回復薬の作り方を習おう
「あのう」
カウンターに座る見目麗しいお姉さんに向かってトーキング。
お姉さんの顔が整いすぎてて緊張するぜ。
恰幅の良いおばさんとは話しかける気合のレベルがダンチだぜ。
「はい、錬金術ギルドにようこそ。今日はどんなご用件でしょうか?」
「ここのギルドに登録をしたいんですけど…」
「はい、こちらで承ります。当ギルドにご登録のお手続きということですね。ではこちらの用紙の記入をいただきまして…」
ささっと取り出された用紙を前にちょっとたじろぐ。
おう、字はまだ、書けねぇんすよね…。
「あー、すみません、ちょっと字がですね…」
「あ、はい、でしたら代筆いたしますので、お名前からお願いします」
「お願いします」
にっこりと頬笑むお姉さんにドギマギしながら自己紹介だ。
出身はアース村で固定しとこう。
錬金術ギルドに登録するための手続きは冒険者ギルドの物とそう変わりはなかった。
俺の名前やら出身地やらを書いてもらった用紙を例の黒板もどきでサンドして、その上に手をのせてちょっとしたらギルドカードの出来上がりだ。お手軽だよな~。
「マオさんは冒険者ギルドに登録をされているということなので、ご存じかと思いますが、錬金術ギルドにも冒険者ギルドで実施されている階級制度がございます。銅級から始り、白金級が最高位となっております。これは薬学や魔道具制作を学び、一定の技術を身につけたと見なされた際に提示される昇級課題品を納品していただくことで階級が上がります」
なるほどなるほど、ここでもランク制度があるのね。やはり格差社会かっ!
にしても、階級が上がると何か良いことあるのかね?
ランク分けに何かの意味があるのか?
「錬金術ギルドにおける階級はその階級ごとに制作できる薬品や魔道具の種類に制限がかかります。銅級では簡単で効果の低い物しか制作の許可が出ませんが、銀級、金級と階級が上がる毎に、より複雑で効果の高い物が作成できる許可が降りるようになります」
おー、なるほど。初めから難しい物は作れないだろうしな。
階級制度で簡単な物からステップアップしていこうってことなのね。
親切設計だわ。
ふんふん、と頷きながら説明を聞く。
「今お持ちの階級よりも上の階級の薬品や魔道具などを無許可で制作し、無断で販売した場合等は処罰の対象となりますのでご注意下さい。過去に無認可の上に悪性の副作用がある粗悪品の薬品が出回ったことがあります。そう言った技術の伴わない似非錬金術士を取り締まるための法ですのでご理解ください」
あー、モグリの医者ね。腕は良いけど法外な治療費を請求したりするんだ。
でも情に厚い所もあって、一生かけても払うって言うとすごく安くしてくれたりもするんだよな。
でもこっちのは技術が伴ってないのか。ヤブ医者ならぬヤブ錬金術士か。
「薬品や魔道具の制作方法は正面のカウンターでレシピを販売しています。レシピを購入された際にはそのレシピに関する講習を受けていただきます。当ギルドの職員がしっかりと指導しますのでご安心くださいね。他の方法ですと任意の錬金術工房や研究者に弟子入りする方法もあります。その場合は基本的な知識やある程度の技術が求められることが多いですが」
おー、レシピを買うと講習なんてしてくれんのか。
確かにレシピを覚えて自己流で作って変な薬流通させられても困るよな。
講習に受からないと薬作っちゃダメとかあるのかな。
勉強かぁ…。いつぶりだろうな…。
後は弟子入りか…。うーん、弟子入りは、気が向いたらかな。
そういった職人さんとか気難しそうな人が多そうだからさ。
「当ギルドには腕利きの錬金術士が多数在籍しています。そういった方々にご自分で制作できない薬品や魔道具の制作を依頼することも出来ます。依頼品で昇級試験を受けることはできませんが、何らかの理由で効果の高い薬品等が必要な場合はご利用ください。もちろん材料費や加工費はかかりますが」
なるほど、階級が足りなくて作れないけどもう少し効果の高い薬品が欲しい、みたいなときに使われんのかな。
冒険者にはありがたいのかもな。体が資本らしいからね。死んだら元も子もないからね。
いざってときのエリクサーだね。
俺は溜め込むタイプだったから、全クリしても鞄の中に使われないエリクサーがたっぷりってのが基本だったけどね。
「わかりました。何かの時は利用させてもらいます」
「大まかな説明は以上となります。ご不明な点がありましたら、いつでもお近くの職員にお声かけください」
「ありがとうございます」
登録カウンターのお姉さんのにっこりスマイルに見送られながら、レシピを販売しているという正面受付カウンターに向かう。
こっちのカウンターに座るお姉さんも美形だぞ。何だ?受付のお姉さんはビジュアル試験みたいなのあるわけ?
エルフなの?受付嬢はエルフばっかりなの?
緊張するじゃん。すげえ緊張するじゃん。
いやしかし、こんなところで踏み止まってられん。
勇気を出してクエスチョンだ。
回復薬のレシピをくださいって言うだけだ。頑張れ俺。
「すみません、薬の作り方、レシピを知りたいんですが」
何かの書き物をしていた長耳のお姉さんが顔を上げたら、整ったお顔がにっこりと微笑みながらこんにちわ。
眩しすぎんだろ。
「かしこまりました。ではギルドカードの提示をお願いします」
先程出来たばかりほやほやのギルドカードを手渡して待つこと暫し。
「はい、確認できました。銅級のマオ様ですね。本日はどのレシピをご利用でしょうか」
とりあえずは手持ちの薬草で作れるやつにしないとな。
そうすると、解熱薬はそんなに必要ではないから、セリチ草を使った狩ったり回復薬になるな。
「セリチ草で作れる回復薬のレシピを教えて欲しいんですが」
「セリチ草を使用する回復薬ですね。マオ様のランクですと初級回復薬になりますが、こちらでよろしいでしょうか」
初級ですか。簡単なやつだからかね。
えぇ、多分それしか作れないと思うのでそれで良いです、はい。
「はい、それでお願いします」
初級だしね。そんな高額な講習費はしないと思うんだよね。
銅ランクだしね。
「かしこまりました。初級回復薬のレシピと講習ですと、合わせて銀貨50枚になります」
「…………。銀……?」
…何…だと…。




