↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生者の音と死者の音  作者: 狐久里 あみ
生者の音は光に似ている
25/32

25.生者の音は光に

死者にも、様々な姿がある。

 人型だったり、動物だったり、部位? と言っていいか分からないけど、目だけとか腕だけ、顔だけだったり。

 性格も様々だった。

 生きてる人間を憎んでいたり、優しかったり、怖かったりする。


 この学校には、本当にたくさんの死者たちがいる。

 気になって調べてみたら、この学校は霊道の本当に真上に建てられていた。

「どうしてそうなった!」と家で大きな声を出して怒られたのは解せない。だって、誰だってツッコミたくなるって、これは。

 しかも、かなり大きな霊道。塞ぐのはすごく時間がかかるし、難しい代物。

 お父様にこのことを相談したところ、「現状維持」の一言だった。

 多分、下手に手を加えると今の状態で保っているものが崩れて、厄介なことになるから……だと思う。

 難しいって? 大丈夫、私もそこまでわかってない。

 簡単に言うと、今はどうしようもないということだ。


 学校にたくさんの死者がいる理由がわかったけど、許容できるかと言われれば、それは否だ。

 そりゃ、モフモフの可愛い動物霊とかならいいけど、ボールに混ざって生首が転がっていたり、死者とわかってるけどいきなり首が落ちるのを見るのは誰だって嫌だ。本当に嫌だ。


 響くんは見えてないから分からないだろうけど、私は見えてるのです。

 笑いながら、体から首が離れていくあの瞬間を……

 今思い出しただけで、鳥肌が止まらない。


「どうしたの?」


「今日も体育館に、あの死者がいたなって思って……」


「たしかに……? 祓ったよね? なんで居るの?」


 今日の体育はバスケだった。

 キャッキャしながらバスケをしていたけど、パスされたボールがボールじゃなくて、生首だったのはある意味嫌がらせだと思う。

 変な声を出しながら、手に持った生首を放り投げて後ろに転がってしまったし……

 それに、響くんが言う通り、一度は祓ったのだ。

 なのに何でまだいる! いや、同じ死者じゃないのはわかってるけど、なんでいる!


「わからない……そもそも、同じ死者じゃないし……」


「死者の中で流行ってるのかな」


「嫌だそんな流行り! 映えないよ!」


 流行るにしても、もっと可愛いものにして欲しい。

 せめて胴体くらいは付いていてもらって……いや、死者の時点で映えないし、それどころか写真に写ったら普通に心霊写真だ。


「大変そうだね」


「他人事じゃん……」


「そりゃ、見えないからね。そこまで深刻なの? って感じ」


「1回だけでいいから見てほしい。私の気持ちを分かって」


「遠慮しておく」


 冗談抜きで、本当に1回でいいから見てほしい。

 どうにかして見せる方法は無いかな? と考える私の思考を読み取ったのか、「やめろ」と、頭を軽く叩かれてしまった。

 全然痛くないけど、一応大袈裟に反応しておく。けれど、効果は全くない。いつか響くんが慌てる様子を見たいなとか思いながら、雑談を続けた。


 響くんの音は、すごく静かだ。

 隣にいるのに、呼吸の音が聞こえない。呼吸をしているのか気になって、見続けることがあるけど、胸が動いてるから多分呼吸している。

 たまに、ちゃんと生きてるよね? って考えることがある。

「なんて失礼なことを!」と考えるたびに自分を叱るけど、仕方ない。そのくらい、静かすぎるから。

 でも、その静かなのが怖くて、この頃はよく響くんに触れている。

 触れていれば、ちゃんとそこにいるってわかるから。

 良いのか悪いのか分からないけど、響くんはされるがまま。

 同じくらいの身長だから、響くんの後ろから抱き込むように座っていても問題ない。これで、響くんが高身長なら、ちょっと困ってた。

 響くんの髪の毛は思ったよりもふわふわで驚いた。それにほっぺはモチモチ。女子の私よりもモチモチでちょっと……いやかなり羨ましくなった。

 スキンケアはどうしてるのか聞いたところ、特に何もしてないと返された時の気持ちが分かる?

 あの時はとてもムカついた。だから、ちょっとだけほっぺを抓ったけど、「満足した?」と返されるだけ。もう! 全然敵わない!


 響くんは、私と……いや、多分私を含めた全員と一線を引きたいんだと思う。

 なんでか分からないけど、一人でいたいんだと思う。

 でも、それはなんだか寂しい。ずっと一人でいた私が、その寂しさを知っている。だから、なんとなくだけど、響くんを一人にしたくない。

 しちゃいけないと思っている。


 だから、「面倒なら放っておいてよ」って言われた時はぞっとした。

 何とか引き留めようとして出た言葉が、


「面倒なんて思ってないし、むしろ響くんを独占させて頂けて誠に嬉しい限りでございますよ!?」


 という、変な日本語だった。

 その言葉に虚を突かれたのか、響くんはキョトンとしていた。

 それがまた可愛いのなんのって!

 その後はいつもの私の怒涛の説明。多分意味不明だった。半分くらい何言ってたか覚えてないし……

 でも、言い終わったあと、嬉しそうで、泣きたそうな顔をしていた。寂しさはなかったから良かったと思う。


 でも、近すぎるのは怒ると言われたのには納得していません!

 離れろ? 絶対にいやだー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。