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最終話 高瀬川物語


○ 高瀬川に架かる小橋の上 六角付近 (平成 朝)

  満開の桜

  美砂子 立っている  

  コユキ(子供と手を繋いでいる) 笑顔で手を振って駆けて来る


  美砂子   「コ コユキちゃん?」

   コユキ 美砂子の傍に来て

  コユキ   「姉さん 今 帰り?」

  美砂子   「姉さんって・・・」

  コユキ   「あー 名前 何やったっけ?」

  美砂子   「美砂子・・・」

  コユキ   「そやった! そやった! 美砂子さん 美砂子さん!」

   美砂子 子供を見て

  美砂子   「息子さん?」

  コユキ   「あー うん!」

   レン 美砂子を見て微笑む

  コユキ   「ほら レン おばちゃんに おはようは!」

  美砂子   「お おばちゃんって・・・ レン君って言うんだ かっこいい名前ね どんな字

         書くの?」

   レン 美砂子を見て 微笑む

  コユキ   「コイってゆう字」

  美砂子   「コイ?」

  コユキ   「恋人のコイ」

  美砂子   「へー いい字だね」

  コユキ   「そやろ この子には ちゃんと 普通の恋してほしいねん」

  美砂子   「ふーん 普通が一番だもんね」

   美砂子 しゃがみ

  美砂子   「レン君 おはようございます!」

   レン 微笑む

  美砂子   「あっ そうだ アメ あげよっか」

   美砂子 ショルダーバックからアメを出してレンに差し出す

  美砂子   「はい!」

   レン 微笑み受け取る

  コユキ   「レン! ありがとうは!」

   レン 微笑む

   コユキ 手で無理やり レンの頭を押す

  コユキ   「おばちゃん ありがとう」

  美砂子   「どういたしまして!」

   美砂子 レンの頭を撫でる

  コユキ   「ゴメン この子 無口やねん」

  美砂子   「男の子は 無口な方がいいよ それに この歳からペラペラ喋ったら怖いよ」

  コユキ   「ほんまやな」

   美砂子 立って

  美砂子   「それはそうと こんな時間にどうしたの?」

  コユキ   「店に 今日までの給料 取りに来てん」    

  美砂子   「今日までの?」

   コユキ うなずき

  コユキ   「うん・・・ うち 店 辞めてん」

  美砂子   「辞めた?」

  コユキ   「うん!」

  美砂子   「そう・・・ で 辞めてどうするの? 介護の仕事?」

   コユキ 首を横に振り

  コユキ   「さよならすんねん」

  美砂子   「さよなら?」

   コユキ うなずき 桜の木を見て

  コユキ   「京都に さよならすんねん」

   美砂子 驚いて

  美砂子   「京都に?」

   コユキ 振り向き

  コユキ   「うん!」

  美砂子   「そう・・・ で どこに行くの? 当て あるの?」

   コユキ 首を横に振って

  コユキ   「うちの事 誰も 知らんとこかな・・・」

  美砂子   「・・・」

  コユキ   「この子と二人だけやし まぁ なんとかなるっしょ! 頑張るしかないわぁ!」

   コユキ 微笑んでレンの手を握る

  美砂子   「・・・」

  コユキ   「あー 美砂子さんも頑張ってな!」

  美砂子   「あ ありがとう・・・」

  コユキ   「美砂子さんは まだ 京都におるん?」

  美砂子   「えっ?」

  コユキ   「まぁ ここ そんな悪いとこやないし この仕事 大変やけど 我慢してたら 

         その内 ええ事も あるよ!」

  美砂子   「う うん・・・」

   コユキ 微笑んで高瀬川を見て

  コユキ   「この川ともお別れかぁー」

   美砂子 高瀬川を見て

  美砂子   「そうだね この高瀬川とも お別れだね」

   コユキ 美砂子の顔を見て

  コユキ   「えっ?」

   美砂子 驚いてコユキの見て

  美砂子   「えっ?」

  コユキ   「この川に名前なんか あったんや!」

  美砂子  「何だ 知らなかったの?」

   コユキ うなずいて

  コユキ  「知る必要なかったもん!」

   美砂子 微笑む

   コユキ 高瀬川を見つめて

  コユキ  「この川には お世話になったわぁー」

   美砂子 高瀬川を見つめる

  コユキ  「辛い事 あったら よう うちを慰めてくれた・・・」

   コユキ 美砂子を見て

  コユキ  「あー この川 何て 名前やったけ?」

  美砂子  「高瀬川・・・」

   コユキ 高瀬川を見て 大きな声で

  コユキ  「高瀬川 ありがとー! 高瀬川 今まで うちを慰めてくれて ありがとうー!

        バイバイ 高瀬川ー!」

   コユキ 美砂子を見て

  コユキ  「ほな 行くわぁ」

  美砂子  「うん・・・ 身体 気を付けてね」

  コユキ  「ありがとう! 美砂子さんも無理したらあかんで」

  美砂子  「えっ?」 

  コユキ  「もう 若こないんやし!」

   コユキ 微笑んで ぺろっと舌を出す

   美砂子 微笑んで

  美砂子  「コラ!」

   コユキ 微笑む  

  美砂子  「レン君 バイバイ」

   レン アメを舐めながら微笑む

   コユキ レンの手を引いて歩いて行く

  美砂子  「何か あったら メールでもいいから連絡してね!」

   コユキ 右手を上げる

  美砂子  「頑張ってね! 夢 叶えてね!」

   コユキ 振り返り(目に涙を溜めている) 大きな声で

  コユキ  「カムサハムニダー アンニョンヒ ケセヨー おおきに 姉ーさーん!」

   コユキ レンの手を引いて歩いて行く

   桜の花びらが2人に落ちる

   美砂子 手を振り見送る(目に涙を溜めている)

   美砂子 ふとショルダーバックに付けている赤いお守りに目を落す


○ 回想 アパートの部屋 (昭和50年代)

  美砂子(小学生)ランドセルを背負っている

  リンダ ランドセルにお守りを結び付けながら

  リンダ  「何時も 一人ぼっちにして ごめんね このお守りが ミサちゃんの事 守ってくれる

        からね」


○ 高瀬川に架かる小橋の上 六角付近 (平成 朝) 

  美砂子  ゆっくりお守りの紐を解く

       袋の中からボタンが出て来る

  

  美砂子  「ボタン?」


○ 先斗町通り(平成 朝)

  人気が無い

  美砂子 歩いている

  リンダ(4歳) 前方に立って手招きをしている

  美砂子 吸い寄せられる様にリンダに近づいて行く

  リンダ 走って逃げる

  美砂子 追う

  リンダ 路地に入る

  美砂子 追う

  リンダ 路地の陰から顔を出してアカンベをする

  美砂子 微笑む

  リンダ 路地に入る

  美砂子 追う

  美砂子 リンダ 人気が無い先斗町通りを駆け抜ける


○ 狭い路地

  飲食店の看板が並んでいる

  リンダ 駆け抜ける

  美砂子 追う


○ 木屋町通り 

  人気が無い

  リンダ 走る

  美砂子 笑顔で走る

  リンダ 高瀬川に架かる小橋の上で立ち止まる

  美砂子 木屋町通りで立ち止まり息を切らせてリンダを見つめる


○ 高瀬川に架かる小橋の上 六角付近

  リンダ 微笑み立っている

  美砂子 木屋町通りから 息を切らせて少女を見つめる 


○ 回想 アパートの部屋 (昭和50年代)

  美砂子(小学生)ランドセルを背負っている

  ランドセルにはお守りが付いている

  リンダ  「また 鬼ごっこ しょうね」


○ 高瀬川に架かる小橋の上 六角付近

  美砂子 涙が溢れる

  美砂子 ゆっくりとリンダに近づいて行って リンダの前で小さな声でテネーシーワルツをハミング

      する

  リンダ 微笑む

  美砂子 恐る恐るボタンを差し出す

  リンダ 突然 美砂子にしがみつく

   美砂子 はっとする

  美砂子  「お・・・ お お母さん? お母さん?」

   美砂子 リンダを抱き締める

  美砂子  「お母さん・・・ お母さん・・・ お母さん・・・」 

   リンダ 力強く 美砂子の腰の辺りに しがみつく

   美砂子の頬から何粒のも涙が零れ落ちる

   流れる テネシーワルツ


○ 高瀬川に架かる小橋の上 六角付近 

  美砂子 リンダ 抱き合っている (ロングショット)

  流れる テネシーワルツ

 

  美砂子(M)「それは 懐かしい感覚でした それは 忘れかけていた 母の温もりでした」 

   美砂子 号泣 (アップ)

  美砂子  「お母さん 会いたかった ずっと 私・・・ 会いたかったの・・・ 

        お母さん・・・お母さん・・・ ごめんね ごめんね 今まで逢いに来れなくって

        ごめんなさい・・・ 幸せになれなくって ごめんなさい・・・」

   美砂子 リンダを抱き締めて泣く

   無数の桜の花びらが2人に落ちる (ロングショット)

   

○ 高瀬川

  水面 朝日に照らされてキラキラと光っている

  無数の桜の花びらが ゆっくりと流れて行く


○ 京都駅 コンコース

  大型テレビにニュース映像が映っている

  

  アナウンサー(声) 「新元号が発表されました 新元号は・・・」

  美砂子 大型テレビの前を通り過ぎて行く


○ 京都駅 新幹線ホーム (平成 昼)

  多くの観光客 ビジネスマンが新幹線の到着を待っている

  美砂子 電話をしながらエスカレーターから現れる

  

  早紀(声) 「福岡?」

  美砂子   「そう・・・ 福岡」

  早紀(声) 「また 何しに行くん? わかった また不倫旅行やろ!」

   美砂子 スマホを耳から外してスマホに向って大きな声で

  美砂子   「バカ!」

  

○ 京都駅 新幹線ホーム (平成 昼)

  美砂子 ホームで並んで手に持ったお守りを見つめる


 アナウンス

 「今日も新幹線のご利用ありがとうございます まもなく13番線に11時50分発 ぞみ21号

博多行きが到着します・・・」


○ 新幹線の車内

  美砂子 窓際の席に座って外を見ている

  乗客達 次々と座席に座って行く

 

 久美(声) 「いいえ おチヨさん ずっと お一人でした 確かに そんなお話は あったみた

        いですけど 断わらはったみたいなんです このお店は おチヨさんが若い時か

        ら貯めてたお金と銀行から借りたお金で買わはったんです 決して 旦那さんに

        当てがってもらたんとちゃいます おチヨさん 生涯 誰とも一緒にならんと

        一人で生きて来はったんです」

  美砂子 頬から涙が零れ落ちる

 

久美(声) 「お母さん 美砂子さんの事 心配して京都に呼ばはったんちゃいますやろか・・・」

  新幹線 動き出す

      

○ 回想 リンダの笑顔


 美砂子(N) 「あれは夢だったのでしょうか? それとも京都の魔力が生んだ幻だったのでしょう

        か? いいえ 平成 最後のあの春 あの街で 確かに 私は お母さんに

        逢いました・・・」


○ 車窓の外

  東寺の五重塔


○ 新幹線の車内

  美砂子 車窓を見つめて 


美砂子(N)「さようなら京都 さようなら お母さん 私は・・・ 私は・・・夢に向かって 歩き出し

ます こんどこそ幸せになって見せるね 昭和から平成へ 平成から ○○(新元号)へ

      きっと この新しい時代は愛に満ち溢れた時代になります 私はこの時代を生きて行きます

お母さん 私を生んでくれて ありがとう 本当に ありがとう お母さん!」

  

   主題曲 インストルメンタル 流れる


○ 車窓の外

  東寺の五重塔 遠ざかって行く

  

○ 新幹線の車内

  テーブルの上 ノートパソコン その横に赤いお守り

  美砂子 ノートパソコンを開いてキーボードを打つ 

    

○ パソコン画面

  文字が打たれ変換されていく   

  

  たかせがわ 高瀬川 ものがたり 物語

 

  ローリングタイトル

  キャスト スタッフ 協賛 協力とつづく


○ 高瀬川

  水面 朝日に照らされてキラキラと光っている

  無数の桜の花びら ゆっくりと流れて行く


  主題曲からダイアナへ


  高瀬川に架かる橋の上 (昭和34年 夜)

  雅幸 真由美 欄干に座り キスをしている(情熱的に)

  バイクに二人乗りをしている 泰史 和夫 指笛を吹いて二人を冷やかす


  先斗町通り (昭和34年 夜)

  豆千代(27歳) 色とりどりのネオンの下を着物姿で颯爽と歩いている

  

  ダイアナからテネシーワルツへ


  高瀬川 (昭和27年 夕)

  リンダ(4歳) 川に向けて石を投げている 

  横に置いた小さなハンドバックにお守りがぶら下がっている


  福岡県遠賀郡芦屋海岸 (昭和30年代 朝)

  水平線が朝日を受けてキラキラと輝いている

  小鶴 強い潮風に吹かれ水平線を見つめている

  小鶴 何気なく振り返る


○ 高瀬川

  水面 朝日に照らされてキラキラと光っている

  無数の桜の花びら ゆっくりと流れて行く


○ 新幹線車内

  美砂子 ノートパソコンを閉じる


  ローリングタイトル 終わる


○ アメリカの田舎街の家(夕)

  夕日が当たっている


○ 洋室

  レースのカーテン越しに夕日が差し込んでいる

  大きなクリスマスツリー

  赤く燃え上がる 暖炉の火

  大きなドレッサーの上には写真立てが並んでいる(家族の写真 軍服姿のマシューの写真等)


  写真立て(モノクロ写真) 

  高瀬川に架かる小橋の上 六角付近

  小鶴 マシュー リンダ 豆千代 笑顔で並んでいる


  老婆 椅子に座っている (後姿)


  男(声)   「メリークリスマス グランマ・・・」

  子供達(声) 「メーリークリスマス! プリンセス!」


○ モノクロ写真

  軍服を着たマシューと小鶴が座敷で並んで座っている 


  「新しい時代が平和で愛に満ち溢れた日々になりますように」


   終わり





  

  

  








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