サル山・後編
12)サル山・後編
話を聞いたら、サルの住んでいた里はかなり遠いようだ。
用意の良いことでミツの用意した馬に乗り、いざサル山へ!!
あれ…、これ前も言ったか?
「そう言や、ミツ?」
「うん。何だい、ノブ」
「親父のこととか援軍のこととか、アレどうなったんだ」
ミツが遅れた理由を聞き忘れていた。多少、遅れたからって怒っているワケでもないが、気になる話ではある。
親父は…。怒っているかな。何てったって、単独出撃だしな。独断専行もいいところだ。
「信秀様は特に何とも───」
意外だ。親父が何も言わないって。
「ノブに任せるってさ。ただ、負けるなと。負けた場合のみ援軍を送るってさ。信秀様、自らね?」
「何時もながら、厳しいこって。あのクソ親父」
俺が勝手にやってんだから責任は自分で持ってことだろうな。
まあ、親に泣きついて助けを求める。なんて恥ずかしい真似はしたくないし。そうしてくれるなら、願ったり叶ったりだ。
「信秀様はノブの初陣を邪魔したくないんだよ」
「それはありがたいけどな。親の前じゃないと、何も出来ない。なんて言われたくねーし」
「実際、そう言われてたの若様は知ってたか?」
「初耳だ!?マジで!!」
ミツが顔を背けた…。
マジってことか。道理で俺への評価が低いわけだ。
なら、今回の初陣で株を上げてやるか。
「光秀さん…。ホント、この人に着いて行って大丈夫なんすかね?」
「秀吉は、ノブのこと信頼できないのか?」
「んなわけないっしょ。信頼してますって。ただ、相手が相手だけに心配なんすよ。親の七光り、臑齧りって言われてるんすから」
「言いたい奴には言わせておけば良いよ」
「つーか、バカにされ方がヒドくなってね。俺ってそんなに人望ないのかよ!?」
うつけ者だ、バカだとは聞き慣れたが、それは聞いてないぞ。一体誰が言ってんだ、そんなこと。
こうなったら、後で犯人探してやる!!
「本当に気にする必要ないよ、ノブ。ノブの実力を知っているのは城の中でも一部だし、町の人達はノブのこと慕っているよ」
「ああ。確かにそうだったな。町中じゃ、若様のことをバカにする奴はいたが、罵ったり貶したりはしてなかったな」
「バカにされている時点でアウト、…駄目だろ。町中でまでバカにされてる事実に俺、ショックだよ…」
全然、フォローになってない。ヤバいな。その内、世界規模のバカとか言われそうだ。
そんなことになったら、まさに自殺ものだ。ホント、そうならないよう気をつけよ。
こう見えて、マジで今の人生、結構気に入っているんだ。
「ま、事実は受け入れるしかねーよな」
「ついでに、自分の行いを省みることも忘れないようにね。じゃなきゃ、本物の馬鹿だよ」
「それが出来ねーから、こんなんなってんじゃん。でも、今からでも変えられるか」
「そうだな。ノブなら出来るよ。僕も協力するしね」
「じゃ、俺も二人に着いて行くとすっかな。二人だけだと心配だかんな!!」
相変わらず、秀吉は素直じゃねーな。
そろそろ、目的地の山里か。秀吉の故郷。今は山賊達のねぐらになっているらしいが…。ここまで何もない。
里に近づくにつれ無言になる。
「そろそろ、到着するぞ。お二人さん」
「分かった。出来るだけ物音を立てずに近づこう」
「ああ。そうだな」
里の入口を見張りが二人。新しく建てられたのか、粗雑な家が数軒立っている。
どのくらいの人数が居るのか、ちょっと分からないな。
巣穴から誘き出すか、いや巣穴ごと焼き払うって手もある。
「ミツ。ここは、ヤッパリあれか?」
「うん、そうだね。奇襲作戦で行こう」
「若様、光秀さんも一体いつの間にそんな作戦立てたんだよ。俺は聞いちゃいないぞ」
秀吉とはまだ以心伝心とはいかないか。
「お前は、いいから後ろに下がっていろ。俺とミツで十分だ」
「ホントに大丈夫なのか? …やっぱり、俺も」
「お前の手札を俺は知らねんだよ。連携がとれるミツと二人の方が上手くいく。だから、秀吉は下がれって」
少し考えた後、秀吉は大人しく森の中へ消えていった。
大きな置き土産を残してな。
「若様、光秀さん!!済まねえっ!!鳴子だ!!」
「バカザル!!そんなんに引っかかってんじゃねーよ!!」
尚も、ガラガラ音を立てる鳴子に、わんさか山賊達が出て来る。
もう、奇襲も何もない。正面からのガチンコだ。
鳴子の音を聞きつけ、穴蔵から出てくる山賊達。四、五十人はいるか。
ボロの鎧に、手入れのされてない武器を持って駆けつけてくる。貧弱な装備。どうやら、目的の人物は居ないようだ。
と。既に、視認できる距離に迫られたか。
「この距離で魔法を使って来ないってことは…。アイツら、魔法が使えないのか?」
「油断するなよ、ノブ。遠距離タイプの魔法が使えないだけかもしれないだろ」
「なるほどな。なら、こっちから先制攻撃と行こうか」
秀吉の失態で奇襲は失敗したが、こっちは支援魔法で準備万端。この距離でも攻撃可能だ。
「分かってると思うけど。火属性、火曜の魔法は使わないようにね」
森が燃えたら大変だもんな。言われないと気づかないとは、俺ってマジ抜けてんな。
言われなかったら、俺も火の海か。ミツが居なければヤバかった。
「じゃあ、水で!!水曜強化!!海神槍!!」
水で作った槍を投擲する。
狙い通りに、真ん中の男を突き刺さった。それだけで終わらないのが、ポセイドン!!
周囲を巻き込んで津波が起きる。飛び散る水飛沫は、最初にやられた男の周りに居た奴らを貫く。
血の海とは、このことか?
後方にいて助かった奴らはポカンと口を開けている状況だ。
何が起きたのか理解してないか。それとも、恐怖に脅えているのか。
俺の放った魔法ポセイドンは、簡単に言ってしまえば、着弾爆発型のウォーターガンだ。
あっという間にゴミを洗い流す。多数の敵にうってつけの魔法だ。
やはり、俺!!
「浮かれるのも良いけど、ほどほどにね?」
「実際、そんな浮かれてもないんだけどな」
言葉通りだ。
マジで、心が痛む。
実際に命のやり取りをしたのだから当然か。
簡単に死ぬ人の命の軽さ、のしかかる命の重み…。だが、これはミツも秀吉も通った道。俺が遅れるワケにはいかねーよな。
「く…、クソガキが!!」
「俺の魔法が防がれてた!?」
とりあえず、考えるのは後だ。海神槍を喰らって、まだ生き残っている奴らがいる。
更に山賊達が駆けつけ、後方からも援護が入る。
気を抜いたら、逆に俺が殺されるな。山賊達は、命なんて何とも思ってないのだ。
当然だが、非情な奴らだ。
「実戦なんだから、当然だよ。稽古じゃないんだから、相手の手の内だってわかってないだろ?」
「ミツ、冷静過ぎだって。そっちにビックリだ」
「でも、初陣にはちょうど良い相手かな。僕は出来る限り手助けしないから、ノブ一人で頑張ってみて?」
「ちょい、マジで!? ホント、稽古じゃないんだから、それこそ勘弁してくれよ!!」
そこで、しょうがないね。とか言わないのがミツだ。ミツは親友であり師匠だ。
ここは逆らえない。やるしかないな。
「調子乗ってんじゃねぇよ、クソ素人が!!行くぞ、テメェーら!!」
「水属性の効きが悪かったか。なら、奴らは風属性か?」
「何をブツブツ言ってやがる、クソ素人!!」
風に弱いのって何だっけ?
ヤベェな。忘れた…。
「ノブ。地属性だよ」
「おお、そうだった。大地の撃鉄!!大地破砕杭!!」
生き残った男達の足下を陥没させ、逃げ場を奪う。ここからがパイルバンカーの本領発揮だ。
陥没した地面を、今度は天に向かって突き上げる。
鋭く尖った大地の杭が、穴に落ちた山賊達を刺し殺した。
やっておいてなんだが…。ヒドい。
百舌の速贄?
何気に、俺が一番非情だったりしてな…。
「…ひぇ!?な、な、な、なんだ!!何なんだ、お前は!!」
「悪い。こんなことになるなんて思ってなかったんだ…」
「あ、謝って済む問題か!!」
「…そうだな。…謝って済むことじゃねーよな。じゃあさ、謝る相手が居なくなれば済むよな?」
何だか自分でも、おかしなこと言っているよな。
分かってる。血が騒ぐんだ。仕方ないよな。
何のかんの言っても、俺もこの世界に染まっているってことだ。
「お、鬼か…。貴様!!」
「それは、お前たちのことだろ。罪もない村人たちを殺しておいてバカなこと言っているんじゃねーって」
「お前たち、固まるな!?まとめてやられるぞ!!広がれ!!アイツを囲め!!」
うーん。どういうことだ?
危機的状況なのに、全然怖くない。刀はナマクラ、鎧はボロだから?
ゲーム終盤で序盤のモンスターと戦っている…、みたいな気分だ。
「これじゃ、俺が弱いものイジメしてるみたいだな。おい、雑魚はもう要らねーから、早くボスのご登場を願いたいんだけど」
「ふざけるな!!この状況で!!」
「ホント、仕方ねーな。お前ら、囲めば何とかなるとか思った? 残念だけど…。大地結界、泥沼水牢!!」
自分の周りを泥沼に変える。フツーの結界魔法だ。
男達は沼に沈んで行く。あっという間に腰まで浸かる。
こうなると抜け出すのも困難だろ。
「もう一回、行くぞ!!大地激震!!」
今度は結界内を地震が襲う。
動くことも出来ない山賊達を掻き回して、シェイク。シェイク。
完全に沈黙。て言うか、沈没?
誰も居なくなったことを確認してから地震を止める。後は結界を解いて地面を元に戻して一丁上がりだ。
「まあ、こんなもんか…。いや、ちょっとやり過ぎたかな?」
「あっという間に戦場に変えちゃったね。でも戦場の方がもっと悲惨かも」
流石、オシショー様。言うことが違うな。
「そんなもんなのか? 俺としては結構派手にやったと思うけど、と、ウオッ!?」
突き出したままだったパイルバンカーが崩れた!?
根元の方がポッキリと。戻しておくの、忘れてた。
「て、やばっ!?」
ゆっくり身構えている場合じゃねぇよ!?こっちの方に倒れ落ちてくるじゃん!!
自分の魔法で死ぬなんて、情けない死に方できるか!!
「ノブ、任せて!!無明月蝕!!」
ミツが割って入る。無明月蝕の一撃が崩れ落ちる岩の軌道を逸らした。
弱くて使えないと言っていたが、ミツの無属性魔法も成長しているのだ。
俺との修行の成果。支援強化してない俺の魔法なら、今のように受け流すことができるようになった。
崩れた岩の軌道を逸らすくらいはラクショーだ。
「助かったぜ。ミツ」
「だから、油断するなよって言ったのに」
「やりおるな、若武者よ!!」
鬼のような鎧を身に纏う武者が声をかけてきた。筋骨隆々、胴長短足の鎧武者だ。
俺の魔法をぶっ倒したヤツだ。
さっきまでの奴やとは気迫が違う。何故だか、肌がピリピリする。
「お前が…、ここの山賊達の親玉か?」
「そうだ。死んで惜しい奴らでもなし。そこらをたむろっていた落ち武者よ。貴様の方が余程腕が立ちそうだ。どうだ、俺と一緒に来ないか?」
「遠慮させてもらう。僕には、歴とした主が居るからな」
そうそう、オレオレ。
親友と書いてあるじと読むのだ。
「ほう。その歳で…。貴様、名は何と言う?」
「明智…。明智光秀だ」
「なるほど。貴様が噂に聞く、織田の隠し玉…。無明の明智光秀か!!しかし、正面から来るとは愚かだな!!」
「おいっ!!俺を無視して勝手に話を進めんな!!」
大体、なんだよ。無明の明智とかって。俺の知らない間に、何時そんな二つ名つけられたの?
羨ましい…。いや、そんなことより!!
「お前!!俺が織田の最終兵器、信長だ!!仲間に誘うなら、まず俺が先だろ!! ま、誘われたって仲間になんねーけどよ!!」
「く…。くっはっはっはっ!!なるほど、お前がうつけ坊主の信長か!!そんな貧相な格好してるから分からなかったわ!!足軽かと思ったぞ!!」
コイツもか!? この世界のヤツには、この格好良さが分からねーらしいな。時代が俺に追いついてないんだな。なら、仕方ないか。
「はっ!!ほざいてろ。これを喰らっても、まだそんなこと言えたらだけどな!!貫き焼き尽くせ!!爆裂尖槍!!」
一応、相手の弱点を予想した一撃だ。
恐らく、攻撃系統。そして、木属性だと…。完全に見た目での判断だ。
ちょびっと危険だが、攻撃対象を指定している。森に燃え広がる心配はない。さらに、風の流動を合成して誘導するオマケ付きだ。
「ふん。小癪な真似を!!この程度で!!ふんぬっ!!」
「冗談だろ!?なんだ、それ!?」
完璧直撃したと思ったのに。何で無傷?
て言うか、避けようともしなかった。真っ向から受けて平然とすんなよ。
自信なくしそうじゃん…。
「織田のうつけ坊主、この程度で臆したか!!」
「不味い!? ノブ、ソイツは武将クラスだ!!」
「な、なんだよ。その武将クラスってのは!?」
「魔法属性を3つ以上を持っている侍の事だ。四象天院…、合成魔法を使えるぞ、そいつ」
「え、マジで!?」
あ…。でも、前にもそんな話を聞いたな。合成魔法云々の時に…だったけ。
四象天院の秘術だって、初めからあったものだし、俺が創った魔法じゃない。
俺の他にも使える奴がいても不思議ない。
「でも…、どういう事だ? こんな奴がいるなんて聞いたことはないけど。ノブ、気をつけてくれ単一属性は効果薄くなるから!!」
「わかんねえけど、分かった。何とかやってやるぜ!!」
とりあえず、奴の属性を見極めろってことだろ、多分。
属性は木と水…。これは間違いなさそうだ。系統は、攻撃と防御。…じゃないな。
それだと、バーストランサーが防がれた理由がわかんねーし。防御したんなら、焦げ後くらいは残ってるはずだ。
と言うことは…。防御じゃなく、流動系統か?
だと、納得いく。流動系統は指定対象の物を動かす魔法だからな。
「水の流れを作って受け流したのか?」
「そう、これが我が魔法!!水流しだ!!この守りは容易く破れはせぬぞ!!」
「確かに厄介だな。と言っても、ガチンコでなら無意味だろ!!じゃなきゃ、鎧を着ている意味分かんねーもんな!!」
ここは刀の出番。近接戦だ。こういう取っ組み合いの攻撃に弱いのが流動系統の弱点だと聞いている。
実際、ミツとの稽古でヤられたからな。
本当なら、親から学ぶことだったんだが、その記憶はない。魔法も刀も、全部ミツから教えて貰ったことだ。
ホント、戦国の俺は昔の俺とそっくりで困るな。ちゃんと勉強しろよ。
て、自分に言ってもしょうがないか。
それに最近は、ちゃんと刀の稽古もしているのだ。支援魔法での強化もバッチリ。あの秀吉とも互角に戦える。
振りかぶってきた刀を押し返すのも雑作もない。
勢い余って体勢を崩す、鬼武者。
体格差のある相手でも力負けしないとか。支援魔法は便利だな。
「おせーぞ!!秘剣、兜割り!!」
「ぐぬ!?」
「刀にはやっぱり弱かったな…。って!!カッテーな、おい!!」
文字通りに兜は割ったが、刀も折れた。手応えはあったけど、大したダメージはなさそうだ。
ただ、鎧武者の素顔が露わになる。
「貴様、何をニヤニヤと!!調子に乗るなよ、うつけ坊主が!!」
「いや、だってよ…。ブフッ!!」
「我が家宝の兜を割っておいて!!」
「それは悪かったな。確かに兜を被ってた方が格好良かったわ。素顔、ちょーウケる!!」
ゴリラ発見!!ゴリラ発見!!
ヤベーよ、コイツ!!顔までゴリラ!!
「やはり、貴様!!死んで詫びろ!!奥義、濁流波乱!!」
「や、ヤベーよ!!やられる!?」
四象天院の秘術だ。水と木属性の合成魔法。激しい水流に木が飲まれ流木となって襲う。
喰らえば、ひと溜まりもない。
「て、なんちゃって?」
「はあ!?」
「意外と簡単だな。水流し、だっけ? 思ってたより、簡単に使えたな」
まあ、一度見ちゃえば大概はマネできるって言うか。それ以上の魔法に変わる。
使える属性も系統も俺の方が多いのだ。当然、ゴリラよりは効果が高いものになる。
「偶然だ!!今のはたまたま上手くいったに過ぎん!!我が魔法が、こんな坊主にはじかれるなど!!そんな事、あってたまるか!!」
「何だよ。コレがお前の奥義なのか? もっと見せてくれよ。こんなんじゃ、つまんねーよ」
「ほざくな、うつけ坊主!!所詮、貴様のは猿真似!!二度目はないぞ!!これが我が真の奥義!!龍神瀑布!!」
これは、広範囲型か?
水の特化魔法とか、そう言うものかな?
なるほどなるほど、魔法は奥が深いな。一つの属性を極めるか…、俺もまだまだだ。
「所詮、ゴリラだな。良いもの見せて貰ったし、お返しだ。四象氷結絶対零度!!」
ま、この程度はお約束。風と水の合成だ。
俺を襲う水を氷漬けにする。
しかし、真の奥義だ!!とか言っておいて、合成なしの水魔法とか、ナメてんのか?
合成強化している俺に通じるはずないのに…。
「偶然だ!?こんなハズない!!織田のうつけ坊主に奥義が破られるはずは!!貴様、本当は何者だ!!」
「だから、織田信長だって…。何度も名乗らせるなよ、マジ怒るぞ?」
最近はそうでもないが。でも、やっぱりあんま好きじゃないんだよな。この名前…。
「うつけ坊主に、我が奥義をこうも続けて…」
「これでネタ切れか。なら、もうお前から学ぶことは無いな。これならミツと稽古してた方が修行になるぞ?」
「なにを勝った気でいる!! …はあ!?」
再びの「はあ!?」だ。
俺という存在に出会ってしまったことが、「はあ!?」的状況だと理解して欲しいが…。
今更遅いか。
すでに魔法は放たれた。後は結果を残すだけだ。
「なんじゃ、これは!? デ、デタラメだ…。空から大地が落ちてくるだと!?」
「悪いな。隕石落下だ。もう、止められないぞ?」
「こ、こんなことをすれば、貴様とて!!」
こんな時に、人の心配? そんな余裕あるようには見えないけどな。
「大丈夫さ。ちゃんと軌道も角度もお前に合わせてある。お前、逃げ足に自信ある? 支援系統は使えるか? まあ、何にしても逃げられないんだけどな」
防御不可の大魔法。勿論、誘導可能で回避も不可。逃げらんないし。当然、逃がす気はない。
「うつけ坊主…。貴様、鬼か。いや、この所業は魔王だ!!」
「何とでも言えば良いさ。さあ、行け!!隕石落下!!」
言い終えると共に大地を抉り、流星が落ちる。その衝撃に大地が揺れた。大地激震よりも激しい振動だ。
が、しぶといヤツだ。隕石だぞ、隕石。それを耐えるなっての…。
ホント、人間じゃねーな。ゴリラだ。鬼ゴリラ。
「く、おっ!? う…うつけ如きに、まさか我が見誤ったのか!!有り得ん!!有り得んわっ!!」
「押し潰されて、燃え尽きろ。メテオ…、インパクト!!」
「ばが…─────」
最後はグーで隕石を叩いてのだめ押し。これも鉄拳制裁っていえるのか?
かろうじて耐えていた鬼ゴリラも、今の一撃がとどめになった。
隕石落下に呑み込まれて蒸発して消えた。
残った敵もどうやら居ない。居たとしても逃げたか?
俺もミツも怪我はなし。これで一件落着だな。
豊臣秀吉の登場。残念ながら、活躍の機会はありません。完全に脇役です。




