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【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第二章 愛しい君を溺愛させて!

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第43話 初デートへ

「お、お待たせいたしました!」

「カーラ!……って、えっ?」



 お義母さま主導でアンナやレイラたちに綺麗に着飾られ、エントランスホールに来た私を見て、先に待っていたフォール様が驚いたように目を見開いて固まった。



「あ、あの……」



 初めて見るフォール様の表情に不安が過る。


 もしかして私、変だったのかしら?


 お義母さまとアンナたちは『可愛い、可愛い』と言いながら、嬉々とした表情で私の支度を手伝ってくれたけど。


 両手をそっと握り締めた私は、完成された装いに視線を落とす。


 スカイブルーのAラインのワンピースに、レースが編み込まれた薄手の真っ白なケープ、ハーフアップで編み込みされた髪にはフォール様の瞳の色であるルビーがはめ込まれた銀色の髪飾り。


 お義母さまが『可愛い義娘のために王都で買ってきたのよ!』と張り切って用意してくださった服や装飾品で着飾った私は、鏡で見た時、とても可愛いと思った。


 綺麗なものや可愛いものは全て、アリシアのためにあるものだと、心のどこかで思い込んでいたから。


 ――やっぱり、私には似合わないのかしら。『地味女』と蔑まれていた私には。


 元婚約者の心無い言葉が脳裏を過ったその時、私の後ろにいたお義母さまが、固まったままのフォール様の肩を思い切り叩く。



「ちょっと、フォール! カーラちゃんのあまりの可愛さに見惚れてしまうのは分かるけど、さっさと感想を言いなさい! そうじゃないと、カーラちゃんが不安になるでしょ!」

「お、お義母さま!?」



 突然、何を言っていらっしゃるの!?


 すると、お義母さまに肩を叩かれたフォール様が、はっと我に返ったように瞬きをする。



「すまない、目の前に女神が現れたから、言葉を失ってしまった」

「フォール様!?」



 め、女神!? わ、私が!?


 アリシアじゃなくて!?


 フォール様からの過分な褒め言葉に、恥ずかしさで顔から火が出そうになった時、私を見て甘く微笑んだフォール様がそっと私の手を取る。



「朝食を終えてすぐ、悪い顔をした母さんに連れて行かれたから心配になったが……なるほど、あれは俺の前に女神を降臨させるためだったのだな」

「フォール様、あの……」

「『悪い顔』とか『連れて行かれた』とか本当に人聞きが悪いのだけど……そうよ、可愛いカーラちゃんを更に可愛くするためにあなたの前から連れ去ったのよ!」

「そうだったんだな。ありがとう」

「フン、最初から素直にそう言えばいいのよ」



 得意げに鼻を鳴らすお義母さまに、苦笑したフォール様が私に視線を戻す。



「カーラ。いつもの君も可愛いが、今日の君は格別に可愛い」

「か、格別ですか?」

「あぁ、格別だ。今日の君は、この世の者とは思えないほど美しくて可愛い。このまま誰にも見せたくないくらいに」

「っ!」

「やったわね、カーラちゃん!」

「え、ええっと……」



 確かにお義母さまがおっしゃっていた通りになりましたが……そのような言葉、初めて言われましたわ。


 フォール様の甘い笑顔と褒め言葉に、思わず視線を逸らす。


 『地味女』と呼ばれていた私が、このような褒め言葉をかけられる日が来るなんて。



「そ、それは、お義母さまとアンナたちが頑張ってくださったお陰ですわ!」

「確かにそうかもしれない。だが、それも君自身が可愛いから頑張ってくれたのだろ?」

「うっ! そう、かもしれないですが……」



 事あるごとに私を褒めてくれるフォール様だけど……今日のフォール様は、いつもより甘い。甘すぎるわ!


 距離だっていつもより近い気がする。


 これは服装がいつもと違うから?


 それとも、婚約者として初めてのデートだから!


 分からない、分からないわ!


 デートに行く前から、心臓の鼓動がうるさくてどうにかなりそう!


 その時、傍で見ていたセバスがわざとらしく咳払いをした。



「フォール様、そろそろ出発されては? 昨日は仕事の合間を縫って、随分準備をしていらっしゃったではありませんか」

「うぐっ!」

「へぇ~、フォール。私がカーラちゃんの服を選んでいる間に、カーラちゃんのために準備していたのね~。やるじゃない」



 セバスの話を聞いてニヤニヤするお義母さまをよそに、フォール様が慌ててセバスの方を見る。



「セバス! どうしてお前が、どうして知っている!」

「それはもちろん、アラン様から聞いたからです。『女性に素っ気ない兄上が、婚約者様との初デートに浮かれている』と」

「アランの奴、黙っていろと言ったのに!」



 何の悪気もなく、柔和な笑みで答えるセバスに、耳を真っ赤にして悔しがるフォール様。


 その横顔が、なぜか可愛く思えた。


 いつも余裕たっぷりに私を甘やかすフォール様の焦った表情に、思わず笑みを零していると、小さくため息をついたフォール様が私の手を離さないようにしっかり握る。



「それじゃあ、カーラ。行こう」

「はい、フォール様」



 フォール様の手、相変わらずとても大きくて温かいわ。


 ――この手に私は何度も救われているのよね。


 辺境伯家に来てから、毎日のように私の手を握る彼の大きく温かい手に、私はいつの間にか安心感を覚えてしまった


 むしろ、ここ最近は離れた瞬間、少しだけ寂しさを感じるようになってしまった。


『迷惑だ』って分かっていても、『あと少しだけ』って思ってしまう。


 彼の優しい手に、何度も縋ってしまいそうになる。


 もっと甘えたいと思ってしまう。


 ――今日だけは、ワガママになっても、甘えても良いわよね?


 勇気を振り絞って、大きな彼の手をそっと握り返す。


 すると、フォール様が驚いたように私を見つめた。


 今日は、婚約者として初めてのデート。


 だから――今日だけは、この手をずっと繋いでいたい。


 私のささやかなワガママが伝わったのか、フォール様が嬉しそうに微笑んで小さく頷く。


 そして、私たちは屋敷の者たちに挨拶をする。



「では、行ってくる」

「行ってまいります」

「行ってらっしゃい、楽しんできて♪」

「「「「「行ってらっしゃいませ」」」」



 お義母さまといつの間にか来ていたお義父さまとアラン様、そして使用人全員に見送られ、私とフォール様は用意された馬車に乗り、婚約者として初めてのデートへと向かった。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


というわけで、いよいよデート編スタートです!


カーラにとって人生初の婚約者とのデート!


着飾るのも初めて、手を握り返すのも初めて。


本人はまだ気付いていませんが、もう立派な恋する乙女ですね(笑)


いや~、可愛いですね!


そんな彼女に、フォール様は変わらず紳士な態度をとりますが……いや、暴走してますね(笑)


恋愛初心者相手に甘い言葉を囁いているし、独占欲出していますから(笑)


2人のデート、甘いものになること間違いなしですね!(笑)


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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