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後始末と褒賞

14)後始末と褒賞


 余裕ねーな。

 ふらつく感じがする。これはMP切れ間近?

 意外と体力奪われるな、この魔法は…。宇宙規模だし、これくらいは仕方ないよな。

 当然、これで生き残ってるヤツはいない。


「終わった…。よな?」

「うん。お疲れ様、ノブ。でも、火属性は使うなって言ったのに。もう忘れちゃったの?」

「冷静なツッコミすな…。ヘトヘトで言い返せねーよ」


 天と火属性の合成魔法。天属性が絡むとMP消費量が桁外れになるようだ。

 他の属性だと大丈夫なにのな。これは無敵の天属性の欠点だな。

 でも、まだ若干の余裕がある。これも修行の成果?


「おーいっ!!若様!!すげーッス!!マジ感動しましたよ!!ありえねーえって!!」


 秀吉、テンション高い。そしてウザイ!!


「…あっそ…。ミツの言うとおりだな」

「あっそって。若様、軽いっすよ!!せっかく、若様のこと見直してやったのに!!」

「流石にこのままだと…、マズいよな?」

「まあね。このままだと、本当に山火事になるだろうね」


 あ…。ミツ、俺をアテにしてるよな。この目は…。

 やったのは俺だから、仕方ないけどさ。


「ふぅ、しゃーない。せっかく、魔力残してたんだけどな…」

「だろうね。見た感じ、まだまだ余裕あるように見えるけどね」

「いや、気分的にもう真っ白。燃え尽きた。ホント余裕ねーって」

「若様、真っ白って頭ちょっと白くなってるだけじゃねーっすか。つーか、何で髪が白くなってるんすか?」


 ああ、このネタも通じないのね。それにMP切れのこと、説明してなかったっけか?

 秀吉と知り合って間もないし、フツーに忘れてた。ミツも忘れてたっぽい。


「俺は魔法使い過ぎると、こうなるんだ。秀吉も俺がこうなったら援護頼むな」

「あー。自分じゃ分かり難いッスもんね、それ。分かりやした」


 ホント、分かってるのか?

 何か、ホント軽いんだよな。どこまで信用して良いのやら、と…。そう言や、コイツ!!


「秀吉、お前っ!!何であんな罠に引っかかったんだよ!!作戦台無しじゃん!!」

「う…。済まねーっした!!」

「軽うぅっ!?お前、全然反省足りねーだろ!!」

「そう言ってやるなよ、ノブ。秀吉だって、テンパってたんだろうし、故郷がこんなになってショックもあったんだろ」

「そ、そうなんス!!」

「ホント、気をつけてくれよ。仕方ねーから、今回は許すけどさ」


 わざとじゃないから、まだ良いけど。あれ、タイミング良すぎてマジヤバかった。


「…と。それより、早く火を消さねーとな。雨でも降れば良いんだけど。もう天属性は使えねーし…」

「普通に水で良いよ。なんで一々、ことを大袈裟にするんだよ」


 だって、その方がカッコイいだろ。

 大体、この広範囲を水でチマチマするのは性分じゃねーしな。一気に手早くと考えれば、こっちの方がフツーじゃね?


「…あの…。若様って、一体幾つ属性持ってるんすか? 火と地、後…天属性すよね。水も持ってるんす?」

「月以外全部、系統も治癒以外全部。これ内緒な。誰にも言うなよ?」

「ウキッ?!」

「何、変な声出してんだよ。驚き過ぎだって」


 ミツの無属性もよっぽどだけど、今は言わない方が良いな。秀吉がますますサル化しちゃう。


「若様!!ホント、若様なんすか!?」

「何だよ、その失礼な言い方は!!」

「は…、ははぁーん。分かりやした!!あんたは若様の影武者っすね!!騙されませんよ、俺は!!」


 コイツ、何言ってんの? 俺に影武者いねえよ。

 だいたい、魔法の才能なんて頭の良し悪しで決まるもんじゃないからな。

 現に、秀吉が良い証拠だろ。


「俺の才能に嫉妬する気持ちはわかるが、現実を見ろよ」

「…。うつけですね────」

「そう言うことじゃないからな!!もう、疲れてんだから、ボケるなよ。ツッコミも疲れるんだ」

「しょうがないっしょ!!若様がいけないんしょ!!」

「何だよ!?逆ギレ?いい加減にしろよ!!」

「ノブも秀吉も、その辺で止めておこっか?」


 コェーッて!!ミツが一番怖いって!!

 分かってるよ。分かってる。忘れちゃいませんよ。


「秀吉。ミツは怒らせると怖いから気をつけろ…」

「だな。若様…」

「じゃ、行くぞ。龍神瀑布!!」


 パクりだ。フツーにパクりました。

 と、こんなモンだろう。巨大な滝の出来上がり。これ以上は、ヤバい。

 地形まで変えた。やり過ぎた。ミツが睨んでるよ。コエーよ。


「ノブ…。限度って言葉を知ってるか? 秀吉があまりのショックに固まってしまったじゃないか」

「いやいや、俺もそこまでバカじゃないよ。それくらい知ってるって」

「じゃあ、言わせてもらうよ。…ふぅ。────

バカノブ!!少しは限度を考えてよ!!里どころか山の形まで変えちゃってどうすんのさ!!誰も居なかったから良かったものの、他に人が居たらどうする気だったんだよ!!」

「そ、そんな怒んなよ。たまにはこんな失敗もあるって!な?」

「た、ま、に、はぁーっ? たまにはじゃないよね!! ノブはいっつもやり過ぎなんだよ!!」


 ヤバい。これはマジギレだ。俺の余計な一言が、ミツを怒らせてしまった。

 だけど、俺の魔法に手加減は難しい。


「若様…、あんた一体何やってんすか…」

「おお、秀吉。ショックから立ち直ったか。なら、頼む。ミツの怒りを静めてくれよ」

「下手に手出す気はねーすよ」


 うおっ!?まさかの秀吉の裏切り!!


「ノブ!!ちゃんと話を聞いているのか!!」

「おう、聞いてる聞いてる。ホント、反省してるから」

「まあ、もう良い。後は、信秀様にお願いしておくよ」

「な、裏切ったな!!ブルータスお前もか!?」

「ブルータスって何すか、若様? それより、早く帰りましょうよ。若様もお疲れっしょ」


 やっぱ、世界史ネタは使えねーか。こればかりはしょうがない。諦めよう。

 でもまあ、秀吉の言うとおりだな。確かに疲れた。

 さっさと帰りてぇな…。そう言や、瞬間移動的な魔法ってないよな。


「なあ、ミツ。魔法で瞬間移動って出来ないのか?」

「無理だよ。古今東西そんな魔法があるって話は聞かないし…。何より瞬間移動なんて、どの属性どの系統にも当てはまらないだろ?」

「うぅ。何とか瞬間移動の魔法作れねえかな…」


 あれば便利。だけど、その発想が思い浮かばない。

 それこそ、新しい属性。ミツの無属性なら出来そうな気もするけど、ミツ自身試してないわけがない。

 無属性も含めて、ミツは言っているってことか。


「ま、今は普通に帰ろうよ。それとも、また大惨事を引き起こしたいのかな?」

「さーせんしたっ!!ゆっくり帰りましょ!!」

「はあ。ようやく帰れんすか。まったく散々な日でしたよ。光秀さんも、よくこの若様に付き合えるもんすね?」

「失礼なヤツだな、秀吉。それじゃ、俺が問題児みたいじゃねーかよ」

「実際、その通りだろ。でも、そんな感情じぶんに素直なノブだから、友達なれたんだよ」


 何だろ。それって、褒め言葉じゃないよな。


「うわ。不思議だ。そう言われると納得できる自分が恐ろしい!!」

「恐ろしいとか言うな!? あれ…と、と」


 ヤバい。そろそろホント体力切れ。MP切れだ。立ってんのもしんどい。


「ノブ、肩を貸すよ」

「おう。頼むわ…」

「しゃーないっすね。俺の肩も良いっすよ」


 二人に担がれ、馬まで運ばれる。

 最後の最後でカッコつかない姿だ。どうせ、誰も見てないから別に良い。何なら、裸になっても良い。


「ノブ…。それは勘弁してくれよ」


 心の声が聞こえてしまったみたいだ。流石、親友。以心伝心だな。

 まあ、それはともあれ。ミツと秀吉のお陰で何とか城に無事戻ることが出来た。

 城では、親父が援軍を率いて出撃準備していたが、それは全くの無駄だったわけだ。

 それは、つまりアレか?

 俺がやられる前提だったということか。信用ねーんだな、俺。


 適当に親父に挨拶を済ませ、今日は部屋でゴロゴロ。市の姿は見えなかったけど、一体どうしたんだろうな。

 まあ、今日は疲れたし…。このまま、寝る…。




 翌朝。


「てっ、なんで!?ええっ!?」

「う、うん…」


 市だ。市が居る!!

 いや、毎朝起こしに来てくれるから居るのは不思議じゃない。何で隣に寝てるのかって事だよ!?

 朝から可愛い寝顔。これは良いものだ。って、違うって!!

 起こしに来て、市も寝ちゃったのか?


 ────ゴクリ。


「いやいや、違うって。やましい気持ちはないぞ。やらしい事は何もないぞ!!」

「う…、うん…。はあ…。あ、おはようございます。お兄様」

「え…。あ、ああ。おはよう」

「良かった。お兄様、お加減宜しいようですね。帰ってから、ずっと真っ白だったので心配していたのですよ」

「へ? 何のことだ?」

「ですから…。お兄様の髪が、白くなっていたんですよ。具合でも悪くしたのかと…」


 それは、MP切れの為で…。ああ、市に何て説明すれば良いんだろ。

 あんま、カッコワリーところを見せたくないんだよな。


「心配かけたみたいで悪かったな。あれは…。そう、アレは俺の真の姿!!魔王形態だ!!」


 はい。ヤっちゃいました!!

 お兄ちゃん、見栄を張っちゃいました!!


「そ、そうだったのですか!!流石は、お兄様です!!溢れる力で皆を傷つけないように、帰ってすぐ、お部屋に戻られたのですね!!」

「あ、ああ。その通りだ」


 何か、すげー勘違いしてくれたな。ツッコミどころが多過ぎて流しちゃったけど、その勘違いに乗って行こう。

 これが空気を読むと言うことだ!!


「お兄様、申し訳御座いません。お許し下さい」


 あれ? 何で、今度は謝ってるんだ?


「うん。市は悪くない。許すから頭を上げてくれ。市が誤ることは何もないんだ」


 マジで誤る必要ない。理由もないのに何で、こんなに謝ってんだよ。

 逆に俺が謝りたい気分になる。

 これじゃあ、俺は妹をはべらせた挙げ句、意味もなく土下座させる…。サイテーサイアク鬼畜野郎みたいじゃないか。


「ですが、お兄様の皆を傷つけまいとするお気持ちも分からず、自分本意の差し出がましい真似をしていました。しかも…、あまつさえ、お兄様の布団に潜り込んだ上に寝てしまうなんて」

「俺達、兄妹だろ? 確かに、兄妹だろうと礼儀は必要だ。けど、俺達には遠慮は要らないぞ。俺もきっと市を困らせる真似しているだろうからな」


 むしろ、今まさに困らせてしまっているからな。俺は…。

 せめて、昨日は市に一声かけてから休んだ方が良かったな。

 いや、でも…。

 それだと、市の添い寝がなかっただろうから、逆に良かったのか? いやいや、俺ももう良い歳だろ。いつまでも兄妹で寝てどうすんだよ。

 結局、それで市を無駄に困らせてんだし…。


「ありがとうございます。お兄様にそう言って貰えて、市は果報ものにございます!!」

「大袈裟だな。ま、今回は俺にも落ち度があるし。ホント、市は悪くないからな?」

「はい!!」


 これで良し。こんなことで市との仲が悪くなるとか嫌だしな。これからも、ずっと仲良くしていたい。


「…それで、お兄様。昨日は本当にお怪我はありませんでしたか?」

「ん?怪我?怪我は…して、ないな…」


 くっ!?そうだ。怪我すれば良かった。そうしたら、市に手当てしてもらえたのに!!

 こうなったら、お医者さんゴッコだ。て、アホー!!そんな事したら、うつけ者を通り越して、ただの変態だぞ!!


「そ、そうですか。それは良かったです。流石はお兄様。見事な初陣を飾りましたね。私も鼻が高いです」


 言葉と裏腹。態度は寂しそうな…。


「そんなことないって!!今回は、相手が弱かったんだよ。次は怪我するかもだろ?」

「はい。怪我がないのが一番ですが、万が一ということもありますね。お兄様のお怪我は私にお任せ下さい。例え、どんな怪我でも癒やして差し上げます!!」

「おう。心強いな!!市が居るなら俺は無敵だな」


 使えないのは治癒系統だけ。でも、使えなくて良かった。

 市がこうして俺のとこに来てくれるのは俺が治癒系統を使えないから。これなら、あと10年は戦えるぞ!!


「と…。市ともう少し、こうしてたいけど。そろそろ親父の所に行かないとマズいか」

「いえ、その必要はないと。父上が…。初陣でお兄様もお疲れだろうからと言っておりました」

「なんだ。そっかそっか。じゃあ、今日はのんびりできるな」


 親父に報告しないとダメだと思ったけど、別に必要ないのか。もしかしたら、ミツが既に報告してくれたのかもしれないな。


「なら、今日は寝てよ」

「そうですね。でしたら、私もご一緒に」

「そうだな。それが良い。これで茶と菓子でもあればサイコーだな」


 残念ながら甘い物というのはない。違うか。ええと、あるにはあるが高価な物らしく入手困難なのだ。


「そう言うだろうと思って準備してます。すぐにお持ちしますね?」

「え!?あんの!!…て、一体いつの間に」

「父上の秘蔵の品です。大丈夫、ちゃんと許可は得てますから」


 うおっ!?マジか!!

 何というご褒美。やっぱり糖分は重要だよな。


「あの親父が…。信じらんねーな」

「お父様も、あれはあれでお兄様のことを考えているんですよ」

「まあ、悩みのタネであることには違いないけどな。それより、早く早く!!」

「はい。それでは少々お待ち下さいね、お兄様」


 さあ、何が来るのか楽しみだ。ケーキ、クッキー、シュークリーム!!

 ま、そんなのないの分かってるけど。


「お待たせしました」

「お、来たな。来た来た!!」

「お楽しみの所、悪いけど邪魔するよ。ノブに渡したい物があったんだ」

「お!?これ、金平糖じゃねーすか!!」


 何か、余計なものまでついてきたな。もし、こんな食玩だったら要らねーよっ。

 ミツは何か用事あったみたいだから良いけど。秀吉は完全におまけだよな。


「で?」

「急に不機嫌だね。邪魔したからって、そんな怒ることないだろうに」

「怒ってねーよ。不機嫌でもねーし」


 ホント、ちっともだ。今日は市と一緒にぬくぬくなのだ。怒る理由がない。


「若様、食わねーんすか?じゃ、俺が。あーん…。うっめぇーーっ!!!」

「ウメーじゃねーよ!!一口で全部食うヤツがあるか!!クソザル!!」

「え? だって、若様要らねーみたいだったし────」

「豊臣殿…。ちょっとこちらへ」


 なんだか、辺りが急に暗くなったような。若干、空気が寒い?


「どうしたんですか。市姫様? ────え、こっちって、牢屋以外何もないじゃないっすか。て、え??え??ギャアアァァァ!!!」


 これは城内の禁忌に触れた者の末路。語る者も居なければ、その事実を知る者は誰も居ない…。


「市のヤツ。秀吉を連れてどこに行ったんだろうな。まさか、アイツらデキてるとか!?」

「ノブ。その心配はないよ。ノブは知らなくて良いことだよ」


 え?ミツのヤツ。なんで悲痛な面もちなの?

 まさか、ミツも市を狙ってるのか!?


「さ、それより。僕の用件だよ」

「ああ。何だっけ? 渡したい物があるとかって?」


 ミツからの差し入れか?

 金平糖は秀吉に全部食べられちゃったから丁度良いタイミング。…になるのか?


「うん。まあ、そこに座ってよ」

「お、おう」


 ミツ。真剣な表情だな。

 まさか、市を嫁にくれとか!?


「何で、固くなってるんだよ。いつも通りでいいよ」

「ミツ。先に言っておくぞ。市はやらねーぞ!!」

「一体何の話だよ。渡したい物があるって言ったよね?」


 冷静なツッコミだ。

 でも確かにその通り。「やる」と言ったのであって「くれ」とは言ってなかった。勝手に勘違いしてしまっただけだ。

 ミツを見習って冷静にだな。冷静に。


「悪い。話を進めてくれ」

「うん。まあ、大した話じゃないけど。とりあえず、先にこれを渡しておくね」


 ん、何だろう。木箱か。いや、そんなの見れば分かるってな。

 中身の問題だ。箱の長さは1メートルちょっと。太さはそんなに太くない。

 さあ、推理の時間だ。…これには一体何が入っているのだ?


 …よし。分かったぞ。


「これは掛け軸だな。なんでも鑑定する集団で見たことあるぞ」

「ノブ…。バカなこと言ってないで、さっさと箱を開けてよ。話が進まないんだよ」

「はい。スイマセン!!」


 確かに話が進まねーな。どうして俺はこう無駄に喋り過ぎるのか。かく語ってるよなー。


「ノブ」

「はい。スイマセン!!」


 ホント、以心伝心。

 ミツの雷が落ちる前に早く箱を開けないとな。


「ミツ…、これって?」

「実はね。平出殿から託されていたものなんだよ。ノブが一人前になったら渡して欲しいと頼まれていたんだ」

「なあ、ミツ…。そう言うことじゃなくってさ。これって…魔剣なんじゃねーの?」


 漂う気配がマジヤバい。鬼ゴリラとやり合った時にも感じたピリピリする感じ。

 これって、魔法の気配なのか?

 それが、目の前にある刀から感じられるのだ。


「良く分かったね。この太刀は、信秀様由来の刀だよ。ノブが壊したあの道場と同じ。四象天院の刀、銘は天魔…だそうだよ」

「なあ、ミツ? 一人前じゃなくて、一流の間違いじゃないのか。どう見ても、今の俺に使いこなせるとは思えないんだけど」


 いや、もう漂う気配が俺を拒絶しているよ。

 まるで俺に触れるなって言ってるような感じだ。


「ノブはさっきから何を言っているの。確かに、この刀は一級品だけど刀は刀だよ。せっかく貰えるんだから、もうちょっと喜んで欲しいな」

「あ…、え…。もしかして、ミツは何も感じないのか?」

「いや、だから何をだよ。刀を見てから様子が変だよ?」

「そうか。ミツは感じないのか。て、ことは他の奴らも同じなのか? 肌が、こうピリピリとする感覚って言っても分ねーのか…」

「ノブ…。ノブは魔法適性が高い。その素質も他に比べれば段違いだから何かあるのかな。霊感あるとか?」

「怖いこと言うなよ。戦国時代に霊感あったら、そこらへん幽霊だらけだ。夜も歩けねーよ」


 霊感云々はともかく。魔法の気配?みたいなものを感じられるのは俺だけのようだ。

 要らねー能力だな。戦闘力とか測れるくらい便利なら良いけど、ヤバそうくらいしか分かんねーもん。

 ただ、この刀はヤバい。それは間違いないな。


「でもさ。せっかくなんだし、ちょっと使ってみたらどうかな? この刀は、結構な業物なんだし」

「まあ、そうだな。素振りくらいなら問題ないと思う…。けど、ちょっと怖いな。ミツ、少し離れていてくれよ」

「うん。分かった。ついでに無属性防御を張っておくよ」


 流石にそれはやり過ぎな気もするけど、万が一ということもある。ついでに結界も張って防御強化しておく。


「じゃあ、ちょっとだけな…。うおっ!?勝手に魔法が!!」


 刀を抜いた途端、魔法が発動した。

 天魔。名前通り、天属性だ。だが、不安定。ぐにゃぐにゃと刀身が揺れる。

 しかも、魔力の放出が止まんねーし!?


「これ、マズいって!!」

「ノブ!!刀から手を放すんだ!!」

「お、おう!!」


 と、手を放した途端に刀から閃光が放出される。ぐにゃぐにゃの刀身だったせいか、閃光もぐにゃぐにゃと捻れてヨレヨレだ。

 放たれた閃光の一つが城の壁にぶつかった。ぶつかった壁は跡形もなく消え去る。

 破壊じゃなくて消滅。綺麗サッパリと見通しが良くなった。


「じゃねーよ!!何つーヤバいモンを俺に託すんだよ!!」

「はは…。ノブ、今回は僕も一緒に怒られるよ…」

「それはありがたいな。けど、城に当たらなくてホント良かった。消滅って…」


 魔剣天魔…。名前通りに魔法との相性が良いけど、まったく使いこなせない。使いこなせなる気もしない。

 もっと修行しないとダメっぽい。せっかく貰ったけど暫くは、封印だな。

 褒美はお預け、刀は別な物を見繕うとしよう。




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