表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第二章 愛しい君を溺愛させて!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/54

第51話 着せ替え人形とお気に入りの場所

「フォール様、酷いです。私を着せ替え人形にするなんて」



 ――ドレス選びでこんなに疲れるの、初めてだわ。


 リスタット辺境伯家御用達の高級服飾店で二時間過ごし、フォール様のエスコートで帰りの馬車に乗った私は、はしたなくも乗り心地の良い椅子に身を沈めて愚痴を零した。



「すまない。だが、色んなカーラが見られて俺は嬉しかったぞ」

「っ! フォール様は色んな私が見られて、さぞ嬉しかったでしょうけど……そのせいで、どれだけ買ったと思っているんですか!」



 思わず声を荒げた私は、お店でのことを思い返す。


 リズール様に手を引かれた私は、文字通り着せ替え人形だった。


 彼女を筆頭に、店員の皆様がお店にあるドレスや装飾品を片っ端から私に試着させていたのだから。


 時折、フォール様が何かを見つけては、リズール様に私へ試着させるよう指示を出していた。


 ――それは、どれも私が気になったものだった。


 それに気づいた時はかなり気恥ずかしかったし……少し、嬉しかった。


 彼が私のことをちゃんと見てくれていると改めて思ったから。


 とはいえ、さすが辺境伯家。


 試着の量が凄まじかった。


 公爵家にいた頃ですら、こんなに多く試着することは無かった。


 ……まぁ、アリシアならありそうだけど。


 なにせ、父に代わって帳簿を管理していた私は、アリシアが毎月のようにドレスを買っていたことを知っているから。


 そして、フォール様は私が試着したドレスや装飾品を次々と買っていった。


 それも大量に。



『フォール様、そんなに買わなくても……』

『おぉ、似合っている! さすがカーラだ!』

『フォール様、アクセサリーはそのくらいにして……』

『では、次はそのドレスを試着してくれ。この繊細なフリルは、可憐なカーラに似合うと思う』

『かしこまりましたわ!』

『フォール様!?』



 いつもは私の話を聞くのに、どうしてこの時だけ話を聞いてくれないの!?


 唖然とする私に、フォール様が申し訳なさそうに眉を下げる。



『カーラ、後でちゃんと怒られるから、今は俺やリズールたちの言うこと聞いてくれないか?』

『うっ!……分かりましたわ』



 そんな捨てられた子犬のような目で頼まれたら、怒れないじゃない!


 結局、私が試着したドレスと装飾品は全て購入することになり、後日、辺境伯家に送られることになった。


 ――フォール様ったら、いつもはとても紳士で堅実なのに、こんな時に散財するなんて!


 次期辺境伯家当主としてどうなの!?


 頬を膨らませて睨みつける私に、向かい側に座っていたフォール様が澄ました顔で答える。



「何を言っている。これは必要な投資だ。むしろ足りないくらいだ」

「ええっ……」



 あれで『足りない』って……屋敷にあるフォール様から贈られたドレスですら、着られていないものもあるのに。


 大量にドレスや装飾品を購入したことに対して、何の反省も後悔もしてないフォール様に小さくため息をつく。


 すると、チラリと窓の外に目を向けたフォール様が笑みを潜めて私を見る。



「カーラ」

「何ですか?」



 もう着せ替え人形は嫌なのですが。


 不機嫌な私にフォール様が懇願する。



「デートの最後に、どうしても君を連れて行きたい場所があるんだ。今から行ってもいいか?」

「それは、別に構いませんが……」



 すると、安堵したようにフォール様が笑った。



「ありがとう。君が俺の婚約者になったらまた……いや、絶対に連れて行きたかったんだ。『今日』という素晴らしい日には尚更」

「えっ?」



 どういうことかしら?


 それに『また』って……


 柔らかな笑みで御者に指示を出すフォール様に首を傾げつつ、私は茜色に染まる街の景色に目を移す。



 ◇◇◇◇◇



「うわ~! 綺麗ですわ~!」


 馬車に揺られて約10分。


 馬車を降りて、街から少し離れた小高い丘に来た私は、辺境伯領の美しい景色に思わず感嘆の声を上げる。


 薄暗くなる空の下、どこまでも広がる大地。


 そして、温かな灯りがともる城塞都市の街並みと、少し落ち着いた、けれどまだ活気あふれる人々の声。


 そのどれもが、私の心を揺さぶった。



「どうだ、気に入ったか?」

「はい、とても!」



 ――こんな素晴らしい景色、初めてだわ!



「そうか。ここは、俺の一番お気に入りの場所なんだ」

「そうなのですね!」



 すると、不意に脳裏に記憶が蘇った。



『どうだ! ここ、俺のお気に入りなんだ!』



 澄み渡る青空の下、私の手を引いた黒髪の青年は、ルビー色の瞳を輝かせて私をお気に入りの場所に連れてきてくれた。


 ――この記憶、一体何かしら?


 それに、黒髪の青年ってもしかして……



「カーラ、どうかしたか?」

「いえ、ただ……」



 小さく首を横に振った私は眼前に広がる景色に視線を戻す。



「私も、ここがお気に入りの場所になりそうだなと思っただけです」



 ここに来れば、王都の華やかさでは感じられない、人々の温かさを感じられるから。



「そうか」



 そう言って、満足そうに微笑んだフォール様は、懐から何かを取り出した。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


というわけで、デートも終盤!


着せ替え人形になって疲弊していたカーラでしたが、街が一望できる丘に来て上機嫌!


そんな彼女にフォールが取り出したものとは……!?


(というかフォール、デートが始まる前から準備していたのかそれ?w)


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ