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魔王に会って話がしたい。これに偽りはなかった。フレイヴの濃い青色の目はクラッシャーの薄くて青色の目に突き刺さる。信念を貫き通したいという思いに押されたのか、彼は握る剣の手を緩めた。
「あいつに会って、どうする?」
「話して決める。世界をどうするかはぼくの判断だろう?」
「あいつとは大違いだな」
クラッシャーは小さく笑うと、フレイヴの方へと向かって歩き――消えてしまった。この場からいなくなってしまったとは思えなかった。どこへ行ったのか、彼の行き先は何となくわかる。フレイヴの心の中だ。そこで傍観する気なのだろう。
――ああ、別にそこで見ていればいいよ。きみが間に入るより、ぼくと魔王が直接話をした方が早いから。そこでぼくは答えを出すつもりだ。ぼくはまだカムラを助けたいとも思っているし、ナズーのいない世界を望んでいる。この世界にしてしまった魔王もまだ憎んでいる。クラッシャーの話を聞いて、納得した部分もあった。それでも、だ。ぼくは目にしていない材料で妥協する気にはなれないのだから。
クラッシャーがフレイヴの心の中に入り込むと、手にしていたカムラの剣の光は消え失せてしまっていた。初めてあの剣に触れたときと同じような気がしてたまらない。
「答えを見つけなくちゃ」
一歩足を踏み出したときだった。そこは美しい花畑へと移り変わる。キラキラと日の光が降り注ぎ、甘い花の香りが誘うようにして漂っていた。色とりどりの花が自分を誘っている気がする。
「……ここは?」
どこか見覚えがあるようで、見覚えのない場所。知らないはずなのに、なぜだか懐かしいと思えた。これはクラッシャーが知っている場所? いや、魔王か。
「あいつはここが好きだったようだな」
頭の中でクラッシャーの声が響いた。この場所は魔王にとって一番の思い出、か。そうだ、魔王は元人間だ。ここを思い出として何がいけないのだろう。
「惚れたやつとずっと傍にいたい。それがあいつの切実な願いだった」
「叶ったの? その願いは」
「結局は夢の中だ。叶うわけあるまい?」
その話を聞いて、フレイヴは少しだけ魔王が可哀想に思えてきた。
「あいつが幼い頃から願っていたのになぁ。あーあ、可哀想」
そういう割にクラッシャーはそこまで気の毒だとは思っていないようだ。この物言いにフレイヴは少しだけ苛立つ。
「まあ、名なしとあいつが普通の男女のような仲になれることはありえないか」
「……でも、魔王はカムラと一緒にいたかったんだろ?」
「何にも知らない頃のあいつはな。今はそう思っていないだろ。なんせ、可哀想な人生を歩んできたのが俺と名なしのせいだと知ったからな」
「…………」
すべての根源の発言にむかつきを覚える。だが、言葉が何も思い浮かばないフレイヴはこの花畑を歩き続けるしかなかった。




