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人気のない廊下を歩きながら、オルカは尋ねる。

「ねぇ、クラウス。わたし変なこと言ったかしら?」

「どうだか」

自分は興味ないし関係ないとばかりに軽く流され、オルカは仕方なく自分で考える事にする。しかしどう考えても、失言していたとは思えない。

「お、今度は姫様何やらかしたの?」

「こんにちわ、シュバルツ」

「覚えててくれたんだ、姫様。今会議場の辺り大騒ぎだよ」

何処から現れたのか、楽しそうなシュバルツにオルカは足を止める。

「わたし、何か良くないことしてしまった?」

「クラウス教えてないの?」

「面倒」

まるっきり騒ぎの原因が分かっていないオルカの様子に、シュバルツは苦笑する。貴族の騒ぎなんか興味ないからなと一人で納得した彼は、オルカに向き直った。

「アフィルトって言う貴族が大体、何か案件を持って来るんだけど」

「今日も案を出していた方ね」

シュバルツによれば、セリスが承諾する案件と言うのがアフィルトの持ってきたもののみに固定されているらしい。それが今日の会議で否決になったものだから、戯れで会議をしていた貴族達が驚いて騒ぎ立てているらしい。

「セリス様は、一度も否決にしなかったの?そのアフィルトって貴族の案件だけを」

「そう。驚くならその場限りにしてくれって話だよね」

「わたしが、失言した訳ではなかったのね」

安心して胸を撫で下ろすオルカを他所に、シュバルツは待たされて暇を持て余すクラウスの元へ行く。本来の用事は、そっちだったらしい。話し終えた二人はすぐに別れた。

「部屋までは送る。入ったら、外に出ようと考えるな」

「わかったわ?」

きつく言い聞かせられオルカは、部屋の中に入る。居ない間にシーツなども替えられていて、そのことに感嘆した。中に入ったのを確認したクラウスが出て行こうとしたのを見て、その腕を掴んだ。

「待って、お願いしたいことがあるの」

「何だ」

「この国の資料を全部持ってきて欲しいの」

「......分かった」

物凄く変な顔をされたけれど、あっさり承諾したクラウスを見送り扉を閉める。シュバルツの話していた、案件の承諾に偏りが出ている事が事実であれば、コリストスの話とも辻褄が合う。

「とりあえず、これでいいか」

「ありがとう」

日が落ちてから戻ってきたクラウスから資料を受け取り、一番最近の物が纏められている物に目を通す。

やっぱり、セリスが承諾したどの案件も内容が甘すぎる。裏を返せば、欠点が目立ってしまうという事で。

「このままだとこの国、あと数年も保たないわ」

オルカの呟きにクラウスが振り返る。ひとりでは、上流貴族の力関係や国の情勢など詳しいことが分からず、どうにも動けないと顔を上げたところで振り返ったばかりの彼と視線がかち合う。

「クラウス、一緒に国を立て直しましょう」

「は?」

「わたし、鍵姫になるわ。本物の鍵姫になってみせる」

この王宮内に 自分の居場所が欲しいと思った。誰かに必要とされたいと思った。そして、何よりこの国を安定させられるのは、自分しか居ないと思った。

「だから、わたしが本物の鍵姫になるまで手伝って欲しいの」

「分かった」

友人にでさえ、無愛想無関心と言われる彼が頷いた。

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