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まるで大口ナズーの攻撃のようだ、とフレイヴはたとえた。だが、今現在口が二つあるバケモノが吐き出しているのはそれ自身の攻撃ではなく、自分たちが与えた攻撃であること。体の中での爆発。それだけ射撃砲の燃料は強大らしい。一つ一つの威力は人がようやくあの世に逝けるぐらいだというのに。まさしく塵も積もれば山となる。山となりて、やがてはバケモノの体内でキャパシティを超えてしまう。それらの結果が二人の目の前にあった。
いつもは止め直後に消えてしまうのに対して、今回はまだ存在していた。もしかしたら、まだ生きているかもしれない。そう思ったフレイヴはカムラの剣で作った拘束具から槍を取り出した。もはや何でもあり状態である。
何をするのか。その取り出した武器でどうするつもりなのか。オルチェは予測がついていた。完全な止めだろう。そこにいるのは自分たちの敵、ではあるにしても、元々はただの小さな子どもと彼らの味方であったアルフレッドである。容赦ない、流石は魔王からクラッシャーだと言われたそこら辺の子どもだ。やること、すること想像できやしない。
「止めか」
答えはわかりきっているというのに、オルチェは言った。別にこれが独り言として処理してもらっても構わないが、口にしたかった。されど、他人。そうわかっていても、アルフレッドという人物はただの殺人鬼ではないのだ。魔王が作り上げたこの世界においてのイレギュラー的存在。そうなりたかったわけではない。
「ええ」
どうせ独り言だろうと思っていた言葉をフレイヴは拾い上げてくれた。目の前にいる人の成れ果てを同情することもなく、槍を振りかざしているではないか。彼の濃い青色の目は完全にナズーを軽蔑したようにして見ている。
「ぼくはナズーがいない世の中を願っています。当然の結果です」
もっとも。なんて言葉が頭の中で浮かび上がっているというのに、何も言えなかった。一方で、その沈黙は肯定したと見なしたのか、フレイヴは掲げていた槍の刃を大口ナズーへと振り下ろした。黒煙が上がる口の中に突き刺さるカムラの刃。黄ばみと黒ずんだ汚い歯の隙間からは人の血があふれ出てくる。ごぼごぼと。見ているだけで不愉快だと思えるが、これでいいのだ。
口から血をあふれ出しているのにもかかわらず、このバケモノはまだ「おねえさん」と掠れた声で言い続けていた。これが煩わしいと思う。だからこそ、もう一度槍を振り下ろした。ざっくざっくと肉が突き破られるような音を出しながら。しかし、それでもあの子どもはカムラに執着があるようだった。ずっと「おねえさん」と言い続けるものだから、思わず手を止めてしまう。
「……よるに……しんじて、いれば、て……あえ、た」
「でも、きみはナズーなんだ。人じゃない!」
たまらずフレイヴは槍を振り下ろそうとするのだが――。
「殺人鬼も人じゃない」
そう、アルフレッドの声が聞こえてきたのだった。




