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【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第四章 幸せになりましょう!

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第89話 未来への第一歩

「あらあら、お邪魔しちゃったかしら?」

「お義父さまにお義母さま! それに、アラン様まで!」



 フォール様からあの男の思惑に気づいた経緯を一通り聞き終えると、お義母さまとアラン様がクスクスと笑い、その後ろでお義父さまが微笑ましいものを見るような目でガゼボへやって来た。


 って、私、いつまでフォール様と手を繋いでいるのよ!


 義理の両親にそんな姿を見られてしまい、急に恥ずかしくなった私は、慌ててフォール様の手を離そうとした。


 でも、フォール様の大きな手がそれを許さなかった。


 むしろ、抱き寄せられて更に距離が縮まった。



「フォ、フォールさ……!」

「父さんに母さん、戻ってきていたのか?」

「あぁ、王宮でアリシア嬢のことを聞いてな、母さんと一緒に急いで辺境に戻ってきた」

「ということは、ここでのやり取りを見ていたのか?」

「いや、来たのはついさっきだ。殿下が宰相を引き連れて謁見の間に行ったせいで仕事が押し寄せてしまってな」

「なるほど」



 すると、ガゼボの周囲を見回したアラン様が楽しそうな笑みを浮かべてフォール様に視線を移す。



「僕は執務室から様子を窺っていましたけど……さすが兄上。王都から来た恥知らずをものの見事に追い払いましたね」

「アラン様、『恥知らず』ってまさかとは思いませんけど、アリシアのことではないですよね?」

「えぇ、そうですが、それ以外にどなたがいますか?」



 辺境伯家に来て半年経つけど……アラン様って、中性的なお顔立ちで、とても紳士そうだけど、意外とはっきり物を言われるのよね。


 そういうところは、フォール様の弟君って感じがするわ。



「そ、それより、アラン様! 執務室から様子を窺っていたのですか!?」

「当然です。突然、女性の奇声に近い声が門の方から聞こえてきたのですから」



 確かに、ガゼボからも聞こえていたから、屋敷に聞こえていておかしくないわね。


 って、待って。ということは……!



「……もしかして、アリシアが去った後も様子を窺っていましたか?」



『フォール様。私もこれから先、フォール様を愛し続けると誓います』



 使用人たちや騎士達がいるのもお構いなしに、告白とキスまでしてしまったところを、アラン様もご覧になっていたってこと!?


 顔を引き攣らせる私に、アラン様が小さく首を横に振る。



「いえ、あの女が去った後、父上と母上が屋敷に戻ってきていましたので、そちらの応対をしていました」

「そう、だったのですね」



 ということは、ご覧になっていないのね。


 ホッとする私とは対照的に、満足げに笑ったフォール様が口を開く。



「あの女なら尻尾を巻いて王都に戻ったぞ。『自分の力が本当はカーラの力である』ということを知ってな」

「「「っ!!!」」」



 フォール様の言葉にご夫妻は揃って目を見開き、アラン様は僅かに眉を顰めた。


 あぁ、やっぱりフォール様が独断で決め、私とアリシアに話したのね。


 でも、思った以上に驚いていない。



「兄上たちが遠くからなにか儀式のようなことをされているのは見えましたが……まさか、本当にあの愚か者にも教えてあげたのですか?」

「あぁ、聖女の力をカーラに戻すためにも必要かと思って。カーラ、二人に見せてくれるか?」

「は、はぁ……」



 確か、証を出す時って……


 王太子妃教育で教わった通りに、左手に魔力を集める。


 すると、柔らかな光が左手から溢れ、両翼とそれを囲む蔦をかたどった、聖女の証が現れた。



「これが、聖女の証ですか。初めて見ました」

「はい。私もこんな間近に見たのは初めてです」



 そもそも、アリシアが堂々と聖女の証を見せる場面に立ち会う機会は、ほとんどなかった。


 目を輝かせながらまじまじと聖女の証を見つめるアラン様に対し、お義母さまは興奮気味に私の左手をとる。



「本当だわ! カーラちゃんの手にはっきりと聖女の証が刻まれている!」

「あぁ、私も何度か聖女のお力を間近で見たことがあるが……あの時に見た紋様よりも、ずっと鮮明だな」

「当然だ。なにせ、この力は本来、カーラの力だったのだから」

「そうだな……ようやく、本来あるべき姿に戻ったということなのだな」



 そう言うと、お義父さまは、お義母さまの手にそっと自分の手を重ねた。



「……姉上、あなたの娘がやっと、自分の道を歩み始めましたよ」

「っ!」



 お義父さまの言う『姉上』。


 その人が、私の母のことだとすぐに分かった。


 小さな声で呟き、静かに笑みを浮かべたお義父さまは、周囲を見回すとフォール様に視線を戻した。



「アランからある程度事情は聞いているが、当事者の話も聞きたい。立ち話もなんだ。屋敷に戻って詳しい話を聞こう」

「分かりました。カーラも付き合ってくれるか。今後の俺たちの話もしたい」

「もちろんですわ」



『今後の話』


 それって、もしかしなくても先程聞いた、国を巻き込んだ大騒動のことよね。


 静かに頷いた私は、リスタット辺境伯家の皆様と共に屋敷に戻った。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


というわけで、リスタット辺境伯家合流!


カーラの力に夫妻は驚いていませんでしたね。


リスタット辺境伯家の中で、『聖女の力』はカーラのものだって共通認識だったんですね。


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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