表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第二章 愛しい君を溺愛させて!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/54

第20話 危険な状態でした

「う~ん、過度な睡眠不足と中度の栄養失調に陥っていますね」

「えっ?」



 私、ここ最近は三食きちんと食べていたし、睡眠だって王都で暮らしていた頃の倍の睡眠時間を取っていたわよ。


 一通り診察を終え、僅かに顔を歪めるマホロフ様の診断に思わず声を漏らす。


 その近くで、診察の邪魔をしないよう壁際に寄りかかっていたフォール様が、静かに眉を顰める。


 ――まるで、私の体調が最初から分かっていたかのように。



「ここ一ヶ月で多少は改善されているようですね」

「そう、ですね……色々、ありましたから」



 ――そう、色々あった。


 この10年間の努力が一気に無駄になってしまったことが。


 反射的に笑ってごまかした私に、なぜか悲しそうに目を伏せたマホロフ様は、握っていた羽ペンをギュッと握りしめると静かに視線を戻した。



「ですが、それはあなた様が長年、無茶を重ねたことで危機的状況に陥っていた生命の灯を、辛うじて繋ぎ止めたに過ぎません」

「っ!」

「覚えはありますよね? 元第一王子の婚約者殿」

「……はい」



 嫌というほど覚えがあるわ。


 二度と思い出したくないと思えるくらいに。



「その様子ですと、満足に休まれたことも……」

「その……王都にいた頃は、そのような立場にありませんでしたから」



 使用人たちが起き出す前に身支度を済ませ、街へ出て日銭稼ぎとまかないの朝食を取る。


 その後、急いで屋敷へ戻って制服に着替え、アリシアが屋敷を出る前に徒歩で学園に登校。


 朝から夕方まで学園で様々なことを学び、終わるとすぐに馬車で王城に行って、王太子妃教育を受けたり、元婚約者が丸投げした公務を捌いたりした。


 夜も更けた頃に別邸へ戻り、お父様から押し付けられた領地運営に関する書類の処理。


 それが終われば、学園と王太子妃教育の復習をし、簡単な夕食を取って眠る。


 学園が休みの日は、午前中は街で日銭稼ぎと数日分の買い出し。午後からは王宮で王太子妃教育と公務。


 二時間ほどの睡眠しか取れず、朝食の店のまかないと、昼食と夕食の黒パンに簡単なスープを胃へ押し込みながら、朝早くから夜遅くまで働く。


 ――それが、私の日常だった。


 そう考えると、いつ命を落としていてもおかしくなかったのかもしれないわね。



「一先ず、お薬を処方しますので、カーラ様は今日から一週間、絶対安静でお願いします」

「え、一週間ですか!?」

「はい。ハッキリ言って、今のあなた様は、生きていること自体が『奇跡』と言っても過言ではないくらい危険なのです」

「そ、そうなのですね……」



 絶対安静を言われるほどに酷かったなんて……


 『絶対安静』と聞いて絶句する使用人の皆様をよそに、私は信じられない気持ちで両手を見つめる。


 すると、壁際に寄りかかって診察を見守っていたフォール様が、サイドテーブルでカルテと処方箋を書き終えたマホロフ様の隣に立つ。



「マホロフ殿」

「なんでしょう、坊ちゃま」

「早速、カーラに食事をさせたいのだが……何を食べさせればいい?」

「う~ん、そうですねぇ……」



 悩ましそうに首を傾げたマホロフ様が、私に視線を戻す。



「カーラ様。ここまでの道中、どのようなものを召し上がっていましたか?」

「ええっと……朝昼晩、パンとスープで済ませていました」



 なにせ、手持ちもあまりなかったから。


 それに、三年かけて染みついた質素な食生活を、簡単に変えられない。


 私が食べていたものを聞いて、使用人の皆様が揃って顔を引き攣らせる中、マホロフ様が眉間の皺を深くする。



「それ以外のものは?」

「初日に大衆食堂で、久しぶりにローストビーフのようなものを食べたのですが……その、胃が受け付けなくて。一口食べて残してしまいました」

「なるほど。やはり、そういうことですか」



 私の細い手首を一瞥したマホロフ様は、フォール様に視線を向ける。



「一先ず、絶対安静の間は、消化が良く栄養バランスの取れた食事を少量ずつ食べさせるべきかと。もちろん、カーラ様の体調やご要望を最優先に」

「分かった。カーラ、今、食べたいものはあるか?」

「え、ええっと……」



 そう言われても、何が食べたいのか分からない。


 この10年、そのようなことを考える余裕もなかったから。


 何が食べたいか分からず言い淀む私に、僅かに悲しそうな顔をしたフォール様が優しく提案する。



「では、パンとスープなら食べられるか?」

「あ、はい。それでしたら」

「よし、セバス」

「はい。早速、料理長に伝えてまいります」



 深々と頭を下げるセバスに、マホロフ様が椅子から立ち上がって振り返る。



「セバス殿。今から食事を用意されるのでしたら、こちらを料理長殿にお渡しください。お出しする料理における注意事項を書いておりますので」

「かしこまりました。ありがとうございます」



 再び、深々と頭を下げるセバスを見送ったマホロフ様は、ベッドで起き上がったままの私に視線を戻してポツリと呟く。



「フィオナ様が……あなたのお母様がご存命だった頃は、このようなことはなかったのでしょうに」


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


主人公カーラ、過労〇まっしぐらの状態でした。


そりゃあ、フォールも侍医を呼びますよね。


マホロフ、良いキャラしていますよね?


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ