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曖昧に濁された言葉と、オルカの手の中で光るりんご飴が妙にその存在を強調する。

オルカも突然そんな事を訪ねてしまった自分に驚きを隠せない。

「セリスティアーナ様にも前に聞かれたな」

「セリス様が?」

「鍵姫は、専属騎士にそんな事を聞くのが流行っているのか?」

「そういう訳ではないと思うわ?」

セリスには、好きな人きちんと両思いの相手がいたのだっけ。それならクラウスに聞いた理由も何と無く分かるような気がする。

「わたしね、好きな人が居るの。だから、周りにもそういうお話できる方が居たら心強いのにって思っただけよ」

「そうか」

「ごめんなさい、変なこと聞いたりして」

微笑んで見せるもののオルカの心は穏やかではない。変に意識するとまたおかしなことを聞いてしまいそうだ。

ぼんやりしていたオルカは、足に痛みを感じて歩みを止める。踵の高い編み上げのブーツを履いていたのだが、どうやら靴擦れを起こしたらしい。訝しげにクラウスが振り返るが、心配は掛けたくないと笑って誤魔化すも痛みですぐに歪む。

「何でもないわ、すぐ行くから」

内心かなり焦っているオルカ自身も、何を口走っているのか分からない。そんなオルカだったが、急に体が浮いて目を見開く。抱き上げられたと分かるのに数分かかった。周囲の人々からは、歓声が湧いた。

「大丈夫だから、降ろして」

「歩き方が不自然だろ」

「そ、そんなことないわよ」

人気のない路地に連れて行かれたオルカは、そこでようやく降ろされる。ブーツの紐を解くと痛みを訴えている足が姿を見せる。赤み帯びたそこは見るからに痛々しい。

クラウスに思い切りため息つかれた。

「はしゃぎ過ぎた子供か」

「ごめんなさい」

「教会に戻るぞ」

大人しく頷いたオルカだが、再び抱き上げられて腑に落ちない。行き先を遮られたのはその時だった。

「襲撃か」

「また?!」

「襲撃されるのも鍵姫の仕事だろ」

「そんな仕事内容聞いたこともありません!」

すぐに降ろされたオルカは、そっとクラウスの背中に隠れる。クラウスが銃を抜く。指の間には、鉋が挟まれていた。

息を詰め張り詰めた空気が流れる。

どちらかが動けばすぐに戦いになる。

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