表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第三章 再び交換しましょう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/60

第56話 話がしたい

 フォール様のお誕生日を皆でお祝いした後、私はセバスからリスタット辺境伯家の歴史などを教わった。


 建国以来、国防を担ってきた辺境伯家の歴史は、王太子妃教育で学んだ煌びやかな歴史とは違い、血生臭く、泥臭い歩みだった。


 ――いかに、自分が狭い世界で生きていたかを思い知らされるくらいに。


 それでも、隣国を始めとした諸外国との交流を大切にする辺境伯家の方針は、とても素敵で大切にしようと思えた。


 そして辺境伯家に来て半年後。


 フォール様を始めとした皆さんの協力と私自身の努力、加えて家庭教師からのお墨付きをいただいたことで、予定より一ヶ月早く、フォール様の仕事を手伝えるようになった。


 生まれてからずっと忙しい日々を送っていた私にとって、この数ヶ月は人生で初めての休暇だった。


 お陰で、私は誰かを頼り、甘え、大切にされることを思い出した。


 ――フォール様に感謝しないと。彼がこんな大事なことを思い出させてくれたのだから。


 そう思いながら、私はフォール様から頼まれた過去の帳簿を抱え、資料室を後にする。



「とはいえ、さすが、広大な領地をもち、諸外国との繋がりがある辺境伯領。王宮と同じくらい仕事量だわ」



 ――この量を、王宮に勤める文官の半分以下の人数で捌いているなんて、本当にすごいわ。


 執務室に戻る道すがら、私は改めて彼の次期辺境伯家当主としての優秀さに感心する。


 フォール様は『辺境伯領が回っているのは、街や村の文官達、そしてアランや部下たちのおかげだ。俺なんて魔物討伐くらいしかしていない』って謙遜されていた。


 だけど、王宮で長年、文官達と一緒に仕事をしていた私には分かる。


 フォール様が辺境伯領のために誠心誠意尽くしているからこそ、この領地は回っている。


 きっと、お義父さまの人柄と仕事ぶりを見て、ご自身もそうされているのかもしれない。


 それでも、あの方は常に自分以外の誰かのことを考えている。


 辺境伯領のこと。


 屋敷で働く人たちのこと。


 ご家族のこと。


 そして……婚約者である私のこと。


 そんな彼の誠実で真摯な姿を見ているから、皆、誇りを持って仕事をしているのよね。


 ――そして、私も心の底から彼を支えようと思える。


 婚約者としての義務だからではなく、『フォール・リスタット』という一人の男性を慕っているから。


 こんなこと、初めてだわ。王都にいた頃は全く思わなかったのに。



「よし! 私も、フォール様のお役に立てるように頑張らないと!」



 王都にいた頃は、元婚約者やお父様から丸投げされた大量の仕事を毎日、文官達と捌いていたのだから、その経験を今、フォール様たちのために使わないと!


 その時、前方から白衣を着た見慣れた男性が歩いてきた。



「おや、カーラ様ではございませんか」

「マホロフさん、ご無沙汰しております」



 二ヶ月しか経っていないというのに、会うのが随分と久しぶりと思えるわ。


 立ち止まって深々と頭を下げるマホロフさんに、私は慌てて駆け寄った。



「お元気そうですね。ですが、油断は禁物ですよ」

「分かっています。フォール様からも釘を刺されていますから」

「ハハッ、それは良かった」



 まぁ、本当はフォール様だけでなく、アンナやアラン様にも釘を刺されているのだけど。



「本日はどうされたのですか?」

「フォール坊ちゃんから『屋敷の常備薬が少なくなった』というご連絡をいただいたので、補充をしにきたのですよ」

「なるほど」



 聖女の力が込められた結界の効力が日を追うごとに弱まっているのに加えて、魔物の動きが活発化しているから。


 先日もスタンピードが起き、フォール様は騎士団を率いて冒険者の皆様と共に魔物討伐へ向かわれ、私は屋敷の者たちと一緒に後方支援をしたわね。


 恐らく、その時に常備薬を大量に消耗したからマホロフさんに補充を頼んだのね。


 ――本当なら、聖女であるアリシアが直接、辺境に来て結界を張って欲しいのだけど……『田舎貴族』と罵った彼女が来るわけないわね。


 そんなことを考えていると、後ろから声がかかる。



「カーラ」

「フォール様」



 呼ばれて振り向くと、そこにはいつになく真剣な表情の彼が立っていた。


 一体、どうしたのかしら?


 切羽詰まった表情の彼は足早に私の隣に立つと、私の手を少し強い力で握る。


 ――まるで、逃げることを許さないみたいに。



「マホロフ殿、カーラを借りてもいいか?」

「借りるも何も、私はこれで失礼致しますので」

「そうか、感謝する」



 そう言うと、フォール様は私を見やる。



「カーラ、今から俺に時間をくれないか?」

「え、あっ、はい……」



 本当に何があったのかしら?


 まさか、またスタンピード……って、彼が鎧姿でないからそれはないわね。


 魔物討伐へ向かう時にしか見せない彼の表情に、胸が妙にざわついた私は、フォール様に手を引かれるまま、庭のガゼボに向かった。


 ――私の大切な家族に纏わる話を聞くことになるとも知らずに。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


というわけで、何やら切羽詰まった表情のフォール。


一体、何があったのか!?


それは、次回、明らかになります!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ