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【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第三章 再び交換しましょう!

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第74話 魔力鑑定

「お義姉さまに『聖女の力を有している可能性がある』ですって!?」



 貴族令嬢としても、聖女としてもあるまじき声を上げるアリシア。


 その一方で私は、呆然としたまま自分の両手に視線を落とした。



『カーラ嬢の魔力はゼロですね』



 平民も貴族も関係なく、八歳を迎えた子どもが必ず神殿や教会で受ける魔力鑑定。


 その鑑定を終えた直後、驚いた表情の大神官から告げられた、貴族として致命的な欠陥ともいえる紛れもない事実。


 そんな私に、『聖女の力』を有している可能性があったなんて……



「でも、お義姉さまは魔力ゼロだったのでしょ!?」

「ええ。八歳の時、神殿で魔力鑑定を受けたけれど、魔力を測る水晶はまったく反応しなかったわ」



 今でも鮮明に覚えている。


 あの時、『魔力があれば、その適性に応じて必ず水晶が光る』と、魔力鑑定が始まる前に大神官から説明を受けた。


 それなのに、私が手を置いた水晶は微かな光すら宿さなかった。


 あの時の光景を思い出しながら冷え切った両手をゆっくり握り締めると、フォール様が静かに、高位貴族しか知らない事実を口にした。



「カーラも聞いたことがあると思うが、高位貴族には任意で七歳の子息令嬢を対象にした『事前魔力鑑定』という制度がある」

「それでしたら聞いたことがありますわ」



 婚約者選びなどに備え、我が子の魔力の有無や適性魔法を少しでも早く知りたい高位貴族のために設けられた制度。


 神殿へ多額の寄付金を納めれば、正式な鑑定より一年早く魔力を調べてもらえる――そんな話だったはず。


 どうしてその話を今……って、ちょっと待って。



「まさか……!」

「そのまさかだ」



 小さく頷いたフォール様は、私たちも知らなかった事実を静かに明かす。



「カーラはフィオナ元夫人の計らいで。そしてアリシア嬢、君は公爵の計らいで、それぞれ七歳の時に任意の魔力鑑定を受けていた」

「お母様が……」

「お父様が……」



 フォール様の言葉に、私とアリシアが揃って言葉を失う。


 知らなかった。


 お母様が、私のために莫大な寄付金を支払い、任意の魔力鑑定を受けさせてくださっていたなんて。


 でも――



「私、七歳の時に魔力鑑定なんて受けていないわ! そもそも神殿なんて、公爵家に迎えられてからしか行ったことがない!」

「私も、アリシアと同じですわ。八歳になるまで神殿へ行ったことなんてありません」



 七歳といえば、厳しい淑女教育に追われていた頃。


 毎日、私室とお母様の寝室を往復するだけの生活で、神殿へ足を運んだ記憶なんて一度もない。


 アリシアなら、公爵が平民に扮して連れて行くことも出来そうだけれど……あの様子を見る限り、本当に神殿へ行ったことはないのね。


 すると、フォール様が小さく微笑む。



「だろうな。なにせ、任意の魔力鑑定に本人が行く必要はないのだから」

「「えっ?」」



 本人が、行かなくてもいい?



「人は生まれた直後に魔力を宿し、八歳でようやく心身に定着すると考えられている。だから正式な魔力鑑定は八歳からだ。一方、事前魔力鑑定は、我が子の魔力を少しでも早く知りたいという高位貴族の願いを叶えるため……いや、ワガママを叶えるための制度に過ぎない」



 確かに、正式な年齢を待たずに教えてほしいというのだから、ある意味ではワガママなのかもしれない。


 でも、本人がいないのなら、一体どうやって魔力を調べるというの?


 眉をひそめる私と、不満そうに頬を膨らませるアリシアへ、フォール様は任意の魔力鑑定の仕組みを説明した。



「では、どうやって鑑定するのか。答えは簡単だ。対象者の一部――多くは抜けた髪を、多額の寄付金と共に神殿へ持ち込む。神官たちは魔力水晶と同じ素材で作られた透明な板を使い、持ち込まれた対象者の一部から魔力の有無などを調べる」



 フォール様の話を聞いて納得した。


 魔力は体全体に巡っている。


 だから本人がいなくても、その人の一部があれば、簡単な魔力鑑定なら出来るということね。


 ということは……



「つまり、お父様とお義姉さまのお母様は、それぞれ私たちの髪を寄付金と一緒に神殿へ持ち込んだということ?」

「その通り。もっとも、親である必要はない。直筆の委任状さえあれば、使用人でも持ち込める」



 つまり、病床に伏していたお母様は使用人に任せて、私の任意の魔力鑑定を受けさせてくださったということ。


 となると、継母と逢瀬を重ねていたあの男もまた、使用人に寄付金と私たちの髪を持たせ、神殿へ向かわせたのでしょうね。


 ――愛娘のためとはいえ、そんな手間を自分でかけるような人ではないから。



「その任意の魔力鑑定で、私に『聖女の力を有している可能性がある』と判明した、と」

「そうだ。そして……」



 笑みを潜めたフォール様の視線が、私からアリシアへ移る。



「アリシア嬢。君に()()()()()ことも判明した」

「「えっ?」」



 一瞬、耳を疑った。


 そんなことがあるはずがない。


 だって、アリシアはこの国の『聖女』。


 魔力がゼロだったなんて……そんなこと、あるはずがないわ。


 ――それは、『聖女の力』で守られていた、この国の今を揺るがす事実だった。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


今回は長編ならではの要素である『事前魔力鑑定』が登場しました!


貴族ですからね。


家の未来や婚約者選びを考えれば、我が子の魔力を少しでも早く知りたいと思うのは当然だったのかもしれませんね。


そして判明した二つの事実。


・カーラに『聖女の力』を有している可能性があったこと。


・そして、『聖女』アリシアには魔力が無かったこと。


この衝撃の真相は、次回明らかになります!


ぜひお楽しみに!


そして、ブクマ・いいね・評価もよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)

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