表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/36

第34話 消えたアパート


○ とある路地裏 (東山区本町付近 平成 朝)

  新しいアパートと木造の古いアパートが混在して立ち並んでいる 

  美砂子 キョロキョロしながら歩いている

  女 (30代 茶髪 すっぴん) しゃがんでタバコを吸いながら猫に餌をやっている


  美砂子  「あのー」

  女    「えっ?」

   女 驚いて 美砂子を見る

  美砂子  「すみません このあたりに 2階建てのアパートが あったはずなんですけど?」

  女    「2階建てのアパート? 何てゆうアパート?」

  美砂子  「さぁー 名前は・・・」

  女    「いやー そんなん 無いけどなぁー 私 引っ越して来たばっかりやし 判らへん

        わぁー」

  美砂子  「そ そうですか・・・ 道 間違っちゃったのかなぁー」 

   美砂子 猫を見て

  美砂子  「可愛いですね」

   美砂子 微笑んで立ち去ろうとする

  女    「ちょっと・・・」

   美砂子 振り返り

  美砂子  「はい?」

   女 立ち上がって

  女    「となりの おばあちゃん やったら 知ったはるかも・・・」

   女 となりの家に 

  女    「おばあちゃーん! おばあちゃーん!」

   老婆 家から出て来る

  老婆   「何えー?」

   老婆 美砂子を見て頭を下げる

   美砂子 頭を下げる

  美砂子  「このあたりに 2階建のアパートが あるはずなんですけど・・・」

  老婆   「2階建のアパート?」

  美砂子  「外に階段が あって・・・ そうだ! 前にお地蔵さんの祠がありました!」

  老婆   「お地蔵さん? この辺に お地蔵さんは これしか無いけど・・・」

   地蔵の祠 雑草が生い茂る空き地の前にある

  女    「ああ・・・」

   美砂子  祠に近ずいて 良く見て

  美砂子  「こ これです!」

   女 老婆 驚く

  美砂子  「ここに アパートがあったはずなんですけど!」

   美砂子 大げさに指差す

  老婆   「ここに? いやー ここ 長い事 空き地やけどなぁ」

  美砂子  「えっ? 空き地?」

  老婆   「そうや」

  美砂子  「そ そんなはずは・・・ 確かに ここに・・・」

   女 老婆 首を傾げる

  老婆   「あー そうゆうたら 昔 ここに 2階建てのアパート あったわぁー」 

  美砂子  「むかし?」  


○ 高瀬川 (平成 朝)

  水面が朝日に照らされてキラキラと光ってる


○ 小料理屋 豆千代の前 (平成 朝)

  美砂子 久美 リカ 立っている


  久美   「いろいろと ご迷惑 おかけしてすんまへんどした」

   久美 深々と頭を下げる

  美砂子  「いえ! こちらこそ ありがとうございました! 何んか・・・」

   美砂子 目に涙を溜める

  久美   「また 京都にいらした時は遠慮のう おこしくださいね うちらもう家族みたい

        なもんやし」

  美砂子  「家族・・・」 

   美砂子 微笑んで

  美砂子  「ありがとうございます! こんど来た時 チヨさんのお墓参りさせて下さいね」

  久美   「おおきに おチヨさん 喜ばはりますわぁー」

   美砂子 リカを見て

  美砂子  「お幸せにね」

  リカ   「はい! おおきに! 美砂子さん・・・ いや 姉さんも! 映画 楽しみにして

        ますね!」

  美砂子  「映画? あ ありがとう・・・ そ それじゃ お世話になりました!」

   美砂子 深々と頭を下げる

  久美   「あっ! そや!」

   美砂子 驚いて頭を上げる

  美砂子  「えっ?」

  久美   「ちょっと 待ってて下さい!」

   久美 慌てて店に入る

   美砂子 リカ 顔を見合わせる

   リカ 首を傾げる


○ 道路 (平成 朝)

  数羽の雀が餌をついばんでいる


○ 小料理屋 豆千代の前 (平成 朝)

  美砂子 リカ 立っている

  久美 出て来る


  久美   「すんまへん これ」

   久美 美砂子に一枚の絵葉書を渡す

   美砂子 受け取り絵葉書を見る

  久美   「今朝 お千代さんのタンスの中 整理してたら出て来たんです」

  美砂子  「嬉野温泉・・・」

  久美   「裏を」

   美砂子 絵葉書を裏返す

  美砂子  「こ これは・・・」


○ 先斗町通り (平成 朝)

  人通りがない

  美砂子 小さなスーツケース引っぱって歩いている

   

   小鶴(声) 「豆ちゃん 元気ですか うちは元気です 豆ちゃんの事 時々 思い出してい

          ます あんたも そこ 向いてないと思います 早よ 辞めて 好きな人のお

          嫁さんになって下さい・・・ 豆ちゃんは 一番 お嫁さんが向いてると思い

          ます・・・」


○ 高瀬川に架かる小橋の上 六角付近(朝)

  満開の桜の木屋町通りを朝帰りの若者達が浮かれて歩いて行く

  美砂子 欄干にもたれて電話をしている


  美砂子   「はい よろしくお願いします」

  豆千代(声)「姉さーん!」

   美砂子 驚いて 耳からスマホを外し辺りを見渡す  

  コユキ   「姉さーん!」

   コユキ(子供と手を繋いでいる) 路地から笑顔で手を振って歩いてくる









  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ