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オルチェすらもいなくなってしまって、孤独が恐怖に思うフレイヴ。それは彼の目の前に現れた巨大都市の中へと入っても続いていた。いや、この言い方には少しだけ語弊があった。周りが乾いた大地だけしかなかった場所、本当の独りだった。だが、町の入口からは人の死体が大量にあった。血塗られた都市という揶揄をしてもおかしなところはないはずだ。この名前が一番お似合いである。そんな見るだけでもおぞましいはずの町を見て少しだけ頬を上げた。その理由は嬉しいから。この際、屍でも構わなかった。誰かがいる、それだけで孤独感はない。
「よかった」
先ほどまで不安そうな表情から一変して、安堵をする。血塗られた白い道路のど真ん中を闊歩しながら都市の中央にある塔を目指す。きっと、そこには魔王がいるに違いない。もちろん、カムラだって。ぼくは魔王を倒す。倒した上で、カムラと一緒にここから出るんだ。オルチェさんとアルフレッドさんは――。
ここにきて、フレイヴは何かを思ったようにして血塗れの足を止めた。後ろには赤色の足跡が綺麗にできているようだ。
自分の味方のはずであるオルチェとアルフレッド。そんな二人をフレイヴはどうでもいいと思うようになってき始めたのだ。なぜだろうか。花びらになって消えてしまったというのに。ナズーになって自身に倒されてしまったというのに。彼らは自分に協力的な人物だったというのに。どうでもいいと感じるなんて。
むしろ、カムラのことはそう思わなかった。何が何でも絶対に助けたい。無理だとわかっていても、諦めたくない。何だろうか、この気持ちは。
「ぼく……」
少しだけ胸が張り裂けそう。手を当てて、呼吸もゆっくりしているというのに、この苦しみは変わりそうになかった。カムラに逢いたい。そんな思いが心を、頭を支配していく。初めて経験する感覚だ。ここにオルチェはいない、アルフレッドもいない。ましてや生きた人間は一人もいない。誰にも相談することは叶わないようだ。
カムラの剣を強く握った。より一層、淡い光は強みを増す。なぜだか、気持ちだけで彼女を助け出せそう。そう思うのではなく、そうしなければならなかったのだが――今の自分ならば魔王を倒せそうな勢いだった。
――よし、行こう。カムラを助けにいかないと。カムラに逢いたい。
フレイヴが見上げるのは高くそびえ建っている白い塔。どの建物よりも高い。あの最上階に魔王はこの町を見下しているのだろうか。




