開拓
17)開拓
秀吉の復活から、ひと月が経った。
劇物により意識を失って心配したが、今は後遺症もないので安心だ。ということで、俺の野望が動き出していた。
野望の第一歩。それは、荒れ地の荒野の開拓から!!
そのせいで、今日も忙しい。ちょっと前までは暇だと嘆いていたのに、不思議なもんだ。
領地の開拓が進むに連れて人も増えるし、家臣も増える。増えた家臣は、ミツと秀吉の下で働き、更に開拓が進む。
ホントなら、何人も人の手で。それに何年もかけての大仕事だ。
魔法は、やっぱり便利。チョーすげー!!
順調、順調。残す問題は食糧だ。
その日その日の食糧は、俺が作り出せるから問題ないが、これからのことを考えると魔法で解決とはいかない。
田畑を作り、自給自足を目指す。ミツの言った通り、前もって準備しておいて正解だ。
「秀吉。収穫の方はどんな感じだ?」
「ええと…。穀物、果物の収穫作業はほとんど完了ッスね。ノブ様の作った氷室も、いい塩梅で埋まってきたッス。見たことない野菜ばっかりっしたけど、みんな順応早いッスね。もう、普通に食ってますよ」
「そりゃ、そうだ。お前が見本になってんだよ。何でも何でもバカ食いしてんだから、他の奴らも食うだろが」
多少の不安は残すも、十分な成果だ。
米、麦、トウモロコシ。人参、ジャガイモ、玉ねぎ。りんご、ミカン、バナナ。
食糧が増えれば、もっと人も増える。米とかなら保存は常温でもいいが、果物とかの生鮮食品は冷やしておかないといけない。なので、これまた魔法で冷蔵倉庫を作った。
後は、作物の育て方。次の収穫と農耕の発展が必要だ…。とか、ミツ言っていたな。
「ノブ。こっちの準備も万端だよ」
ミツも一仕事終えて戻って来た。
「流石だな。これならもっと充実した戦国ライフが送れるな?」
「相変わらず、気楽だね。この時代、本当なら食糧難で苦しんだよ」
「だからこその天下統一だろ。俺は世界を救うために飯を作る!!」
「うん。織田信長じゃなければ、格好良い台詞だったね。それより、ノブ。こっちの方に来てくれる。ノブの手が必要になったんだよね」
またもや、俺の出番か。「俺、大活躍!!」と言いたいところだが、実際はミツに任せっきりな状態だ。
現在進行中の酪農をミツに担当してもらっている。元々、牛は労働力。鶏は卵。豚はいない。という状況だったらしい。
食用に適した家畜。酪農と畜産を目的に、牛豚鳥を飼育するのがミツの担当だ。
「おう、任せろ。で、俺は何すれば良いんだ?」
「餌だよ。動物たちの餌が必要なんだ。後は色々と掛け合わせて、こっちも品種改良。まだまだ時間が掛かりそうだけどね」
「ゲエ!?ノブ様達、牛食べるんすか!?」
何をそんなに驚くのか。
…って、そうか。牛を食べる習慣ないからか。すき焼き自体、明治とかそこら辺で登場?
ま、なら。意外と受け入れられるのも早いか。何より、俺が食えるならオールオーケー!!
利用できる幅だって広いしな!!
「肉って言ったら、牛だろ? それに秀吉の食ったクッキーも牛乳とかバターの乳製品が使われていんだぞ? 今さらだろ」
「ま、マジっすか!?ミツさん、マジなんすか!?」
「ノブの言う通り。嘘は言ってないよ」
「マジ…すか…」
「てゆーか!!秀吉、俺を疑うな!!」
農業、酪農と一気に改革。違うな、これは革命だ。
文明開化の前に、これはやり過ぎたか?
ま、過ぎたことは気にしない。やり過ぎてこその俺だもんな!!
「何ツーか。俺、着いて行くのにやっとっすよ…。食いもん美味いのは良いんすけどね」
「だろ!!やっぱり、食い物違うと働きが違うよな?」
「そうなんすけどね…。何か俺って、馬みたいな扱いじゃないッスか?」
言われてみたら、その通りだな。逆に食い物で動いてくれるから扱い易い。何気に働き者だし、これからももっと美味いもんでも作ってやれば良いだろう。
「まあ、否定は出来ねーな。でも、ハンバーグとかカレーとか、もっと美味いものあるんだぞ?」
「そ、そんなこと言ったて、俺の働きは変わんねーッスからね!!」
「分かりやすいな。秀吉は…。でも、食べ物は重要だよ。特に肉類は筋肉になるからね」
「ああ!!だから、ミツが来たのか。牛達も餌が違うと味も良くなるんだな!!」
「表現がストレート過ぎだよ!?栄養ね。栄養価が上がるね」
「そこ、ツッコむのかよ。まあ、どっちでも良いんだけどさ。それより、餌なら蔵にあるやつ使えば良いじゃん。秀吉、蔵の物出してミツに渡してやってくれ」
「ぜ、贅沢ッスね。ホント、良いんすか?」
「良いんじゃねーの。足りなくなるようなら、俺がまた作れば良いんだしさ」
食糧に関しても、問題解決は間近だな。畜産酪農さえ解決できれば、完全無欠の食事情だ。
米、パン、麺。食い物に困ることもない。
「そうだね。確かに、大丈夫そうだ。なら、ノブにもう一つ仕事を頼もうかな」
「おう、任せろ!!」
内容も聞かないで安請け合い。ちょっと調子にのり過ぎか?
「頼もしいね。じゃ、少し街並みの整備をお願いするよ。街も広くなって、畑もバラバラ。これだと効率が悪いから、区画整理しておいて」
「区画整理か。確かに必要だな。でも、俺の一存で決めて良いのかよ?」
そう言った細かい事は苦手だ。不器用と言うことではないけど、パズルのようなゲームは苦手なのだ。と言っても、引き受けたからには後には引けないよなぁー。
「勿論、駄目に決まっているだろ。僕がちゃんと街の設計図を作っておいたから、この通りに作り直してね」
「助かる。って、これ!!ちょっと無理あるんじゃないのか!?」
手渡された紙には、びっしりと区画分けの図案が書かれている。さらには、街の防衛も含めた設備まで…。一体、いつの間に。
ミツにそんなヒマはなかったと思うけど、出来てるものは出来てるのだ。
「うん。でも、これからのことを考えると、これくらいの備えは絶対必要。まだまだ、治安は悪いんだ。それに、近いうちに信秀様と市姫様が来るって言っていたからね。ある程度の成果は出しておかないとマズいでしょ?」
「なに!?市はともかく、親父まで来るのか!?」
まるで家庭訪問だ。って、来るのが親父か?
なら、これは一人暮らし始めた子供のところに来る親みたいな感じか。
生活チェックとかされるのか?
「当然だよ。信秀様も城主だからね。新しく街ができれば見に来るってものでしょ」
「ああ…。そうだけど、何で親父? 市だけで十分だろ」
「はいはい。惚気も愚痴も後で聞いてあげるから、早く仕事しようね」
「秀吉じゃないけど。最近、俺への扱い方が雑になってないか? でも、仕方ねーか。さっさと片付けねーとな。下手して領地没収とかイヤだしな」
そうと決まれば、今度は街の整備。ミツの言った通り、てんでバラバラの街並みだ。逆に言うなら、俺らしいおおざっぱ加減だ。
ミツの図案だと、田畑の統廃合と家の転居だ。設計は細かいが、やることは案外少ないな。
まあ、魔法があればこれも簡単だ。
因みに俺の住む場所もある。
城との往復は距離もあるし、毎日の通勤は大変…。なので、こちらに家を置くことにしたのだ。流石に城は大袈裟なので、お屋敷程度に収めておいた。
翌日。
市と親父のご到着だ。意外と早く来たものだ。
案内は自ら買って出た。市も一緒なので、雰囲気は悪くない。俺も親父も市の前では頭上がらねーな。
「────と、まあ。こんな感じだ」
「うむ。信長にしては、立派な造りをしているな。ゴロツキ共も迂闊に近づくこともあるまい」
だろうね。設計は全部ミツがやったものだから当然だ。俺は設計通り作っただけだもんな。
「当然だろ。日本の安全神話は、この世界でも確立させるとかミツが言っていたからな。次は、侍を増やして警察機関を作るとか何とか」
「安全神話?警察機関?まあ、分からんが先を見据えて領地を治めているようだな。儂の心配は無用だったようだ」
珍しいことを言うものだ。親父が俺の心配だって?
まあ、俺だって出来るところを見せてやりたい気持ちもあるし、悪い気はしない。
「ところで、お兄様? お兄様のお住まいはどちらにあるのでしょうか」
「ああ。俺の家は街の真ん中だ。どこで何があってもすぐに駆けつけられるようになってるんだ」
「ああ…、なるほど。やっぱり、お兄様は皆に頼りにされているのですね!!」
俺への評価高過ぎだっての。街の奴らが頼りにしているのはミツの方だ。基本的に指示を出すのはミツ。俺じゃない。そんな、俺が頼りにされるはずないのだ。
「そんな、大袈裟なもんじゃねーって」
一応は、ミツは家臣という扱いだから住み込みで働いている。何かあれば飛んでいくのはミツだ。と言っても…、俺も後から行くことになるから、ミツとあんまり変わらないか。
「大袈裟じゃありませんよ。お兄様は、頼り甲斐がありますから。少なくても、私はお兄様を頼りにしてますよ」
「市に頼られれば、誰だって張り切っちゃうさ。ま、俺にとっては市は特別だから尚更だな」
「ほ、本当ですか!?私はお兄様にとって特別なんですか!!」
え?エラいところに食いついてきたな。これ、俺なんて答えれば良いんだ?
どう答えても、色々とマズいことになるんじゃねーの?
こんな肝心な時に限って、助け舟も居ないし、お邪魔虫も居ないときた。
「市? 儂だって、市のこと特別に想っておるぞ!!」
ブッとんだ助け舟が来たぞ!?聴きようによっては危ないって、その発言!!
「あ…。はい、父上。それはちょっと危ない気がしますから、少し遠慮した方が宜しいかと思います」
「ええ!?市、それは酷いぞ!!父、悲しいぞ!!と、それより…。良いのか?信長、分かってないぞ?」
「ん、俺? 俺に何かあったのか?」
「そうでした。お兄様の所へ、荷物を運ばなくてはならなかったのです。お兄様の所にお邪魔しても宜しいですか?」
荷物?
はて、荷物って何の荷物だ。俺の荷物なわけねーしな。
「別に構わねーけど。何のことだ?」
「はい。私も此方へ引っ越しをと思いまして。父上も承知済みのことですよ」
「不承不承だがな…。城を離れて暮らすなど…」
「うん。分かんないけど、分かった。とりあえず、家の方に案内するよ。話長くなりそうだし、詳しいことはそっちでしよう」
市と親父を家に連れて行く。区画整理も終わっているので一本道だ。後ろに歩く、大名行列が気になるところだが…。
市の護衛なのだとしたら、納得の一言だ。親父、グッジョブ!!
でも。街の中なら安全だ。それでも着いてくるのは、おかしい気もする…。それも、親父の命令なら仕方ないのか。
「いらっしゃいって、言えばいいのか? まあ、小さい家だけど寛いでくれよ。今、茶を淹れてくるから」
「なんだ、信長。ここは茶を淹れる者も居ないのか!?」
「当たり前だろ。ここは城じゃねーんだからな」
「ぐ…。やはり、市をこんな所に…」
どうも、市はここに住み着くようだ。親父や市の話からしてそうらしい。
俺は全く納得してないが、市が来てくれるのは正直嬉しい限りだ。
「お兄様。お茶でしたら、私がお持ちします。これからの事もあるでしょうから、父上とゆっくりお話し下さい」
「あ、ああ…」
ゆっくりと、と言われてもな…。親父がこんな調子じゃまともに話せるとは思えねーよ。
いや、市が居ないからこそ話せることもあるか。
アレとソレ。コレやソコもだ。
「────で、親父。これは、どう言う事だ?」
「うん?何がだ」
「何がじゃねーだろ。荷物って、これ多過ぎだろ!?家から溢れてるじゃねーかよ!!」
あの大名行列の正体はコレか…。
「仕方なかろう。市が城を出てお前と暮らすと言って聴かんのだ。全く、一体誰に似たのか頑固者だな」
親父の奴、何を言ってんだ。頑固者は親父譲りだろうが…。頑固者じゃないとか言ってる時点で頑固者の証明だろ。
「そんなの別にどうだって良いんだよ。この荷物の多さについて訊いてんだよ。一体どうしたんだよ、これ」
「はあ…。分かっておらんな。城を出ては色々と不便だろ。だから、必要なものを作って持って来たのだ。親としては当然のことではないか」
何が親としては…だよ!!俺の時は何も言わなかったし、くれなかっただろーが!!
それに、これは引っ越しというより輿入れだ。嫁入り道具だよ。ホント、親父の奴は何考えてんだよ。
「別に一人暮らしするワケでもないんだから、大仰過ぎだっての。気持ち分からんでもないけど、もうちょっと何とかなんなかったのか?」
「しかしだな。可愛い一人娘を信長に任せるには不安もあるだろ。お前のことだから、間違いがあったらどうする」
親父の不安要素は俺かよ!?俺のこと何だと思ってんだよ。心外だ。甚だ心外だ。
「間違いも何も、市のことは俺が守るし大丈夫だよ。大体、そう言うの娘からしたら嫌われる行為だろ。過保護もいい加減にしないとマジで市から嫌われるぞ」
「何を言う、信長!!儂は親として当然の事をしているだけだ!!」
親バカというより、バカ親だな。こうなると実力行使でも納得させるしかなさそうだ。
「表出ろ、親父。このままだと埒があかない。俺が勝ったら黙ってそのまま帰れよ、親父」
「うつけが、ほざきおる。それは儂に一度でも勝ってから言うがよい!!」
これは、市のためにも勝たないとな。
「一発でも当てた方の勝ちで良いよな?」
「良かろ。どこからでもかかって来い、信長!!」
じゃ、まあ。俺からだな。
前の俺とは違うんだよ。親父の属性も系統も分かっている。勝利は明白だ。
「強化、疾風迅雷!!────貰った!!雷神拳!!」
俺が出せる最高速度。更に天属性を纏った拳の一撃だ。交わせないし、防げないだろ!!
「甘いわ!!明鏡止水!!」
何だ、これ!?手応えなく親父が消えた。
水の変わり身のようなものか。初めて見る魔法だ。てか、親父の奴。前にやったときは本気出してなかったってことか?
「チッ。…見失った。親父、どこに行ったんだ?」
「この程度で、儂を見失うなど未熟者め!!水餓狼!!」
「クソ!?ファイアウォール!!」
とっさに防御するが、炎の壁を避けて魔法が飛んでくる。誘導能力というより、意思を持っているみたいな動きだ。
「甘いわ、信長!!」
「まだだ!!トルネード!!」
自分を中心に竜巻を起こす。弾け飛ぶ、水餓狼。反応できたのも強化していたからだ。
それにしても、親父の魔法は意外と厄介だ。一発一発は弱いが、付加される能力が手強い。
「なかなか腕を上げたではないか、信長。正直、ここまでやるとは思わなかったぞ」
「親父の方こそな。親父の魔法は完全に見切ったと思ってたのによ」
「ふん。生意気な口を叩きおるわ!!身の程を知れ!!これが我が奥義、水虎之咆哮を前にな!!」
初めて見るが、これが親父の奥義か。
鬼ゴリラの奥義は広範囲の魔法だったが、親父のそれは直線的な魔法のようだ。きっと、これも自己誘導の能力があるはず。じゃなきゃ、奥義とか言うわけないだろうし…。
まあ、避けられないだろうな。
「なら、こっちから当たってやろうじゃねーか。増幅強化、天空迅雷!!神風、突光拳!!」
火に油。強化中に強化を重ねる。複合的な強化とは違って同じ種類の二重強化だ。
想像以上にキツい。が、親父にこれ以上負けたくない気持ちのが強い。
大地を蹴って、親父に突っ込む。無謀だが、神風は天と風の合成だ。押し負けることはない。むしろ、押し返す。
「…後、…少し!!行っけぇーっ!!」
更に、大地を蹴って加速する。突き進んで、進んだ先で互いに魔法が切れる。
一歩だ。後、一歩が届かない。ここで距離を取れば、また親父の明鏡止水が来る。
「まだだ!!爆裂光波拳!!」
「ぐ、おのれ!!水虎逆流!!」
「それまで!!お兄様、父上。そこまでです!!」
互いの一撃は寸止めで止まる。
市が止めるまでもなく、当てるつもりはなかった。コツンと一発かまして終いにしようと思っていただけだ。
親父の魔法が背後に迫っていたが、それも十分防御可能。この勝負は先に攻撃を当てた方が勝ちなのだ。
「まあ、当然。俺の勝ちってことで良いよな?」
「さあて、それはどうかな。儂を本気にさせて無事に済むはずがあるまい」
負け惜しみと言いたいところだが、マジで無事で済まない感じだ。
最初に弾いた水餓狼がまだ生きていた。
逆流とか言ってたから、後ろからの攻撃ばかりを警戒してしまった。確かに、後ろからも魔法が飛んできたが、水の牙が上下からも迫っていたのだ。
もし、市が止めに入ってなかったら……。
「親父!!本気で俺を殺す気だったのかよ!?」
「信長、お前こそ儂を殺す気だっただろうが!!」
「お兄様、父上も。いい加減にしないと怒りますよ?」
「大丈夫!!もう、やんないから大丈夫だ!!許してくれ。市!!」
「変わり身はえーな、親父!?」
市相手に、親父の腰低く過ぎだろ。それ、親としてどうなのよ?
「はい。父上、それで話し合いはどうなりましたか?」
「う、うむ…。とりあえず、信長も腕を上げたようだし…。大丈夫だろう。市の転居を許すことにする」
「本当ですか!!ありがとうございます、父上!!」
何だかんだで、やっぱり市には甘い親父だ。鼻の下伸ばしてデレデレじゃねーか。
「ただし、信長!!市に何かあったら、貴様の命はないと思えよ!!分かったな!!」
「当たり前だ。命を懸けて守ってみせるさ」
親父じゃねーけど、俺だって市のことは大切にしてる。市に何かあったら俺も生きて行けねーよ。
「…お兄様。そんなに私のことを考えてくれているのですね…」
「うう。やはり、信長に預けるのは…」
「親父。いい加減、諦めろ。市ももう子供じゃねーんだし、離れて見守るのも親の努めだろ?」
「信長に諭されるのは癪だが…。その通りだな。本当に、本当に市のことは頼んだぞ!!」
やっと踏ん切りついたようだ。
それにしても、ここまで市を溺愛していたとは…。親父、恐ろしいな。親父の真の恐ろしさを初めて見た気がする。
「お兄様。では、改めて宜しくお願いします」
「ああ。何か不便があったら遠慮なく言ってくれよ。色々と足りない物も…。まあ、なさそうだけど、ホント遠慮しなくていいからな」
「はい。お心遣い、ありがとうございます」
うん。これからは、益々楽しくなりそうだ。
やっぱり、華がないとな。むさ苦しい男所帯にやっと花が咲いたな。
勿論、親父と約束した通り、市に近寄る悪いムシは徹底的に排除する。
割と本気だ。
冗談ではないのだよ。悲しいけど、これ戦争なんだよね?




