【おまけ】蛇の女王エグレ
『蛇の女王エグレ』について説明する。もしかしたらバレエやってる人、オペラを鑑賞したことある人なら内容を聞いたことあるかもしれない。なお「エグレ」という言葉が「抉れ」と同じ発音でややいやらしく聞こえるのでもっと正しい発音である『蛇の女王アーグレ』にしてほしいが今のところは『蛇の女王エグレ』で表記する。ちなみにロシアやバルト3国ではなんと湖底に竜宮が存在し竜宮には「竜王」か「蛇王」が住んでいるという信仰になる。やっとここでヨーロッパ・ロシアの善竜が出て来たね。そして「竜宮」という言葉でも分かる通りもう信仰がまるでアジアンだ。
『蛇の女王エグレ』は一応準主人公が「蛇王」なのでおまけ枠に移動した。『蛇の女王エグレ』はこんなお話である。リトアニア民話である。「エグレ」という名前の意味はトウヒという樹木という意味である。
湖底住む蛇王は水浴びをしている娘エグレに惚れたために地上に上り蛇の姿で下着の上に乗った。娘はこのままだと寒くて命に係わるからどいてくれと言った。しかし日々は結婚するならと意地を張った。仕方なくエグレは「いいわ」と言ったのが運の尽き。
なんとその言葉は本当で迎えの馬車が来た。父親は異形に嫁がせたくないと必死に抵抗し迎えの馬車に子豚やガチョウを乗せて返したがとうとう蛇に連れ去られた。
海底宮殿でいきなり美男子になった蛇はここで蛇王の王子であることを告げてそのまま竜宮で結婚して幸せに暮らし3人の息子、1人の娘と結婚しました。エグレは蛇の女王となったのです。
――これで終わるわけないですよね?
里帰りして息子と娘たちを連れて帰った蛇の女王。人間の姿をしているがそれは仮の姿。このままエグレを返させないとして蛇王を呼ぶ呪文をエグレから機器菓子呪文を唱えそのまま蛇王子を撲殺しました。
蛇王の呪いはエグレとその子供たちを襲いなんと「トウヒ」になってしまったのです。父は泣き叫びましたがすべては手遅れでした。
という悲恋の話なんですがいかがでしょう?ここで大事なのはやっぱ竜宮伝説がはるか西のリトアニアにあったという事です。
で、ここからが重要ですがアイルランドのフィアナ騎士団の騎士オシーンが、海の乙女ニアヴに誘われて常若国で何百年かを過ごすなんて話もあるくらいで実は一歩間違えたらエグレは「浦島太郎の娘版」になってた事なのです。つまり「浦島」というのは別に日本固有の伝説ではなく元ネタは中国だし中国発祥の昔話はおそらく遊牧民を通じてはるか西方のアイルランドやリトアニアまで伝わったという事です。そう、アーサー・ペンドラゴン王が居るアバロン島というのはティル・ナ・ノーグにある一部でそこに竜王が居るという事です。と言う事は海に浮かぶ馬に乗ってやってきた海の乙女ニアヴも仮の姿で本当はドラゴンのはずです。
ちなみに蛇王伝説は「蛇の友とタタールの暴れん坊」というハンガリー伝説もあるけどこれは前に紹介した黒竜フェルニゲシュ伝説と類似なんだ。




