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「え?」
状況整理が上手くできず、フレイヴは小さく感嘆を上げた。意味がわからないの一言に尽きる。先ほどまで白い塔の中にいたのに。扉を開けたら外にいるとは。なんということか。
そうであっても、どうすればいいのかわからなかったから、とりあえず目の前にいる誰かを見た。その誰かは地面に向かって何かをしている。誰かの隣にあるのは石? 音が聞こえる。ガリガリって。耳障りだ。
この人物は自分にとって敵なのだろうか。いや、ここは魔王の根城。この場所で会う者はカムラ以外敵だ。早々に片付けた方がいいに違いない。なんて剣を構えたときだった。後ろから「誰だ!?」と大声が聞こえる。
「そこで何をしているっ!?」
大声にびっくりしたフレイヴは振り返り、剣先を声の持ち主に向けるのだが――声を出した人物は隣を素通りする。見えていない? もの見事なスルー。声の持ち主はこちらに気付いていないようで、一直線に地面で何かをしている人物に近付いた。この声からして、中年男性だろうか。
「おい、何をしている――」
奇妙な音を出してしゃがみ込んでいる人物と数歩の距離になったところで、男らしき誰かは立ち止まった。それどころか言葉を噤んでいる。どうしたのか。男が一歩だけ後ずさった。そこでようやく見えた謎の人物の姿。本当に闇に溶け込んだような真っ黒さ。真っ黒な人物の近くにあるのは――墓石?
「友達に会うために」
何かをしていた誰かが立ち上がった。中年男性よりも背は高い。体格もいい。
「な、何を訳のわからないことを言っている!?」
中年男性は焦っているようだった。何に焦っているのだろうか。フレイヴはわからずに、真っ黒な人物の次の言葉を待った。
「会いたいんだ、友達に」
「お、お前、頭がイカレているのか!? そんなこと……そんなことをしたって……!」
「俺がするべきことだから」
直後、真っ黒な人物は腕を振り上げたかと思えば――中年男性の断末魔が聞こえた。彼が手にしていた明かりは地面に落ち、倒れた男性に燃え移った。それによって、より一層明かりは広がる。真っ黒な人物の足元には横たわる人の姿。違う! これは――。
フレイヴは思い出す。天使物語というイカレたストーリーを。
【天使物語に出てくる自称天使のモデルとなったのは魔王】
【大昔にちょっとした事件があってな。それが、古い墓を掘り起こそうとしていたやつがいたんだと】
「魔王っ!」
目の前に魔王がいる。すべてにおいて、許しがたい存在がいる。フレイヴが手にするカムラの剣。それを強く握った。




