愚兄と愚弟
「あー、面倒くせぇ」
ウロボロス族の集落ーー最近、何者かが手の込んだ改装をしたらしく無駄に広い。
アートルムは、八つ当たりぎみに監視カメラを燃やして行く。
モニタールームに、警告音が鳴り響く。
「アルブム、あれは貴方の縁者では?」
セトに聞かれ
「面白え、軽く捻ってやる。セト、竜装しろ」
「はぁ……」
血の気の多い相棒に、セトは溜息。
「そこのホムンクルス二人組、転送装置の準備を」
「「了解」」
セトの指示に従い、ホムンクルスの二人は地下へと向かう。
「これは……」
破壊された巨大水槽。最近まで使われていたにか、ケーブルから水が滴り落ちている。
左の頬を、鋭い光のナイフが通り過ぎる。
「ぐっ……」
反応が遅れた。
「よう、愚兄。背後とられるなんて、鈍っちまったか?」
「愚弟その1か。噂を気かねぇと思えば、敵に協力か」
竜装したアルブムはセトの顔で
「俺は、楽しければいいんだ。なんたって、魔女さんはもう一度やり直すそうだ」
「魔女だと?」
アートルムが怪訝そうな表情を向けると
「俺らのご先祖様と戦った、魔王ディアボロス。知ってるか? 元々は兄妹……つまり、竜族だ」
「そんな話は、聞いたことがない」
「そりゃ、一般に語られてる歴史は表だ。これは、裏の話だ。それで面白いことに、アウルムとディアボロスは共同で人間の雛形、ホムンクルスの研究をしていたそうだ」
ホムンクルスーーリノスによく似た三人組が、アートルムの脳裏を過る。
「その成功例が人間の王ノアで……あのチビのそっくり共は、その時に出た廃棄物って所か?」
現在では、アルブムと契約した人間の王ノアの話しか語られていない。
つまり、ディアボロスはノアから手を引かなければならない何かがあった。
(この手の話は、横取りされた逆恨みって所か?)
アートルムは肩を竦めると
「で、話は終わりか? 愚弟その1」
「おいおい、もっと驚いたりしねぇわけ?」
「あいにく、クソガキを連れて帰らないと夢見が悪くなりそうだからな……で、居場所知らね?」
アルブムはセトの顔で凶悪に笑うと
「知ってても、教えてやらねぇ」
アートルムもそれに応えるように
「久々に、灰にしてやろうか」
右手に炎を宿らせる。
「兄様は、お友達を助けに行くのが先ですわ。アルブム兄様は、私が」
部屋を覆い尽くす冷気。
「竜装もされてないのだから、はっきり言って足手まといです」
ミシュナの姿で、中身はカエルレウム。
「お、お前ら随分とアンバランス……」
「うるさいですわ」
カエルレウムはアルブムを睨みつけると
「アルブム兄様、よくもぬけぬけと……セト共々、拘束しますわ
「お前らが、無能なだけだろがよぉ」
「悪い、ここは頼む」
その隙をついて、アートルムは部屋を出る。
「ちっ、逃がすか……」
「行かせません」
剣を構えた、カエルレウムが立ちはだかる。
アートルムには愚弟その2赤竜と愚弟その3緑竜がいる設定。
ちなみに、緑竜と双子の妹・黄竜もいる無駄な設定。




