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【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第四章 幸せになりましょう!

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第92話 リスタット辺境伯家の次期当主

「それじゃあ、兄上と義姉上が本格的に次期国王夫妻として動くのなら、僕は辺境伯家の次期当主として動いても良いですね?」

「あぁ、もちろんだ」



 ここ最近、年下の私のことを『義姉上』と呼び、家族と話す時のような柔らかな口調で話すようになったアラン様。


 いつの間にか、私もこの家の一員として接してくれるようになっていた。


 ――そのささやかな変化が、たまらなく嬉しかった。


 そんなアラン様の言葉を聞き、私はようやく、彼がなぜフォール様のお仕事を手伝っていたのかを理解した。



「もしかして、アラン様がフォール様のお仕事を手伝っていたのは、辺境伯家の次期当主になるからですか?」



 本来、辺境伯家を継ぐのは長男であるフォール様のはず。


 それなのに、アラン様は以前から、まるで将来の当主であるかのように領政の中枢へ関わっていた。


 そのことについて何度かアラン様にも聞いたことがあるけど……その度に、笑ってはぐらかされたのよね。



「そうだよ。ごめんね、今まで話せなくて」

「いえ、こればかりは話せなくても仕方ありません」



 私だって、つい先ほどフォール様から聞かされるまで、何も知らなかったのだから。


 辺境伯家が王侯貴族を束ねて今の王族に対して反旗を翻すなんて。


 すると、フォール様が思わぬことをさも当然かのように口にする。



「すまんな、アラン。お前の婚約者をこの国へ呼び寄せるのも、随分待たせてしまった」

「アラン様の、婚約者?」



 そう言えば、アラン様に婚約者がいることを一度も聞いたことがなかったわ。


 てっきり、まだ婚約者はいないものだと思っていたから。



「本当ですよ。兄上が本当の意味で義姉上を捕まえるのに時間をかけるから」

「うっ! それは……すまなかった」



 苦笑しながら肩を竦めるアラン様にそう言われ、フォール様は思い切り顔を引き攣らせた。


 どうやら、私の知らないところで、私のために色々手を尽くしていたらしい。


 ――改めて、この方と再会できて、好きになれて、本当に良かった。


 申し訳なさそうな顔をするフォール様と、彼の隣にいる私を見たアラン様が柔和な笑みを浮かべる。



「まぁ、僕が正式に辺境伯家を継ぐ目途が立たなければ、皇女である彼女をこの国へ迎えられませんでしたし……なにより、兄上には是非とも義姉上と結ばれて欲しかったから」

「アラン……」



 軽口を叩きながらも、二人が互いを深く信頼していることは伝わってくる。


 ――私も、義理とはいえ、アリシアともう少しだけ歩み寄れば、この兄弟みたいになれたのかしら?



「義姉上、どうしたの?」

「いえ、何でもありませんわ」



 あの環境で、対等な姉妹になれるはずがなかったわね。


 叶わない未来を振り切るように首を横に振った私は、心配そうに見つめるアラン様に視線を戻す。



「ところで、アラン様の婚約者の方は、どのようなお方なのですか?」

「あぁ、言ってなかったね。重ね重ねごめん」



 照れ臭そうに笑ったアラン様は、背筋を伸ばすと、これまで明かしていなかった婚約者について話し始めた。



「僕の婚約者は、隣国の第三皇女……って言ったら分かるかな?」

「隣国の第三皇女……って、もしかしなくてもアマリリス様のことですか!?」

「さすが、よく分かったね」



 隣国の第三皇女のことは、王太子妃教育で教わった。


 何でも、『たいへん美しく、引っ込み思案で物静かな才女だ』と。


 その方が、アラン様の婚約者!?


 唖然とする私に、フォール様がなぜか自慢げに、弟と第三皇女殿下の馴れ初めを語り始めた。



「アランのやつ、第三皇女が我が国へ留学してきた時、一目惚れしたんだ。そして、猛アタックの末、わざわざ隣国まで乗り込んで、反対する皇族全員を黙らせ、婚約を認めさせたんだ」

「兄上、人聞きの悪い言い方で説明しないでください」

「いいだろ? 別に間違ってはいないのだから」

「確かに、間違ってはいませんが……」



 信じられない。


 普段は温厚で、滅多に感情を露わにしないアラン様が、一目惚れした相手に猛アタックし、隣国まで行って皇族の皆様を説得するなんて。


 ――アラン様って、やっぱりフォール様の弟なのね。


 アラン様の意外な情熱を知り、純粋に驚いていると、私たちの会話を静かに聞いていたお義父さまが口を開く。



「アラン、分かっているな?」



 穏やかな表情を引き締めたお義父さまの一言に、和やかな空気が一変した。


 照れ臭そうに笑っていたアラン様から笑みが消え、お義父さまに向かって深く頷く。



「もちろんです。リスタット辺境伯家の次期当主として、応援に来る貴族たちを束ね、これから来る王都からの刺客たちを撥ね退けます」

「うむ。私たちが帰る場所を頼んだぞ」

「はい。この豊かな地に、王家の手先となった蛮族どもを一歩たりとも踏み入れさせません」



 静かに、しかし強い口調で言い切る彼の表情は、いつもの穏やかな弟のものではなく、この辺境の地を守ろうとする当主の顔だった。


 ――それから約一か月後。


 フォール様の助けを借りながら『聖女の力』の鍛錬を重ねていた私は、彼のお祖父さまとお祖母さま、そして大叔父さまに会うことになった。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


というわけで、フォールが次期国王として動き、弟であるアランは次期当主として動きます。


長編の新キャラであるアランは、辺境伯家の次期当主として動くために作りました。


そんな彼の覚悟、カッコイイですね。


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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