第二話 ヤバいヤツがやってきた! ③
「ありがとう、梨音!」
「昨晩、加藤さんの家に侵入して、寝てる彼女にいきなり頼みこんだそうですわ。ボクと契約して魔法少女になってください、と。それで反撃されたそうです」
「……バカじゃないの?」
「そんな! ひどいです! それに侵入なんて……まるでボクが泥棒みたいじゃないですか?」
「あら、違いますの?」
「……いいえ、まったくそのとおりです」
紫蝶、平伏低頭。
「それで避けられたんですかね、僕たち。加藤さん、すごくカンがよさそうですから」
「妙光院の残留思念が加藤さんのなかにいるのは間違いないのですか?」
「それはもちろん! ボクにはわかるんです!」
「加藤さん、絶対に魔法少女だよ。だって、あたし、加藤さんが魔法を使うところを見たもん」
「魔法を?」
桐也が「へえ」という顔をする。
「加藤さん、あやうく自転車で転びそうになったけど、魔法で元に戻したの。ばっちり目撃しちゃった」
「すると、ある程度はもう魔法が使えるんですね。まあ、予想はしてましたけど……」
「どうしようっか? いっそのこと、学校のなかで全部、話しちゃう?」
「そうですね。この部屋まで来てもらえれば、加藤さんに紫蝶を会わせることもできますわ」
「うん。深夜に夜這いするよりもよっぽどいいよ」
「夜這いなんかじゃありませんってば。それに、ボクはこれでも女の子ですよ?」
「女の子って、自分でそう決めてるだけでしょ? ホントに性別なんてあるの?」
「ありますよ。ボクみたいな女の子の精霊は、男の子の精霊と○○○できるんですからね! 一回、○○○してみたいです!」
「……そういう話をこの場でするのはやめてください」
澪子はポッと頬を赤らめて、恥ずかしがる。
「どうしてですか? これこそ自然の摂理! ありとあらゆる生き物の本能に根差した営為なのです!」
「そういう話をすると、梨音さんが喜びますわ」
「おい」
「加藤さんがイヤがったらどうします?」
桐也は動じない。あくまでもマイペースだ。
「そのときは紫蝶の出番ですね。加藤さんも、紫蝶が来たことは憶えてると思いますわ」
「ボクが今夜、もう一回チャレンジしてみましょうか?」
「……懲りないな、あんたも」
梨音は紫蝶の頬を両手で引っ張って、
「いい? また加藤さんのところに押しかけるのはナシだからね」




