表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編】この度、ワガママ義妹と婚約者を交換することになりました  作者: 温故知新
第二章 愛しい君を溺愛させて!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/54

第16話 今度こそ、絶対に

※フォール視点です。

「……これは、カーラから直接聞くしかないな」

「はい。せめて、ここに来るまでの経緯だけでも教えていただければ」



 嫁入りする貴族令嬢が徒歩で婚約者の家に来た。


 この事実だけでも貴族としての信用を落とすには十分なはずなのに……



「……あの公爵は一体、何を考えているんだ?」



 貴族としての体裁を大事にしていることで有名なあの公爵は。


 貴族としてあるまじき事態に嫌な予感を覚えつつ、深くため息をついた俺は、机の上の報告書を一瞥するとセバスに視線を戻す。



「とはいえ、カーラの信頼を得るためにも、ある程度は把握しておこう」

「そうですね。少なくとも、カーラ様が辺境伯領へ来られた時の状況は確認できるでしょうから」

「そうだな。出来れば、王都から辺境に来るまでのことも調べておきたいが……カーラがいつ目覚めるか分からないから時間の問題だな」

「でしたら、調べられる範囲だけでも我が家の諜報部隊である『影』を使って調べておきましょう」

「頼めるか?」

「もちろんでございます」

「では、頼んだ。俺は、侍医に『いつでも来られるよう準備して欲しい』と連絡しておく」

「かしこまりました」



 ふと、ベッドで眠るカーラが頭を過る。


 あの様子だとまともな寝食はしていないだろう。


 それも長い間……



「坊ちゃま」

「なんだ?」

「旦那様と奥様へのご連絡はいかがされますか?」

「そうだな……」



 王都を訪れた時、タウンハウスにいる両親から『もし、例の『婚約者交換の噂が本当になったら、判断はお前に任せる。その代わり、本当になったらこちらに連絡して欲しい』と言われた。


 本来なら、カーラがこちらに来た時点で、通信魔法を使って連絡するべきなのだろうが……



「それに関しては、カーラから一通り話を聞いてからにする。『婚約者が徒歩で来た』なんて前代未聞のことが起こっているから」

「かしこまりました」



 それに、事と次第によっては、俺から祖父母や叔父上にも報告する必要がある。


 特に叔父上は……


 すると、セバスが俺を見てふっと笑みを零す。



「どうした?」

「いえ。フォール坊ちゃまが、いつになく真剣な表情で事態の収束にあたっておられるなと」

「当然だ。俺にとって彼女は……一生結ばれることのない相手だったから」



『カーラ嬢が、第一王子の婚約者になった』



 父さんからそのことを聞いた時、目の前が真っ暗になった。


 どうして……どうして彼女なんだ!


 他にも婚約者候補になり得る令嬢は、いくらでもいただろう!


 それなのに、どうして彼女が!


 そんな疑問が頭の中を巡り、底知れない怒りが俺の心を蝕んだ。



「彼女の母親が亡くなり、『影』を使って彼女の現状を知った時、俺は何が何でも彼女を守りたいと思った」

「そうでしたね」



 笑みを消したセバスが、悔しそうに拳を握る。


 今でも思い出す。


 リスタット辺境伯家に届いた一通の手紙。


 そこには、彼女の母親が亡くなったこと。


 葬儀も行わず、すぐに火葬し、近くの共同墓地へ埋葬したことだけが簡潔に書かれていた。


 まるで、事務報告をするかのように。


 簡素な手紙を見た両親の怒りは凄まじかった。


 特に父さんは今にも国家を滅ぼしかねないほどの怒気を放ち、屋敷にいる全員の心を恐怖に陥れた。


 そんな両親が落ち着いた頃、俺は彼女がどうしているのか気になり、影を使って彼女の現状を探らせた。


 ――そこで知った。


 第一王子の婚約者とは思えない、あまりにも過酷な現状を。


 何十枚と及ぶ報告書が、俺の中で眠っていた底知れない怒りを再び呼び起こした。


 すると、セバスがぽつりと呟く。



「……カーラ様、たったお一人で来られましたね」

「ああ、それも、小さなトランク一つだけ持って」



 この家に来た彼女を思い出す。


 婚約者の家へ嫁ぎに来た令嬢とは思えない……はっきり言って、みすぼらしい姿だった。



「王都での彼女の扱いは、フォール様から逐一伺っておりましたが……」

「実際の彼女は想像以上だったな」



 艶を失った髪。


 痩せ細った体。


 化粧で辛うじて隠していた目元の隈。


 『儚げな姿』という綺麗な言葉では到底片づけられない……今にも消えそうな姿。


 そんな彼女が、たった一つのトランクを持ってこちらに来た。


 ――馬車ではなく徒歩で。



「一先ず、カーラが目覚める間に、彼女がここまで来た足跡を辿ろう。そして、カーラが目覚めたら、侍医を呼んでカーラ様の状態を診てもらい、話が出来るようなら話を聞こう」

「その方がよろしいかと。話を聞くにしても、まずは話が出来る程度の体調か知っておかなければ」



 セバスの言葉に小さく頷いた俺は、机の上に置かれた小さな写真立てを手に取る。



「カーラ。今度こそ、君を絶対に守るから」



 もう二度と。


 心優しくて頑張り屋さんの君に、苦しい思いも、悲しい思いも、辛い思いもさせない。


 ――俺の全てをかけて絶対に。


 写真の中の幼い頃の俺の隣にいる、笑顔が可愛い少女に誓った一週間後。


 俺は彼女から、ここまでの経緯を聞いて絶句した。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


というわけで、カーラに対して激重なフォールをお届けしました。


カーラが大好きだから大切にしたい。


そのために、彼女が眠っている間に動く。


少しでも、彼女が安心していられるようにするために。


フォールの婚約者としての覚悟、実にカッコイイですよね!


次回からはカーラ視点に戻ります。


目覚めたカーラは何を思うのか!?


是非ともお楽しみに!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ