何をしても一人
本日二話目。初の連投でございます。
ドガッ!!
オプション先生の体当たりを受けたゴブリンが、某聖闘士の様に宙を舞って地面に激突した。
やがて地面に広がるドロッとしてヌメッとした液体。おおう、かなりRーG指定。
今日、これで通算何体目だろうか。もう30か40か。
昨日とはうってかわって凄まじいエンカウント率だ。
薬草、ゴブリンゴブリン、薬草薬草、ゴブリンゴブリンゴブリンゴブリン、薬草、ゴブリンゴブリンゴブリンくらいの割合だ。
いやちょっと言いすぎたか。でもおおむねそんな感じだ。
色んな液体をたらしながら地面に倒れてバイブレーションするゴブリンの胸に剣を突き立てて、止めを刺した後で耳を切り取る。
耳が貯まるぞ。もりもり貯まる。この調子だともうすぐで耳袋がパンパンになるぞ。どうしよう。
ポッケに入れるか?いや、血抜きをするとはいえポッケに生耳はなかなか勇気がいるなぁ。
乾燥耳もなかなかだが。
ズボンに血がついたら洗濯しても落とせる気がしないしやめておこう。
薬草ももりもり刈れるぞ。
まだ昼前になろうかというところだがすでにリュックは八分目だ。
まぁ、採れるのはセリチ草とクラウト草ばっかりだけど。何でかな。
角ハーゼこと角ウサギも全く見かけないけど、何でかな。ゴブリン率高いよな。何でかな。エンカウント率が偏りすぎだよなぁ。
ウサギ肉の副収入を求めてるわけではないけど、ここまで会わないとレアなモンスターなのかと気になるわ。
まぁ、何にせよ今日も薬草とゴブリンで稼ぎはたっぷりだぞー。あはははー。
ソロ狩りだから稼ぎはみんな俺の物だぞー。一人占めだぞー。あはははー。
はぁ、悲しきかな一人ぼっち。
レオンと別れて、メドルテさんに恐怖を感じながらも覗いたパーティーメンバー募集の掲示板。
そこには圧倒的なリアルが、逃れられない現実がひしめいていやがりましたよ。
『回復魔法が使える人材募集』
『前衛で盾になれる人材募集』
『攻撃魔法が使える人材募集』
『銀ランク以上の人材募集』
要約するとこんな募集ばっかりでした。
間違っても『薬草刈りメンバー募集』みたいなのは見当たらないという現実。
序盤は初心者同士力を合わせて乗り越えていくんしゃねぇんすか…。
初心者お断りな相互協力施設ってどうなんすかね…。
泣くぞ!悲しみにうちひしがれて泣くぞ!うぐぅって泣くぞ!
「ギギィ!!」
ナイフを鞘に納めると、藪の間からゴブリンさんの集団がこんにちわ。
落ち着いて剣を抜きつつ、ひーふーみーよー、…4匹かな?
矢が飛んでくるわけでもなく、マッチョゴブリンことホブゴブリンの姿があるわけでもない。
ノーマルゴブリンの集団ならひと安心だ。
ちくしょう!ちくしょうめがっ!悲しむ暇もねぇ!!
この世は地獄だぜ!!
おっしゃ、オプション先生!やっちゃってください!!(他力本願)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
はてさて、帰って来ましたマインエラ南門。
時刻は昼を過ぎた頃だろうか。
レオンから買ったぺルビ菓子をかじりながら辺りを見回してみても、他の冒険者が帰ってくるような姿はない。
森の方面に向かう冒険者とは何人かすれ違ったけど、今の時間に戻ってくる事はないんだろうなぁ。
え?もう帰るの?みたいな目を向けられた気もするしね。
ひそひそ話はやめてくれよ、俺のHPが削られるから。
仕方ない部分もあるけどさ。俺だけがだいぶ早いお帰りだからな。
門の通行料を払うんだから、どうせなら夕方くらいまで頑張るのが普通なんだろうけどさ。
しかし背中のリュックと耳袋は、もう何も入らないくらいパンパンだ。
今日の稼ぎも十二分でございます。
ひとりぼっちだって、お金稼げるんだい。
ひとりでできるもんなんだい。
悲しくなんかない!悲しくなんかないんだからねっ!
南門の見知らぬ門番さんにカード決済で通行料を払い、街中に入る。
まだ昼過ぎくらいか、ギルドに行くにはちょっと早いだろうか。
しかしこの荷物を持ってうろうろするのはちとキツい気がする。
荷物を置いて少し出掛けるかなー。
いや、しかしチョロ嬢様が宿にいる可能性を考えると、宿に戻るのは躊躇われるな。
ちょっとでも時間を稼ぎたい所存でございます。
んー、薬草リュックの大きいのを探しに行くか。耳袋もいくつか買っておこうかな。
大量に薬草を背負って歩き回るのも大変だが。
あ、そうだ、せっかく大量に薬草を持っているのだ。
回復薬の作り方とか習いに行くのはどうだろう。
後々安心安全に暮らすためにも回復薬作りは必要なはずだ。
薬草から回復薬を作れれば、薬草をそのままギルドに納めるよりも稼ぎも増えるかもしれんし。
おぉ、良いんじゃないか?昔やってたネトゲでもあったな。
素材、材料を自分で取ってきて、自分で加工して売って稼ぐのだ。素敵合成とか言ってたっけ?
元手少な目で技術とお金が得られるのだ。その名の通り素敵だな。
よし、決めた。これから薬を作ってる所に行ってみよう。もしかしたら薬の作り方だけじゃなくて他にも色々教えてもらえるかもしれないからな。
魔法とか、不思議な技術とかさ。
だってあれだろ?錬金術ギルドだろ?
錬金術って言ったら夢の技術だよな。
あれよ、鋼だったり武装だったりする感じだろ。
俺の知ってる錬金術だったらだけど、夢が広がりますね。
まぁとりあえず行ってみて確かめるしかあるまい。
善は急げだな。あ、耳袋は…買わなきゃだな。2、3枚重ねておけば大丈夫だよな。
さすがに血が滲んでる小袋をそのまま持ち歩くのは猟奇的過ぎる。
何枚か買っても銅貨10枚もしなかったはずだ。買ってしまおう。後で耳袋として使えるしな。
よし、耳袋買って錬金術ギルドだな。
午後の予定がたったぜい。
行ってすぐ、習ってすぐ出来るようにはならないだろうけど、話を聞くだけでも十分だよな。
今ポーチに入ってる回復薬に使用期限みたいなものがあるかもわからんし、これからどこで必要になるかもしれない。
作れるようになっとくにこしたことはない。
自作できるなら素敵だよな。
よっし、行ってみますか錬金術ギルド。




