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一番高い塔への道標は人の血。まるでフレイヴを誘っているかのよう。それにしても、これが現実だとするならば、誰がこのようなことをしたのか。もしかして、魔王なのか。世界を変えてしまうようなことをしてのける人物だ。人一人を殺すなんて呼吸をするぐらい簡単なのかもしれない。そういうキチガイの相手をするのだ。ただのナズーよりも骨が折れる話。だとしても、カムラに逢いたいという気持ちは誰よりも強い。それが故に、怖けつくことはあっても足は自然と動く。
しかしながら、よく考えれば、血の道標があるから足が動けるわけではないのかもしれない。一つの仮説ではあるが、逆に魔王が自分を誘っているという可能性だって捨てきられないはず。この仮説を思いついたのは「なぜにこんな幻想を自分たちに見せているのか」である。現実的に考えれば、あの武装集団の人たちがここにいるのはありえないと思った。周りを見渡せば、世界のどこかにありそうな町ではある。あの荒野だって、雪山だって――。自然はあった。だが、よくよく思い返せば、自分たちがやって来たのは忘れられた森の北にある大きな樹木の地中深くに存在していることだ。それを踏まえて考えれば、ここは魔王が作った異空間。もちろん、人間だって作り物のはず。オルチェが言っていた。魔王、もしくはカムラと何かしら関係のある場所なのではないのか、と。
「じゃあ、あの人たちもカムラたちと交流があった人たち?」
ここが魔王の記憶で作られた場所であるならば、そう考えられるに等しい。記憶? そうだとするならば、こちらに対して敵意を持っていた彼らは――?
【あたしたちはクラッシャーを憎む者たちよ】
何かが引っかかる。だが、それが何であるのかがわからない。
――話が通じた女の人はクラッシャーに敵意があった。でも、最初からぼくたちを殺す気だった。クラッシャーってカムラの敵だよな? それって、魔王の敵でもあるんだよな? 魔王がぼくたちを殺すために作った存在? それにしてはやけにリアリティだった。なんというか、ぼくたちも魔王も含めて敵だ、と言いたげに。
謎が謎を呼ぶ。フレイヴの頭の中に様々な憶測が飛び交う中――彼は塔の中へと侵入した。その直後、射撃砲のような音が聞こえてきた。彼の足元に着弾したのだ。思わず身を物陰に潜める。
――どこだ? いた。
塔のエントランスより奥にある階段上から飛び道具の武器を持った者たちが。彼らの服装はどこか独立の国の軍と似た物を着ているようだ。
居場所はどうせバレている。こちらが不利となる前に、片付けなければ。フレイヴは美しく光っているカムラの剣を射撃砲のようにして構えると、刃先から棘を発射した。オルチェが持っていた拳銃やあれらの構造は知らない。だとしても、似たような代物を武器にすることぐらいは可能だ。剣から発射された棘。それらは独立の国の軍人たちが着ているような緑色の軍服を着た者たちの体へと吸い込まれるようにして着弾。一瞬にして、真っ赤な血潮を吹かせたのだった。
新しい攻撃の形を覚えて頬を緩めた。それほどまでに嬉しいらしい。これならば、突撃していける。行こう、急いで!
フレイヴはエントランスの奥にある階段目掛けて足を動かすのだった。




