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【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第三章 再び交換しましょう!

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第78話 与えらえた者として

「どうだ、アリシア嬢。今までカーラに強いていた『交換』をされた感想は?」



 長い間、私たち義姉妹を縛り付けていた呪縛が、禍々しい紋様と共に消え去る。


 私たちを包み込んでいた突風も静かに収まり、辺りは不気味なほどの静寂に包まれた。


 そんな中、フォール様は小さく笑みを浮かべながら、アリシアへそう告げる。


 ――その目は、少しも笑っていなかった。


 ……正直、怖い。


 でも、それくらい彼は本気で怒っていた。


 私が『交換』という名の『略奪』を強いられてきたことを知っていたから。


 ――フォール様、本当に私のことを調べてくださっていたのね。


 けれど、彼の無慈悲な言葉は、アリシアにはまるで届いていなかったようだった。



「ああっ……私の魔力が、私の聖女の力が……!」



 騎士から解放され、起き上がったアリシアは、絶望した表情で震える両手を見つめる。


 本当に信じていたのね。


 この力は、生まれた時から自分の中にあったものだと。


 ――それが『交換』によって得た力だとは、最後まで知らないまま。



「だから、それは君の力じゃないと言っているだろう」



 フォール様は呆れたようにため息をつく。


 その傍らで、私もまた自分の両手を見つめた。



「これが、私の本来の力」

「そうだ。それは君がこの世に生を受けた瞬間、神から授かった大切な贈り物だ」

「…………」



 さっき、フォール様に促されて初めて『聖女の力』を使った時にも思ったけれど……私の魔力って、人肌みたいにとても温かいのね。


 ――これが、本来私の中にあった力。


 神様から授かった、私だけの特別な力。


 その温もりを噛み締めるように、私は静かに両手を握り締めた。


 そして……私は、心の中で静かに決意する。



「フォール様」

「なんだ?」

「私、この力を辺境だけではなく、この国に住む人たちのためにも使いたいですわ。魔物に脅かされている人たちを、一人でも多く救いたいです」



 本当は、辺境のためだけに使いたい。


 だって私は、未来の辺境伯家夫人なのだから。


 けれど、この力は、それだけのために与えられたものではないと直感で分かる。


 ――アリシアのように、私利私欲のために使っていい力ではないことも。


 この力は、魔物に脅かされている人々を救うためにある。


 ならば私は、その人たちのためにこの力を使いたい。


 ――それが、この力を授かった者の使命だと思うから。


 その時、フォール様が私の両手を包み込んだ。



「そうだな。神から与えられたこの力、皆のために使おう」

「良いのですか?」

「もちろんだ。カーラのこの力は、辺境だけのものじゃない。それくらい俺にも分かっている。なにより――」



 フォール様が、ゆっくりと私へ顔を寄せる。



「俺の大切なカーラが望むことなら、俺はその意思を受け止める。そして、未来の夫として、必ず君を守る」

「っ……!」



 彼の次期辺境伯としての誇りと気高さに満ちている姿に、思わず見惚れてしまう。


 その瞬間、半年前に交わした誓いが脳裏をよぎった。



『俺の未来の伴侶である君に誓う。これから先、君が何を話しても、君がどんなことをしようとしても、俺が全て受け止める。そして、絶対に君が害されるようなことはしないし、させない……未来永劫だ』



 あの日の誓いを、フォール様は今も変わらず守ろうとしてくれている。


 ――生涯をかけて、本気で。


 改めて思う。


 この方の未来の妻になれて、本当に良かった。


 ――この方に出会えて、良かった。


 彼の笑顔と言葉。


 そして、私の両手を包み込む大きく温かい手。


 彼から与えられる温もりに、思わず涙が出そうになった瞬間、魔力と共に戻ってきた記憶が溢れ出す。


 そうだ、私……幼い頃に、ここで彼と出会って、約束をしたわ。



「フォール様。私、思い出しました」

「何を?」



 そっと顔を上げて、小首を傾げるフォール様に優しく微笑む。



「幼い頃、この場所であなた様と将来を誓い合ったことを」

「っ!」



 ――それは遠い昔、幼い私と若き日の彼が交わした、誰よりも大切な約束。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


というわけで、魔力も取り戻し、記憶も取り戻したカーラ!


力を取り戻したことで、少しだけ強くなりましたね。


そんな彼女とフォールが交わした約束の全貌が、次回、明らかになります!


どうぞ、お楽しみに!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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