信長らしく…
23)織田信長らしく…
城主、織田信長か。やべえな。似合わねー。
政治のことは俺には分からねーし。第一、今の俺はそれどころじゃない。中学生時代以来のネガティブモードに突入している…。
城のことも、国のこともまったく手につかない状態だ。
こんなことで大丈夫か?と思うが、ミツや秀吉を始め、俺の家臣達と元々いる親父の家臣達が上手く働いてくれているから問題ない。
「勢いに任せてやっちまったよな…。嫌いな奴だったけど、何も殺すことなかったよな…」
そう言うこと。
弟をやっちまった。そのことが頭から離れない。
後悔よりも自己嫌悪といった感じだけど、実際のところは自分でもよく分からなくなってきた。
ホントなら、この間、攻めてきた信友に今度はこちらから攻める予定だったけど……。俺が、この状態では延期するしかない。
延期すること自体は別に構わない。城の防備は完璧だし、領内の防衛もしっかりとしている。また攻めてきたとしても、今度は簡単に攻撃してこれないのはミツの太鼓判が押してある。
まあ、俺が何もしなくても国が回るのは、全部ミツ達が頑張ってくれているお陰だな。
「入るよ、ノブ。て、まだダメそうだね」
俺を見るなり第一声がコレだ。白髪混じりの俺の姿は隠そうにも隠せないのだ。
「ああ…、まあな。─────これが戦国乱世ってやつなんだな…。舐めてたわ」
「親兄弟、内外問わず敵は多いよ。油断してると一瞬で全部奪われる」
そう言や、ミツの親も殺されたんだったな。俺の気持ちも分かるってことか。
ホント、有り難い。
「ま。それは、別として報告しておくことがあるんだ」
「ハア…。一応、城主だしな。落ち込んでるヒマはねぇーか」
「そうだね。徐々に慣れていくしかないよ。結局、信秀様の家臣もみんな残ってくれたんだし、下手に無様な姿を晒すと反乱起こるかもしれないよ」
「脅かすなよ、ミツ。まあ、ミツ達が居てくれるなら他の奴らが反乱しようと関係ねーよ」
一人一人の顔まで覚えちゃねー。そんな奴らが何しようと痛くも痒くもない。従っている内はこき使うだけだ。
「関係なくはないんだけどね。まあ、ノブはまだそのままでいいよ。暫くは僕達が何とかしておくから」
「恩に着るよ」
「でも、城主としての仕事はしてもらうよ。国は良くても城の仕事は溜まってるんだから」
相変わらずの鬼だな。飴と鞭が両方ともいっぺんに持って来た。
この城で俺の扱い方を一番分かってるのは、やっぱりミツだけだな。
「んで? 報告だったっけか」
「美濃からやっと届いてね。その確認と承認、頼んだよ」
「道三のおっさんに頼んでいた魔法銃だな。そうか、もう届いたんだな」
ミツの気遣いだ。
普段の俺ならテンション上げて喜ぶところだが、全然気分が盛り上がってこない。
それに、今は命を奪う武器は見たくないのだ。
「やっぱり、元気でないみたいだね。しょうがない。ノブ、ちょっと用事を頼まれてくれないか?」
「えぇ…。だから、今はそんな気分じゃねーんだよ」
「たいした用事でもないから、すぐに終わるよ。どうしても嫌なら市姫様にお願いすることになるけど……」
「う。なら、仕方ねーな」
市を出されたら、俺も動かないわけにいかねー。
しぶしぶと承諾した。
簡単なお使いだ。俺の拓いた町、勝幡に置いてきた俺やミツの私物を持ってくる。それだけだ。
勝幡に行くだけなら俺だけで十分。と、思ったが考えてみたら、市の私物もある。
結局、市も連れて行くことになった。
「ミツめ。なかなかの策士だな」
ホントのところは分かんねーけど、俺の心のオアシス。市が同行することを見越していたとすると恐るべき策士なミツだ。
「お兄様? いきなりどうしましたか?」
「お前にお兄様なんて呼ばれたくねーぞ!?」
「あら、酷いことをおっしゃるのでね。そんなツレないお兄様なんてキライでふ?!───イッタ~い!!何をするんですか、信長様!!」
「それは俺のセリフだ!何でお前らまでついて来てんだ!!」
コトコトと走るトラック。車内にはまたしてもお邪魔な三人娘が乗り込んできた。
俺が運転手。なら、今回のエンジンは三人娘…。じゃない。言うまでもなく、市でもない。なら、一体誰でしょう?
身も凍る恐怖体験!?
ある意味、そうだが。今回のエンジン役は魔剣大蛇にやらせている。意思を持つ魔剣だからこその使い方だ。メビウスの輪の如く巻きつき、グルグル回ってペダルを回している。これは楽でいい。
だが、この中で一番楽をしているのは三人娘達だ。
「茶々…。お前の声マネはマジで似てるけどな…。言うことメチャクチャだ。市がそんな事言うはずがねーだろ」
「そ、そうで……うぷっ。────ですよ。私がお兄様を……嫌うなんて………うぷ」
どうも、市は車酔いしてしまったようで顔色が悪い。前は何ともなかったのに…。俺の運転が悪いのか?
まあ、無理はさせないように後部座席で寝かせている。
「無理して動かなくていいぞ、市。それより、お前たち。何で、また勝手について来たんだよ。お前らのようなお姫様じゃ力仕事はできねーだろ?」
「えー。人を見た目で判断するとイタい目にあいますよー。こう見えて、私たち力仕事だって得意なんですー。ねぇ~?」
「そう。田舎侍の娘なんて、どこでも扱い一緒。力仕事だって任せて」
エヘンと平らな胸を張る。
所詮、お子様。平坦で見るものでもない。
とは言っても、女の子に怪我はさせたくない。せっかく、可愛い顔してのだ。尚更にだ。
「どうせ、私たち胸ないですよ。信長様のスケベ!!」
「お兄様…。声に出てましたよ…」
「むむ…。悪気はないし。勿論、そんな趣味ない」
間違って口に出てしまったか。まあ、仕方ない。変なフラグを立ててしまったようだが、へし折っておいた。好感度はメキメキと降下する。
断じて、お子様に興味はない。確かに見た目は可愛いし、将来性はある。が、その頃には俺もおっさんだしな。
「あ!?ブレーキブレーキ!!」
「お、おう。と、アブねーな。こんな所で飛び出しかよ」
急ブレーキに車内が揺れる。シートベルトを付けておいて良かった。
飛び出しには要注意だ。つーか、飛び出すなっての。交通ルールでも作るべきか?
「ほっ…。何事もなくて良かったです」
「だな。向こうも車なんて初めて見るから驚いていたな」
「そうですね。こんな物に踏まれたら蛙のように潰れてしまいますよ。きっと、人間も同じですよね?」
と、顔マネ────。
え、エグいなぁ…。前言撤回。
茶々(コイツ)は、絶大にロクな大人にならない。
コイツ、この性格のせいで結婚できねーって、親が俺に押し付けてきたんじゃねぇのか?
勿論、結婚は考えてないけどな。
その後もトラックは走る。最近はこのあたりも盗賊山賊の姿がめっきり見あたらなくなった。
どうも、この辺りに賊が多かったのは信勝の差し金だったらしい。
俺を陥れるための策略…。
だと言うのに、信勝も信勝で色々と思い悩んでいたと考えると何故か俺は心苦しくなる。
て…、また暗くなる。あんな奴どうでもいいじゃねーか…。気にすんな、俺。
周りを見ると、景色が変わっていた。開墾、開拓は終わり、やかましくも賑やかな街になった。戦争が経済を発展させるなんて嘘だ。
戦乱から離れたこの街の発展ぷりを見てみ。やっぱり、平和が一番いいのだ。
「ついこの間までここで暮らしてたのに、何か懐かしい感じがするな」
到着と同時に片付けを始めた。俺の物は殆どないが、ミツの荷物が多い。魔法関連の資料や道具だ。
一体、どこから持ってきたのか怪しさプンプンな物まで。資料に関してはちょっとだけチラ見してみたがチンプンカンプンだ。何が書いてあるのか分からなかった。
「信長様。こんな所にいたんですか?」
「そっちは終わったのか、初。まあ、市の方は人手が多いからな」
俺の人望なのか、市の美貌なのか。俺達が帰って来たことで街の奴らも集まってきた。引っ越しするといったら、手伝うと言い出したてきたので、荷物運びを手伝ってもらっている。
「まあ、そう言うことです。私は光秀様の荷物整理を手伝いに来たんで」
俺の荷物は知らんぷりと初の中で決定しているようだ。
市の方に人が多いのは、若干腑に落ちない。が、市の荷物が多いのだ。それも仕方ない。
「…て、その荷物は親父が持ち込んだものか…」
親父の思い出もまた自己嫌悪。落ち込んでしまう。
「信長様。そんなところでボーって突っ立てられても邪魔です。後は、私達がやっておきますから、市様とそこら辺を散歩でもしてきて下さい」
「何だよ。お前らまで俺を邪魔者扱いか!?」
実際、役に立ってないから言われているんだけどな。
「当たり前じゃないですか。おおざっぱに荷造りされても困るんです。ホント、どっか行ってて下さい」
ま、片付けなんて俺の柄じゃねぇ。どうも、初は初で抜け駆けを狙っているようだし、邪魔するつもりもない。
そう言うことなら、俺は市と散歩でもして来るか。
「あんま、ミツの持ち物に触れるなよ。意外とヤバいモンが有ったりするからな」
「殿方の隠す物は良く存じてますよ。光秀様の趣味を知るよい機会ですね。エヘヘ」
何つーエロい顔してんだ。ガキと侮ってたけど、コイツも女か…。
「ほ、ほどほどにしてやれよ。…見られたくないから隠してんだかんな」
「勿論ですって!!」
嬉々として部屋を漁り出す、初。これは、片付けと称したガサ入れだな。
ミツの本性が暴かれるのは時間の問題か。いや、俺は知ってるけど親友として口には出さねーよ?
「じゃあ、俺は市のところに行くけど────」
「あー。はいはい、いってら~」
初。こいつは夢中になると他のことがどうでも良くなるタイプの人間だな。
一歩間違えれば、人生台無しにするんじゃね?
「………」
他人の人生なんて俺には関わりのない話だ。既にミツの恥部に触れかけている初はほっといて、早く市のとこへ避難しよう。俺は何も見てないし、知らないのだ。
縁側で日向ぼっこしている市を発見。何やら、しょんぼりしている様子だ。
「おーい。市、どうしたんだ?」
「あ…、お兄様。はい、実は茶々と江に追い出されてしまって…」
話を聞いてみたら、どうやらあの2人。実はしょっちゅうケンカするのだとか。仲が良いのか悪いのか…。ま、ケンカするほど仲が良いとも言うし、ホントに仲が悪いなら一緒に居ないよな。
2人がケンカを始めると市には止めらんない。ほとぼりが収まるまで待っていた。ということらしい。市も大変だな。
「じゃあ、市もヒマだな。少し散歩にでも行かねーか?」
「断る理由がございません。私で宜しければ」
「ウシッ。じゃ、決まりだな」
特に行き先を決めるワケでもなく街をぶらぶら。活気に溢れる街並みは俺が唯一自慢できるものだ。
人も前より倍は増えたんだろう。俺の知らない顔が多いが…。何気に俺達二人揃うと人目を惹くな。ちょっとした有名人感覚だ。
実際、有名人だけどな。
「何か、街に出ても落ち着かねーな」
「ですね…。せっかく、お兄様と二人きりですのに…」
「ホントその通りだ。せっかく二人きりになれたのにな…。好機だと思ったが」
「え!?お兄様…。それは!!それは、どういう意味で、でしょうか!!」
珍しく市が慌てる。
別に俺はおかしなことを言ったつもりはない。最近は、あまり俺の方から市に近づくことをしなくなった。親父のこと、信勝のことで顔を合わせ難いという事情があったせいだ。
市がどう思っているのか。嫌われてしまうんじゃないかとか。それもまた俺のストレスになっていた。
「いや、覚悟決めようかな…。とか────」
「お!!お兄様!!真に。真にございますか!!」
ん? んん? んんん!?
ヤバい!!これ、地雷踏んだんじゃね?!これってまるでプロポーズ!?
「違う!!違うぞ、市!!落ち着くんだ!!」
「お、お、お、落ち着いています!!はい!!」
動揺を隠せない、市。俺も同様だ。
「し、深呼吸だ。すーはー…すーはー…」
「はい。すーはー…すーはー…」
市も俺を真似て深呼吸。
落ち着いたところで話を戻す。
「言葉を間違えた。市と話したいことがあるんだ。そう、親父達のことで…」
「は…。はい、勿論です。勿論、分かってます。大丈夫、少し気が動転してしまったようです」
「俺の言い方が悪かったんだ。済まん…」
「お兄様が謝る必要はありません。悪いのは、私です。申し訳ございません…」
俺は…。俺達は、ちょっと意識しすぎなのか?
兄妹の一線。親父がいなくなって更に歯止めが利かなくなってきたような。
それは俺が自制すれば良いけど…。
邪魔するかの如く、拍車をかけるのは三人娘たちだ。市に悪影響しか与えてねーよ、アイツら。────かと言って、市から友達を離すこともしなくないし…。
「お兄様。それでお話しとは?」
「ここだと人目がな…。農場の近くに憩いの広場があっただろ? そこで話すよ。少し話し難いことだからな」
「分かりました。では、そちらで」
先も述べた通りだ。
何回も言う必要ないけど、農場の近くにある憩いの広場。ここは、一般解放されている場所だ。
しかし、人は居ない。ピクニックやキャンプみたいな風習がないからしょうがないけど。作った意味がない。
今回は、これは幸いしたな。
「静かな場所ですね…、お兄様」
「ホント、のどかだ。ここじゃないどこかじゃ、きっと。どこかの誰かが戦争してんだろうけどなぁ…」
「お兄様は争いは嫌いですか?」
好きか嫌いか言われても、答えに困るよな。平和だからって幸せでもないし、戦争があるからって不幸なわけでもない。
生きること自体が争いだともいえるし…。
「まあ、好きでも嫌いでもない。が、俺の答えかな」
それは…。でも、無駄に魔法の才能なんて持ってるから言えることだと思う。
最初は魔法の力に喜んでいたけど。魔法のせいで親父が死んで、信勝を殺して…。
「なあ、市?」
「はい。何でしょうか」
真っ直ぐに俺を見つめる市。その瞳に弱い心が射抜かれる思いだが、聞かないワケにはいかねーよな。
「市は…、その…。俺が信勝を殺したことどう思ってる? そもそも、親父が死んだことも元を正せば俺のせいだろ。信勝がやったことは許せねーけど…。戦乱の世って言っても、やって良いこと悪いことくらいはあるんだし…」
「気にしてない。と言えば、嘘になりますが…。お兄様の行動に間違いはなかったと考えています」
信じてはいるけどってやつか?
こればかりは気持ちの問題だ。市の場合は、失ってばかりで得たものはない。不幸の連続だ。
それが全部、俺のせいでとなるとな…。尚更、俺は自分を追い詰めてしまう。
「もし、お兄様が信勝を討ってなければ尾張はどうなっていたことか。想像に難くありません。女の身であれば、私に出来ることは限られていますから」
信勝への不信感もあったってことだな。
勘が鋭い。もし、これで市が男だったらスゲー武将になってだろうな。
だが、市は女の子だ。それも武家に生まれた女の子。その立場は危うい。高嶺の花とは言うが、それはそれだけ目立つと言うことでもある。
刈り取られ、枯らされることの方が多い。そのまま綺麗に咲いていられないはずだ。
それでも、今も花を散らすことなくいられるのは、市自身の芯の強さに他ならない。誰に守られるでもなく、市は自分の強さで生きている。憧れる強さだ。
「市は強いな。俺の方が全然ダメダメな兄貴だ」
「そんな事ありません!!断じて!!絶対です!!」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど。期待し過ぎだ。俺はそんな立派な人間じゃねーよ」
「期待したら駄目ですか!!立派な人間になることは悪いことなのでしょうか!! ────お兄様が望まなくても、周囲から見られる自分は。自分が思っているような人間には見えないものです」
それは言われるまでもない。
他人の目を気にして、他人からの評価を気にして、それに耐えきれず、俺は自殺したのだ。
生まれ変わっても、調子に乗った俺は格好つけて…。そして今はこの様だ。バカは死んでも治らないらしい。
「ですけど。別に良いじゃないですか。期待に応えられなくても。その方がよっぽどお兄様らしくて格好良いですよ」
「くっ────。プッ!!ハッハッハッ!!そうだな。その方が俺らしいよな。何を考え過ぎてたんだろうな、俺ってやつは。ありがとう、市。何かスッキリしたよ」
俺の悩みなんて、こんなものか。
親父達のことはきっかけに過ぎず、俺は俺の名前にプレッシャーを感じていたのだ。
織田信長らしく…ではない。自分らしくしていれば良い。俺を俺として認めてくれる人間が、ここにはいるのだから。
「いえ、私に出来るのはこの程度。お兄様を支えることしかできませんから。ですが、お約束して下さい」
「約束?」
「はい、約束です。お兄様は命を大切にして下さい。そして、それを忘れないで下さい」
命は大事か。今の俺には身を以て実感する言葉だな。自分の命も他人の命も、軽くて儚い。そして、死んだ後に重くのしかかる。
言うこと聞かないから、殺す。というのは流石にやり過ぎだ。
市の言うとおり。命は大切にしないとな…。
「分かった。約束する」
「はい、約束です。それと、これは私からの贈り物です。目を閉じて下さい、お兄様」
言われた通りに目を閉じる。
「どうか、お兄様の御心が曇りなく穏やかで有りますように…。極魔法、月読之命────」
「え…、魔法? なっ…………」
と、そのまま意識を失う。
気がつけば、俺はどうやら眠ってしまったようだ。
久方ぶりの安眠。起きた時には満月の出る夜に変わっていた。
しかも、市の膝枕付き。こんな嬉しいことはない。身も心もリフレッシュ。気分爽快だ。
「お兄様、おはようございます」
俺の目覚めを察して声をかけてきた。あれからずっと俺の側に居てくれたのか。
「あ、ああ。────おはよう」
今は夜中だが…。
月明かりに照らされる市が神話に語られるような女神のようだ。
そういや、さっきの魔法? 月読之命って言ったか。あの魔法の効果だろうけど、心が軽くなった。
逆に市の消耗は激しかったようで、綺麗な黒髪が金髪になっている。月の女神、美の女神。そう言った表現が相応しいキラキラとした金髪…。
それは、それで似合っているけど。つい見とれてしまったけど、また迷惑かけたってことだ。
「…? 大丈夫です、お兄様。すぐに元に戻りますから」
顔に出てしまったらしい。市のMP切れになった姿を見たのは何時以来ぶりだろ?
「なら良いけど…。俺のことを考えてくれるのは嬉しいが、市ももう少し自分の身を大切にしろよ」
「はい」
互いに約束を交わし、市の魔力が回復した頃に勝幡の家に戻った。既に片付けは終わって、荷物は全てトラックに。
俺は一体何しにここに来たんだろ?
ミツの思惑通りかどうかは分からないが…。
ただ、市のお陰で気持ちの整理はできた。それは、良かったと思う。
一晩をここで過ごし、翌朝には城へ帰った。リフレッシュできたとは言え、やることは多い。これからが大変なのは言うまでもないことだ…。




