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わたしたち、裏魔法少女部!  作者: 凍月
第二話 ヤバいヤツがやってきた!
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第二話 ヤバいヤツがやってきた! ⑤

 美月は中腰のまま、振り向く。呆気《あっけ》にとられた。

 金髪で、金色の瞳の男がドア口に立ち、美月を傲《ごう》然《ぜん》と見下ろしていた。意外とイケメン。美月と目が合い、男がニヤリと笑う。

 美月は、自分が素っ裸であることに気づいた。悲鳴をあげる。あわてて見られたくない部位を腕で隠して、湯船のなかに身体を沈める。

「……な……どうやって!?」

 もちろん、鍵は閉めてある。おまけにここはマンションの八階だ。侵入は不可能のはず。なのに、ここにこうして男が侵入して、美月を追い詰めている。

 美月は混乱する。恐怖と恥辱と憤怒がないまぜになって心臓を圧迫し、頭がクラクラした。

 とっさに、ありったけの魔力を引き寄せようとして──

「おっと。こんなところで攻撃魔法を使うのはやめておくんだな、お嬢ちゃん。おまえの家が壊れるぜ?」

 美月は男をにらみつけた。男は平然としている。美月の裸を見ても、どうということはないらしい。それはそれで屈辱だが、それよりも気になるのは──

「攻撃魔法って……どうしてわたしが……」

「魔法少女だって知ってるのかって? おまえ、紫蝶に目をつけられてるんだろ?」

「また市長? 誰よ、あなた?」

「オレとあいつはちょっとした知り合いでね。まあ、腐れ縁ってヤツかな」

「だからなんなのよ! ふざけないで! とっとと出ていってよ!」

「すぐに出ていってやるよ。おまえにひとつ忠告をしてからな」

「……忠告?」

「紫蝶にはかかわるんじゃねえ。おまえを仲間に引きこもうとしてる梓川家の連中にもだ。いいか、オレは親切だから、こうして忠告してやってんだ。ひとの親切はありがたく受け取っておいたほうが身のためだぜ」

「女の子のお風呂をのぞき見するような変態が、親切だって?」

 美月はギリッと奥歯を噛みしめる。内なる声が言っていたことを思い出した。

「わかった。あなた、コウガっていうんでしょ?」

 男の眉がピクリと動く。初めて、怒りの色がその顔をよぎった。

「どうしてオレの名を……そうか、妙光院の残留思念だな。おまえに教えたのは」

「ミョウコウイン?」

 また新しい名前が出てきた。もうわけがわからない。

「いますぐ出てけ!」

「確かに、忠告したからな」

 男はフンと鼻を鳴らすと、乱暴にドアを閉める。

 美月、憤激。

 裸のまま風呂場を飛び出し、水がしたたるのもかまわず、家のなかを探す。キッチン、ダイニング、リビング、冴子の部屋、蔵書をしまっている書庫、自分の部屋、トイレ。収納スペースも暴いた。あの男はいない。室内のどこにもいない。ドアのロックを確認。もちろん、鍵は閉まっている。窓も全部、ロックされていた。

 美月は肩で荒い息をする。そのうち肌寒くなってきた。くしゃみをひとつ。せっかくの癒しの時間が台無しになった。猛烈に腹が立つ。大股で部屋を横切り、風呂場に戻ると、もう一度、湯船に肩までつかる。

 不審者が侵入してきた、という恐怖よりも、変態に裸を見られた──しかも、それが目的ではなかったことに激しい怒りを覚える。家はどうなってもいいから、あのまま攻撃魔法をぶつけておけばよかった、と悔やんだ。

 それにしても──

(あのコウガって男、わたしが魔法少女だって知ってた……)

 そのことが気になる。腹は立ったが、その代償として、いくつかの情報の断片は得ることができた。

(シチョウの知り合いだって言ってたな。シチョウって、この街の市長のことじゃないのね)

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