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雪山を突き進んでいくと、段々と木々の数が減ってきていることに気付いた。いや、何もおかしなところはそれだけではない。木々だけに飽き足らず、雪の量も減っていたからだ。おかしい、自分たちは山頂を目指していたのに。
「変な場所」
そう呟くも、今更だなと心の中で思っていた。忘れがちではあるが、フレイヴとオルチェは魔王がいるらしい樹木の地下へと潜っているのだ。地中にいるというのに、どうして外の景色が見られるのだろうか。全くもって謎である。
背景が移り変わってきた、と気付き始めた頃――二人の眼前には吹雪ではなく砂嵐が現れた。徐々に雪山から荒野へと変化していく。何とも気味の悪い場所だこと。見たことのない場所。見覚えは一切ない。もちろん、オルチェだって。彼らは戸惑いを隠せなかった。
「どこだ、ここは」
「両国でも見たことがありませんよね?」
「にしても見渡す限りは乾いた大地ばかりだな。独立の国……西部辺りか? いや、それにしては寂し過ぎる」
そもそもがである。こうして自分たちにとって見たことがない、見覚えがない場所を見せてくる魔王はこれらの景色を知っているという可能性が浮上してきた。カムラ自身がこの世界の過去の存在であるから、二人が知らないのも無理はないはず。
奇妙な闘技場、雪山、荒野――魔王は何を見てきたのか。どんな人生を歩んできたのか。それとも、これらの情景をカムラは知っているのだろうか。なんて疑問に思ったところで、この場に彼女がいないのだから答えが返ってくるとは思えない。だとしても、彼女自身もきっとこの場所に覚えがあるはず。はず、というのは不確定だから。特にオルチェは彼女と魔王が同等の存在であることを疑い始めているのだから。もう、訳がわからない。
わからないからこそ、とにかく突き進んでみるしかなかった。この先にカムラがいるとはわからずとも歩き続ける。魔王がいるとは限らなくとも、行かなくてはならなかった。元より、出口すらもどこにあるのか知らないのだから。
しかしながら、散々歩き続けているというのに目の前に広がる景色は本物と思えた。ここが地中深くにある場所だとわかっているのに。そこまでにおいて、リアルティのある世界。
「なんだ、これ」
時折、箱のような形をした大きなオブジェが地面に置かれているのを見掛けた。そして、その中にはオルチェが持っている射撃砲や拳銃に似た物まであるではないか。変な箱型オブジェや射撃砲だけ飽き足らず。地面から突き出した植物はすべて枯れているようである。緑色が一切ない。変な感じ。二人はそれに触れることはなかった。罠かもしれないから。
そうこうして、荒野を歩いていると――オブジェだったはずの箱が動き出した。何もそれは一つだけではない。いくつもの箱が音を出し、地面を滑るようにして、こちらへと近付いてきているではないか。箱の中には人がいた。
「人?」
「にしては敵意があるな」
音を出し続けた結果。ややあって、たくさんの箱は二人を囲んだ状態で止まった。その中からは武装集団が姿を現す。全員が全員、射撃砲ばかりではないものの、実に厄介な状況。そう、今からは戦闘の時間だ。準備はいいか、野郎ども。死ぬか、生き残るかの二択しかないんだからな。




