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「クラウス?どうして?」

「行こう、姫様」

「え、えぇ」

クラウスと使者にどういう接点があるのだろう。そこから不思議だったが、シュバルツの様子も何処か何時もと違う。

「姫様、今見たものは忘れないといけないよ」

「分かった、わ?」

「世の中には、知って置いていいものとよくないものが、同じくらいあるんだから」

オルカにではなく、まるで自分自身に言い聞かせているシュバルツはすぐに元の調子を見せる。

部屋に資料を置くと、目を通している暇もなく意見交換会の時間が迫っていた。

「遅くなりました」

「姫様、まだ始まって居ないから大丈夫ですよ」

何故か参加する予定のないアフィルトがそこに居た。疑問を解消する暇もなくオルカが入ってすぐ、使者が入ってきて少人数で意見交換会が始まる。

そういえば、コリストスの姿が見えない。

「コリストス卿は、本日欠席です。代理で私アフィルトが進行を務めさせて頂きます」

進行役という事は、意見交換の内容については余り口出し出来ないはず。しかし、資料室で浮かんだあの光景は一体、何を説明しているのか。

この場には、オルカとシュバルツ、アフィルトと使者二人しか居ない。何かが起こるとは考えにくいのだが。

「それでは、両国の近況を報告しましょうか」

意見交換会は、両国の近況を報告して互いの国について意見し合うというもの。要はするに交流会だ。

淡々と話が進んでいく中、内容も段々熱くなっていく。

「この国を守る姫様だけありますね」

「いいえ、わたしはまだ未熟ですよ」

使者が嬉しそうに席を立つ。オルカもこの熱気で通常の会議が出来ればいいと思うくらいだ。資料室で浮かんだあの光景は、きっと成功することを示していたのだろう。

「姫様!」

「え?」

立ち上がった所を突き飛ばされ床に倒れこむ。窓が割れて銃声が遅れて聞こえた。本意ではないけれど、仕方ない。

「アフィルト様、お二人の安全を確保してください」

「仰せのままに、姫様」

シュバルツに任せたい所だったが、彼は今応戦中でそれどころではない。アフィルトと使者達が出て行くのを確認して、オルカは彼の腕を引く。

「わたし達も行きましょう」

意見交換会の行われた部屋は、二階。近くに木もあったから、そこから撃ってきたと考えて間違いはない。

ただ、使者を狙ったのかオルカを狙ったのか分からない。両方を狙った可能性もある。

「部屋から出ないようにしてね、姫様。絶対出て行ったら駄目だよ」

「そこまで念押ししなくても、分かっているわよ」

十分に念押しされオルカは苦笑する。シュバルツが出て行ったのを確認して、仕切りを広げた。鍵姫の部屋は一階にあって、きちんと安全は確保されている状態であるものの、何が起こるか分からない。仕切りをしておけば窓から見た場合、誰も居ないように見えるだろう。

ベールを外して、落ち着こうと紅茶を淹れる。畳もうとしたそれに何かが引っかかっている事に気付き、もう一度広げた。

「これ......」

最初はなかった、造花で作られた飾りが付いていた。留め具を見る限りベールにしか付けられないのが残念だが、セリスが付けていたコサージュとも少し違う。


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