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古渡城フルーツ侍

15)古渡城フルーツ侍


 糖分だ。糖分。

 誰かさんのせいで糖分を取り損ねた、甘味。

 今は糖分が欲しい!!


「うーん。なかなか上手くいかないか」

「ウッス。失敗っすね」

「他人事みたいに言うな!!」


 菓子も良いが、果実的な物が食いたい。

 だが、残念。この世界に果物らしい果物は存在しない。あったとしても山栗、山葡萄、木苺とかそんなものだ。しかも、鮮度のない…。

 食欲も鈍る。

 と言うことで、早速はじめたフルーツ栽培。

 木になるのが、フルーツ!!

 そう考えた俺は、あの雑木林に再び来ていた。あのゴムの木を作った雑木林だ。


 この世界には存在しない物でも生み出すことはできる。原材料さえあれば…。それは既に実証済みのことだ。

 ならば、まずはメジャーなものから。バナナ、リンゴ、ミカンなんかだ。サトウキビと思うかも知れないが、砂糖を作っても砂糖単体では意味がない。

 ご飯にでも振りかけて食べろと?

 というワケで、フルーツ作りに着手した。

 何も種や苗から育てる手間は必要ない。俺には魔法があるのだ。

 木の生み出し、成長をコントロール。果実が実れば成功だ。

 秀吉には、出来上がった物を毒味役をさせる。魔法で作ったものだ。なにがあるか分からねーからな。

 秀吉にも、りんごを作らせてみたが、このバカにはリンゴどころか一本の木も作れない。秀吉、ヘタレだ。

 …にしても。秀吉は胃袋まで野生児か? あれだけ食ってもケロッとしている。


「ノブ。秀吉も…。こんな所に居たのか。市姫様がノブのこと探していたよ」

「来たのか、ミツ? …ミツの方は、忙しそうだったしな。市には内緒にしておいてくれ」


 山賊の一件の後始末は、ミツに任せてしまっている。

 全部、俺の責任なのに俺が手伝うと言っても、邪魔だからと素っ気なかったし…。

 やること無いから、こうしてフルーツを作っているのだ。決して、仲間外れにしているのではない。


「秘密は良いけど、これは僕にも秘密なのか? 」

「そんなことしねーって。後でミツにも教えようと思ってたさ。出来上がったら、ちゃんと差し入れに行くよ。ミツは、大変だろ?」

「そうだけどね。それにしても、懐かしいよね。こういった果物ってさ」

「だろ? でも、上手くないんだよな」


 作るも上手くねーし。味も上手くねーしな。さっきも秀吉がシブい顔をしていた。

 秀吉の顔がシブいわけじゃねえよ? 秀吉は今日も猿顔だ。


「ノブの邪魔する気はないけど…。食べてみてもいい?」

「ああ。いいぞ」


 リンゴの木から実をもぎ取り、ミツはひとかじりする。


「う!!酸っぱ!!」

「そうなんだよな。酸っぱいんだよ。何でだろ?」

「源種だからじゃないのかな? 品種改良されてないんだよ」

「なに、それ?」


 ここはミツの意見が欲しいところだ。

 俺の参考書しんゆうこそ、ミツなのだ。


「現代って言い方も変な話だけど、知っての通り、現代農業の作物は品種改良で作られたものなんだよ。突然変異とか他の品種の掛け合わせとかね。そうやって、環境に強い作物が出来上がったてこと。ノブの作ったこの木は、その元になった木なんじゃないのかな」

「なるほど。ちっとも分からねー。でも、俺が失敗したってワケじゃないんだよな」

「あ、うん。そうだね…」


 ということは、だ。このリンゴを元にまたリンゴを作って、またそのリンゴを元にを繰り返せばいずれ出来るんじゃないのか?

 突然変異って魔法でも出来るかはビミョーだが、成長をいじることは出来る。

 魔法があれば思いのまま。意外と簡単だな。


「じゃ、やってみるか。ミツもここまで来たんだし、勿論手伝ってくるんだよな?」

「はいはい。ま、お目付役だし、当然だよね」


 それからは、せっせと同じ作業の繰り返し。

 簡単どころか、果てしない作業だ。

 最初に作ったリンゴの木。そのリンゴに木曜魔法で成長を促進する。言うまでもなく、何の変化はない。

 再び、出来上がった果物を元に成長促進。出来上がったリンゴを残して、木はミツに処分してもらう。

 無属性、便利。

 やっていて気づいたが、作り出すより成長させる方が楽なようだ。

 だが、ツラい作業なのは同じこと。永遠と繰り返し、次第に変化が出るようになってきた。

 変われぇ…。と願うと変化する確率が高くなるようだ。

 魔法の干渉力なのか? それとも、俺の力が増しているからか?

 どっちにしても、変種のリンゴが生まれる。デッカいリンゴ、チッチャいリンゴ。ピンクのリンゴはビミョーだが、ブルーのリンゴは危険だろ。味の方は秀吉に食わせておけば良いな。

 とは言え、ここまで来れば完成間近だ。


 そして…。


 MPが切れかける頃、やっと出来上がったリンゴの木。実ったリンゴが燦々と輝く。


「ふふ…。やったな、ミツ!!」

「ああ。ノブ、完成だ!!」

「そうっすね…。俺も、もう満腹ッスよ…。腹痛くなってきました」


 「何で?」とは聞かない。これは秀吉への罰だ。食い物の恨みは怖いのだよ。


「なんか、コツが掴めてきたし…。明日もやるぞ!!」

「分かったよ!!こうなったら、とことん付き合うよ、ノブ!!」

「げぇ!?マジで言ってんすか、二人とも…」

「当たり前だろ。秀吉は明日も毒味役だ」

「そうだね。木曜魔法の使い手なのに食い意地だけだし。仕方ないよ、秀吉」

「そんな…。ミツさんまで…」

「とりあえずは、完成祝いだ!!食おうぜ?」


 完成に喜ぶ、俺達。かぶりつくリンゴの味は堪らなく美味い!!

 秀吉も何だかんだ言って食ってるし…。マジで化け物並みの胃袋だ。




 翌日は、リンゴに次いでミカン。ミカンは、派生が多くて色々と生まれた。グレープフルーツ、ピンクグレープ。レモンに、ポンカン、デコポンとか。もう色々だ。

 これで終わらないのが、俺!!

 当然、また翌日と品種改良を続けまくる。

 ずっと木曜魔法を使い続けてたせいか、もう完璧に使いこなせるようになったみたいだ。今では、思いのままに品種改良できる。

 若干、使い方間違っているような気もするが、気にしない。


「随分作ったな。どうしよ、これ?」


 バナナにメロン、パイナップルまで。

 やり過ぎてこそ、俺!!の代名詞が生まれそうだ。しっかし、マジで作り過ぎた。

 雑木林の面影ないじゃん。完璧に果樹園。しかも、種類が入り乱れてまとまりがない。ナニコレ? …だ。


「まあ、これらは何とかなるよ。とりあえず、信秀様に報告だね」

「親父か…。大丈夫かな?」

「大丈夫に決まっているだろ。僕に任せてくれ。秀吉、これらの果実を風呂敷にでも包んでおいてくれ」


 何と頼もしい言葉。このトロピカルな果物達を無駄にしなくて済みそうだ。


「ウッス。…もぐもぐ…」

「秀吉…。お前、最近食いっぱなしじゃねーの。大丈夫か?」

「大丈夫っす。ウメーっす」


 秀吉。バナナが似合う男だ。


「包み終わったら、信秀様の所に行くよって!?秀吉!!またバナナか!!バナナばっかり包んでどうすんの!?」

「ち、違うっす!!これ、俺の分っすよ!!」

「そんな、気に入ったのか…。バナナ?」

「最高っすね。ノブ様々っすよ…はいっ!!スイマセン!!すぐ、やるっす!!」


 バナナに夢中で、野生の感が鈍ったか。怒られる前に、仕事しろよ。

 こってりと絞られた秀吉は、早速、幾つか見繕う。

 秀吉の目利きはレベル高い。これも、味見させまくったお陰だ。

 まだ蒼い物には手を出さないし、熟れすぎているのは弾いている。プロだ。プロの仕分け人に成り上がった。


 ま。そんなこと、どうでも良いか。

 俺も親父に怒られる前に話つけないとな。それもミツ頼みだ。

 やっぱり、最近はミツに頼りっきりだな。少しは自分でやんねぇとな…。

 俺が説得に失敗したら、その時はミツに頼むとしよう。


「親父…。ちょっと話したいことがあんだけど…」

「信長か。また何を仕出かしたのか。なんだ…、光秀も一緒か…。これはロクなことじゃなさそうだな」

「うん。まあ、その通り何だけどさ。とりあえず、コイツを見てくれ────」


 持ってきた風呂敷袋を広げ、出てくる果物達。まるで果物の宝石箱やぁ~!!


「信長。これは…。まあ、良いが…。その変な顔は止めろ」

「いや、顔のことじゃなくてさ。これ、これを見てくれよ」

「見ろと言われてもな。なんなんだ、これは?」

「果物、果実。木の実? そう、トロピカルフルーツ!!」

「とろ?トロピカル?フルーツ??」

「百聞は一見に如かず、だろ。親父、食ってみてくれ!!」

「何だ!?これは食い物なのか!?」


 さっき言ったじゃん。果物だってよ。

 まあ、見た目これアレだから無理もない。大の大人が何も警戒なしに食べれないよな。


「秀吉、あれ…やってくれ?」

「ノブ様!?本気っすか!!信秀様の前ですよ!?」

「は? 何言ってんの?」

「いや、え?バナナ食いながら猿の真似する芸じゃないんすか?」


 空気読めよ、バカザルめ!?一体、今そんなことして、何が変わるんだよ!!

 ツッコミたいがツッコめない。親父の前で醜態は晒せない。ここで、ミスったら俺の果樹園が台無しになるのだ。耐えろ、俺!!


「そ、それじゃないぞ、秀吉…。皮むきだ。皮むき、秀吉得意だろ?」

「あ、そっちの方っスか。任せて下さい!!」


 何、胸をなで下ろしているんだよ!?俺の方がなで下ろすっつーの!!

 天然バカザルめ、後で覚えてろよ…。


「ふーむ。なるほどな。これがフルーツか。なかなかの香り…。味も…ウーム。美味!!瑞々しいな、これは!!」

「だろ? でも、これを作るために裏の雑木林を大分イジっちゃったんだ。…跡形もないくらい?」

「そうか…。そう言うことか」


 親父は…。あれ? 親父怒ってねえぞ?


「信長。最近のお前は、突飛というか掴みどころがないようだ。正直、手に余る」

「そ、そうかな。いままでと変わらないと思うけど」

「そう言うことではない。大人になってきたと言う意味だ。一つ、城の仕事をしてみろ。このトロピカルフルーツなるものをもっと作り、蔵を満たせ。今日から信長、お前は古渡城フルーツ侍の職につけることにする。良いな!!」

「は、はあ!? …んじゃ、そりゃあ!?」


 古渡城フルーツ侍という名誉職についた。甚だ不名誉。なにエッチKの教育番組だ!!



 そろそろ、尾張統一に動き始めます。天下統一はまだまだ先…。

 外伝で出てきた人達も、出番はまだまだ先です。

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