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少しだけ考えたことがある。ぼくは何者なんだろうって。こうして、本とか剣に変身するカムラと出会って。自分の囮役だというオルチェさんと出会って。自分の意思とは関係なく誰かを殺そうとするアルフレッドさんと出会って……。
ぼくはただの村人なのに。
次から次へと目や耳を疑うことを知ってしまう。教えてもらう。ただの村人が。それもこの世界がどのようにして作られたかだなんて。神話や宗教の話ではない。事実、本当にあった話だ。嘘ではない。ぼくは嘘をつかない。つくこと、つかれることが大嫌いなんだ。
わかるだろう? 嘘をつくとき、心のどこかで引っかかる感じが気持ち悪くて。嘘をつかれて真実を知ったとき、心の奥底から煮えたぎるような苛立ちが気分悪くて。思ったんだ。魔王って、嘘つきなんだろうなって。
ぼくはクラッシャー。魔王とは対極の位置に値する存在だ。だから、そうなんかじゃないかなって思った。魔王は嘘つきなんだって。
そう、嘘つきなんだ。ぼくが言いたいこと、わかるかな? 魔王の言うことは嘘であるということ。そして、魔王と同等の存在となるカムラも。
あの二人は嘘つきだ。これまで発言してきたことはすべて嘘となる。こうして、旅の仲間としていたことすらも、カムラにとっては苦痛だったに違いない。オルチェさんのことを毛嫌いしている感じだったけれども、実はそうでもなかったのかもしれない。敵じゃないだろうから。
ここで話を戻そう。魔王も嘘つき。それならば、彼が発言したことはすべて嘘になる。もちろん、ぼくに対して名指しした『クラッシャー』すらも。つまり、結論から言えば、ぼくはクラッシャーなんかじゃない。オルチェさんがどんなに跪こうが、ぼくはクラッシャーとして存在はしていない。
それならば、どういう存在としているのか。嘘の反対は本当だ。真逆。ということは、ぼくは、本当はぼくの方が魔王と同等の存在なのではないかと思うようになってきたんだ。
本当はすべて決まっていたのではないだろうか。でなければ、あのときどうしてゾイは村長に怒られるとわかっていながらも村のはずれへとぼくを連れていこうとしたのか。どうして、絶妙なタイミングでナズーが現れるのか。島自治区へと行く際にどうして、アルフレッドさんと会ったのか。カムラはどうして、連れ去られてしまったのか。どうして、忘れられた森でぼくたちの目の前で姿を見せたのか。
こうならないという未来ならば、ぼくはどうしていたんだろうか。カムラと出会わなかった未来は? 魔王はぼくとカムラをわざと出会わせた? 答えが出てきたとしても、疑問が出てくるばかりだ。それでも、こうして考えて一つだけ言えることがあった。
それは、ぼくは村で育ったただの子どもではなかった、ということだ。
そう、ぼく自身も――。




