだけと思ったら大間違いだっ! 俺は誰よりも、最初からこの世界の終わりである世界の果てを実行しようとしていたのだからな!




