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本当の敵は魔王ではなく、カムラだった? フレイヴに似た誰かの言葉によって、フレイヴは頭が真っ白になる。受け入れがたいこの事実。いや、敵対関係であることは知っている。彼女はクラッシャーを倒さなければならないから。だとしても、カムラとは幾度となく死線を潜り抜けてきた大切な友人だというのに? 世間一般で考えて、こんな世界にした魔王を倒そうと協力し合っていたのに? どうして?
何も言葉が出てこないフレイヴに対して「本当に知らないんだな」と細く息を吐いた。
「いいか? お前の敵が名なし。お前の味方は俺と魔王だ」
「嘘だ」
やっとの思いで言葉が出た。信じたくないからそう言った。知っているが、嘘をついてしまった。すごく嫌な気分。そういう風にして、眉をひそめるフレイヴに「嘘じゃない」と淡泊に答える。
「俺はあいつらと違って嘘つきじゃない。お前だって、そうじゃないのか」
「でもっ! ぼくの両親は、大切な人は魔王に……! カムラだって――」
「お前は魔王のもとに来るように計算されて作られた存在だよ」
突き放された事実にフレイヴはアルフレッドの存在を思い出した。彼は自身の意思とは関係なしに人を殺してしまう。そんなアルフレッドのことを光る石像は魔王の影響だと答えた。彼と自分は同じような存在だと?
「あいつの駒だからこそ、名なしを助けようなんて……ああ、そういうことね。これは皮肉なことで……」
「ぼくにもわかるように説明をしろっ!」
今はカムラを助けに行きたいという気持ちよりも、知りたいという欲に駆られていた。フレイヴと同じ顔をした誰かの発言を平たく言うと、自分と彼女は相容れない存在であることだ。それを知っていても、受け入れたくない。だからだろうか、フレイヴはより多くの情報を得ようとしていた。もちろん、自分に似た誰かは「いいぜ」と教える気満々。
「魔王と名なしは同等の存在、これは囮役辺りにでも聞いただろ? 確かに同じような存在であることは確かなんだよ。なんでって、二人には名前が存在しないしな」
「カムラにはカムラって名前が……」
「偽名だとは疑わなかったのか?」
「え?」
「なんで名なしの名前を本来の名前だってわかるんだ? 確かめるものもないのによく信じられるな」
その言葉が一々心に突き刺さるようだった。しかし、そう言われても自己紹介で自分はカムラです、と言われたらそれを信じるしかあるまい。それも初対面の人間であるならば。
――だとしても、ちょっと待てよ。
「あいつが嘘つきだってことも知ってんだろ? だったら、同等の存在なら、名なしも嘘つきだって理解するはずだよな?」
「…………」
「お前、名なしに騙されていたんだよ。色々とな」
それも当然な結果か、という呟きをフレイヴは聞き逃さなかった。まるで、自分たちのことを見てきたとでも言うような素振りをしているが――。
「だってさ、あいつ……魔王も名なしに騙された可哀想なやつだからなぁ」
――これを聞いたら、お前だって可哀想だって思うだろう。自分の哀話よりもとっても哀れで惨めな過去を魔王は持っているのだから。
「名なしは魔王……あいつが名なしに惚れるように、ぜーんぶ騙した。『きみのことを信じている』だなんてくっさいことを言っちゃってさ。あいつはその気満々。で、それのせいでこんな現実が在る結果となった」
「カムラが魔王を騙したから、こんなナズーがいる世界に?」
「この世界の本当の真理を教えてやろうか?」
いつの間にか自分に似た誰かの手元にはカムラの剣に似た黒い剣が握られていた。だが、そのようなことはどうだっていい。今は彼の言葉に耳を傾けたかったから。なぜだろう?
「この世界はループし続けているんだよ」




