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第十三話 2/4 「鉄の巨人」

 最初の一撃は手応えがあった。


 表面の鉱石に剣が当たると、鉄巨人の表面が欠けた。岩石が砕けるように、表面の金属がぽろりと崩れる。前回のカメほどは硬くない。ダメージは入っていると感じる。


「効いてる」


 複数のパーティーが一斉に攻撃を加えた。鉄巨人は動きが遅く、攻撃も避けられることはない。鉄巨人の表面がどんどん削れていく。このまま押し切れる、という手応えがあった。


 しかし一分も経たないうちに異変が起きた。


 削れたはずの表面が、戻っていた。


「回復してる」


 セラが言った。


「どこかで回復魔法を」


「違う」


 トクナは鉄巨人の足元を見た。削れた鉱石の欠片が、床に落ちている。それだけではない。戦闘が始まってから倒した魔物の素材も散らばっていた。


 鉄巨人が一歩踏み出す。踏み出した足が、床に落ちた欠片の上を通ったその瞬間。


 欠片が消えた。


 そして鉄巨人の表面に、新しい鉱石が浮かび上がった。


「食べてる」


 トクナが言った。


「床に落ちたものを吸収してる。削っても削っても、足元のものを回収して補充している」


「じゃあ攻撃しても意味がないのか」


 異変には他の冒険者たちも気づいているようで、徐々に疲労で攻撃速度が落ちると、鉄巨人の回復速度の方が上回るようになってきた。


「回復してる」


 攻撃を潜り抜け、ゲイルが近づいてきた。まだダメージは喰らっていないようだったが、顔に疲れが見えた。


「どうする? 火力が足りない。この手の生物は心臓なりコアがある。そいつを壊せばいいと思うが、体の一番深いところだろう。この再生速度じゃ辿り着けない」


 ゲイルは再び聞いた。


「もう少し、試したいことがある」


 トクナは気づいたことがあった。


 鉄巨人を攻撃するとポロポロとこぼれる表面。金属の鉱石のようなものなのだが、トクナが攻撃した時、武器の形で落ちる時があった。おそらくスキル「戦利品」の影響があるのかもしれない。しかし確証を得られていない。


「リナ!」


 少し離れた場所にいるリナに声をかける。リナはすぐに寄ってきた。


「これで攻撃してみてくれないか」


 手持ちの「くすんだナイフ+17591」を渡す。一瞬ステータスに驚いたのか、取り落としそうになるが、


「普通に攻撃すればいいんだな?」


 との確認に、トクナは頷いた。


 ナイフを渡したトクナロングソードで攻撃するとポロリと落ちた鉱石を拾って素早くアイテム袋に入れる。


「なんだこれ」


 一方、リナが攻撃時すると剣が落ちていた。


「それ拾って」


 リナもすぐにアイテム袋に入れる。


「なんなんだ?」


「たぶん、これで倒せる」


 トクナはナイフを受け取ると撤退を呼びかけた。


 



 怪我人がいないことを確認し、翌日再度集まることを全員に約束して解散となった。合同パーティーのメンバーはどこか暗い表情だった。敵を目の前にして撤退するのはあまり気分が良くないのだろう。ダンジョン第四層という深いところまで行ったのだから尚更だ。


 ただ、ギルドマスターは遠くから見ているだけだった。




 宿に戻って、トクナはアイテム袋の中身を全部広げた。横着して拾ったものを適当に投げ込んでいた結果、見たことのない武器も出てきてトクナ自身を驚かせる。


 持っている武器を並べて、まずは片っ端から同じ名前の武器を合成していく。一旦は+25まで。ほとんどが★1か★2。解放されたスキルを確認していく。


 探しているのは「戦利品」スキルを持つ武器。全員が装備すれば攻撃して剥がれた場所が武器になる。それを拾って合成してしまえば、戦闘エリア内の鉱石の質量が減るはずだと考えた。


 そして25凸武器が10種類を超えた頃、目当てのものが見つかった。


「あった」



【★2 盗賊のナイフ+25】

【攻撃力:58】

【スキル1:背後からの攻撃力15%アップ】

【スキル2:戦利品】



 やはり「戦利品」スキルは「くすんだナイフ」以外の武器にも付くことが分かった。★3以上の武器なら凸無しでも付いている武器もあるかもしれない。


 その後も、調べてみたが同様に★1、★2武器に「戦利品」スキルがつく武器は見つからなかった。いや、「くすんだナイフ」のように100凸、1000凸でなら存在するかもしれない。だが、今回は複数本用意する必要があったため、トクナは「盗賊のナイフ」だけに絞ることにした。


 さらに、副産物として役に立ちそうな杖も見つけていた。



【★2 ヒイラギの枝杖+25】

【魔法攻撃力:60】

【スキル1:植物魔法の威力5%アップ】

【スキル2:ドロップ自動回収(戦闘中に落ちたアイテムを自動で引き寄せて回収する)】



「あのデカブツへの対抗手段は見つかったか……って、うわっ」


 宿に戻って早々ひっきこもっていたトクナの様子を見にきたリナは部屋の惨状に声を上げた。武器屋も真っ青なほど広げていた武器に囲まれて、トクナは顔を上げた。


「ちょうどよかった。明日手伝って欲しいことがあるんだ。セラも呼んできてくれないか?」


 リナがうなづき、すぐにセラもやってくる。


「きゃっ! トクナさん大丈夫ですか!?」


 セラも同じようにリアクションをとる。


 トクナは不要になった武器をアイテム袋にしまいながら、今日鉄巨人と戦って得た情報を伝え、翌日、一緒に武器屋を巡って「盗賊のナイフ」を集めて欲しいと伝えた。

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